第5話 規則正しく寝なさいよ

次の日になった。


うん、よく寝たぜ!!

今日は火曜日だから二限目からだし、時間にも余裕があるな。


……ってあれ?


「うおあああああ!!!!曜日間違えた。よりにもよって今日は水曜じゃないか!!ヤバい!!」


そう、水曜日は一限目から講義がある。

ただの講義ならまあ一回くらいとなるが、よりにもよって水曜の一限目。

水曜の一限目といえば、一分の遅刻で退室させられてしまう遅刻に厳しすぎる教授の尾崎の講義だ。

遅刻だけが厳しいのではなく、講義中の居眠りも教室からすぐに出ていくように言われる。

そして欠席扱いにされてしまう。

更にテストも難問が多く、しっかりと予習復習していなければついていけない。

それ故に単位を落とす学生も多いことから、ついたあだ名は、鬼の尾崎。

略して鬼崎。ちなみに略した方が一文字多くなるのはご愛敬だ。


なんてことだ。

ああ、あと十五分しかない。


今から服を着替えて家を出て自転車で全力疾走して大学まで十分。

まだなんとか間に合うかもしれない。急げえええ!!


【あら、慌ててるわねぇ。遅刻なんてしないなんて言った次の日にまさか遅刻するなんてねぇ。お笑いね】


「このクソ精霊。いつの間に帰ってたんだ」


【あんたがネットゲームに熱中してる時から帰ってたわよ。あんまりにも必死でエムピーが足りない!回復!回復!とか一人で叫んでバカみたいに遊んでたから話しかけなかったけどね】


「お気遣いどうも。とにかく今はそんなことどうでもいい。鬼崎の講義は遅刻する訳にはいかない。必修科目だし単位だけは落とせないからな。じゃあな!!」


大慌てで家を出る。

間に合え!!間に合え!!


必死で自転車を漕いで鬼崎が来る一分前くらいになんとか着席できた。

人間死ぬ気になればなんとかなるな。


大学の講義を終えて家に帰った。

今日は精神的に疲れた。いや、本当に。


少し昼寝しよう。

おやす……


【あんた懲りないわねぇ。今日遅刻して痛い目にあったんだから自分の生活を悔いて改めようと思わないわけ?】


「うるさいな。今日は疲れたんだよ。だから寝る。邪魔をするな」


【ここで眠くてもきちんと夜まで起きて、早寝早起きして生活リズムを正したら遅刻しないで済むんじゃないかしら?】


「いや、今日は精神的に疲れたから」


【そうやって自分に言い訳して中途半端に寝るから夜眠れなくなって、遅くまで起きてゲームして朝寝坊するのよ】


「うるさいな。眠いんだよ。眠らせてくれよ」


【ダメよ。このまんまじゃ、あんたはもっとダメになる。そうなる前にあたしが正しく躾けてあげる】


「はいはい、そりゃどうも。おやすみ」


【ちょっと起きなさいって。起きないならこうするわよ】


パチッ!!!!!


「痛てえええ」


なんか電気のようなものが体を走った。


【あんたの体に静電気を集めたのよ。次また寝ようとしたらもっと強いのだすわよ】


「や、やめてくれ。わかった。起きる。起きるからやめてくれ」


【分かればいいのよ、分かれば。さあ、さっさとベッドから起き上がりなさい】


このクソ精霊め……。

結局、この日は疲れてたから夜になると、すぐ眠気がきて早寝ができた。

おかげで次の日の朝は、余裕をもって起きることができた。


そして次の日も、その次の日も昼間にウトウトして昼寝したくなって寝ようとしたら、クソ精霊に静電気攻撃で起こされ続けた。


そんな生活をし始めて一週間が経った頃、昼間に眠くなることが次第になくなってきた。


そう、早寝早起きの健康的な生活リズムが俺の体に形成されたのだ。


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