第2話 喋るオネェ精霊現る

【ったくアンタ……。いつまで寝てんのよ。いい加減起きなさいよ】


うーん……。


【若いのに昼間からゴロゴロしてんじゃないわよ。ちょっと!!起きなさいよ!!】


あー、もうなんだよ。誰だよ。

……って、え?


この部屋には俺しかいないはず。なんで声が……?

周りを確認するが誰もいない。

なんだ、寝ぼけてたか。もっかい寝よ。


【だから!!なんでまた寝ようとするのよ!!だらしないわね!!起きなさいって!!】


やっぱり声がする。

目を開けて今度は、さっきよりもしっかりと部屋中を見回したが、やはり誰もいない。


【どこ見てんのよ!!こっちよ、後ろよ、後ろ】


後ろ?いや、後ろは壁だよ。後はキン太がいるくらい。

……って!?


「はぁ!?キン太!?」


思わず声が出た。

水槽の中にいるはずの金魚のキン太の姿ではなく、黒猫がいる。


【キン太はセンスないわ。いや、ほんと】


「ええええ!!なにこれ。猫?」


【猫じゃないわよ!!あたしは精霊よ!!猫でも魚でもないわよ!!】


「うああああ!!しゃ、喋っべるーー!!!……いや、どう見ても黒猫です」


【猫じゃないわよ!!偶然の一致よ。猫の方があたしの姿を真似たんじゃないかしら】


「しかもオネエ言葉」


【精霊はオスでもメスでもないの!!だから中性的なのよ!!何が間違ってるの!!】


「いや、間違ってるとか中性的とかそういう話ではなくて……」


【いいこと?あんたの常識で世の中回ってるんじゃないのよ。よく覚えておきなさい】


「常識って……。あのー、なんで精霊が俺の部屋に?」


【暇を持て余した精霊の遊びよ。暇つぶしよ、暇つぶし!!】


「暇って……」


【わざわざ遊びに来たんだから楽しませて頂戴よ!今日からルームメイトだから。よろしくね】


「ええ……。いや、よろしくって言われても……」


自由だ。最高だ。

そう思ったのは最初の一ヶ月の間だけで……。

大学生活二ヶ月目からは、見た目は黒猫。

そしてオネエ言葉で喋る精霊との同居が始まる事になった。


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