第14話 忘れられない

しかし本当にさっきの女の子、可愛かったなぁ。

綺麗な黒髪でロングヘアーで清楚な感じが本当にいい。


「あっ……」


あの子のことを思い出しすぎて、夕飯の料理をしていたら材料のじゃがいもを落とした。


【何をボーッとしてるのよ】


「いや、さっきの子。ほんと可愛かったなぁって」


【だからどうして話しかけなかったのよ。いいこと?今度会った時には声かけなさい】


「無理だよー。どうやって話すんだよ」


【あきらめるの?あの子と番いになりたくないの?】


「番いって……。おまえ……もうちょいカップルとかなんか他に言い方あるだろ」


【なによ。別に間違ってないじゃない。あたしから見れば人間も鳥も番いでいいのよ】


「それにあんなに可愛い子、絶対彼氏いるよ。無理無理」


【あーら。そんなのわからないじゃない。いないかもしれないわよ】


「どうだかね」


ご飯を食べてる時も風呂に入ってる時も、あの子の顔が忘れられないでいた。


【またボーッとしちゃって。まださっきの女の子のこと考えてるの?】


「いや……まあ……そんなとこかな」


【一目惚れってやつね。いいこと?来週はその子の隣の席に座って必ず話しかけなさいよ。絶対よ】


「ええー、だからそんなの無理だって……」


一週間が経ち、ついに加藤先生の講義の日がやってきた。

またあの子の顔を見れるのは嬉しい。

アルには絶対に話しかけろと言われたけど、そんなの俺にできるはずがない。

なんて声かければいいかもわからないし。

講義室に入ると、一番後ろの席の辺りにあの子がいないか目で探してしまう。

あれ、いないな。

まだ来てないのかな。

仕方ない。残念だけど今日はあきらめるか。

結局あの子の姿を見つけることはできないまま、加藤先生の講義は終わり、帰ってきた。


「ただいま」


【おかえり。今日は例の子がいた授業だったんでしょ?ね、ね。どうだったのよ。早く聞かせなさいよ。こっちはずっと気になってたんだから】


「いやー、いなかった。見つけられなかったのかな」


【なによ、それ。せっかく楽しみにしてたのに。つまらないわね】


「そう言うなよ。仕方ないだろ。あっ、ちょっとスーパー行ってくる。食材がないわ」


近所のスーパーへ行った。

卵がきれてたのと牛乳。その他、野菜から色々と買った。

レジで三千円以上買うと福引券をもらえたので福引をした。

特等は商品券一万円分が当たるので気合を入れて引いたが、末等の飴玉二個が当たり、ポケットに入れて店を後にした。

まあ俺の運なんてこんなもんさ。


更に一週間が経った。

また加藤先生の講義の日がやってきた。


【今日こそ例の子を必ず見つけて声かけるのよ。話しかけるまで帰ってくるんじゃないわよ】


「おいおい、無茶苦茶言うなよ」


アルとそんな会話をして家を出て大学へと向かった。




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