第7話 掃除しなさいよ

【しかしあんたねぇ。前々から言おう言おうと思ってたけど、ここはほんと汚い部屋ねぇ】


「掃除が面倒なんだよ。まとめて一気にやるタイプなんだよ、俺は」


【どうせ掃除する範囲が広くなりすぎてやる気起きなくて放置してるんでしょ】


ドキッ!!


「そそ、そんなことないし」


【本棚は漫画と大学で使う教科書が混ざってて全然整理できてないし、ゴミはそこらへんに落ちてるし、机の上にも訳わからないガラクタが置いてあるし】


「いや、ガラクタじゃないよ。使うんだよ、これは」


【何にいつ使うのよ。はい、答えなさい。さん、にー、いち、ぜろ】


「ええー……と」


【はい、遅い。何よ、使うとか言いながら何に使うのかすぐ答えられないじゃない。捨てなさいよ】


「いやー、いつか使うかも」


【使ってないから使う用途が答えられないんでしょ】


「ええー、いやだ」


パチッ!!


「痛い!!ああああ、もう。わかった、捨てるよ」


全く……

自分の部屋なんだから好きにさせてくれよ。


【あんた整理整頓の基本ができてないわね。いいわ、あたしが教えてあげる】


「精霊が整理整頓なんてできるのかよ」


バチッ!!


「痛っ!!ああああ、ごめんなさい。続けて下さい」


【まずは基本中の基本。ずばり断捨離よ】


「断捨離……?」


【いらない物を捨てるのよ。それにはとっておきの方法があるの】


「どうやるの?」


【はい。これ。使うの?使わないの?三秒で答えなさい。さん、にー、いち、ぜろ】


「えっと」


【はい、それ捨てる。いいこと?三秒で答えられなかったら全部捨てるわよ。はい、これ。さん、にー】


「ええ。あっ……えっと大学の授業で使う」


こうして俺は、アルに部屋中の物を三秒以内で使うか使わないかを答えさせられ続け、かなりの物がなくなっていく結果となった。


「うわ、こんなに捨てなきゃダメなの?」


【あんたは無駄が多すぎるのよ。さっさとゴミ袋持ってきて入れてしまいなさい】


確かに捨てると部屋の物がなくなってスッキリした。

色々といらない物で溢れてたんだな、俺の部屋。


「うん、綺麗になった」


【何が綺麗になったよ。いいこと?まだいらない物捨てるのが終わっただけよ。ここから掃除が始まるの】


「えっ……もう十分綺麗になったよ」


【埃を綺麗に拭いて、掃除機かけて、窓も磨きなさい。お風呂とトイレも忘れるんじゃないわよ】


「えええ、ちょっと。それはかなりしんどいんじゃ……」


【あんたが今までサボってきたツケが回ってきたのよ。ぐだぐだ文句言わずにやりなさい】


「はぁー……」


【ため息つくんじゃないわよ。それが掃除よ】


部屋を掃除機かけて窓も吹いて、お風呂とトイレもやった。

とにかく疲れた。


「お、終わったぁ……」


【本当はまだまだだけど、まあ妥協してあげてもいいわよ】


「いやー、もう絶対に部屋を散らかさない。もう綺麗にする。もう掃除やりたくない」


【これに懲りたら毎日こまめに掃除することね】

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