エレメンタルマスター


四天王の一角であるクレスティアはエルフである。就いている職業は精霊術士。その位は極めて高い。精霊術を極めし者(エレメンタルマスター)と言える。


それはある大国との抗争であった。大国ガゼフは突如現れた四天王の一角クレスティアとの抗争を強いられた。


「……くっ! 進め! 敵は一人であるぞ!」


「た、隊長! しかし、敵は一人ではありますが、とても一人とは言えません!」

 

 兵士達はそう言い合っていた。


「炎の精霊(イフリート)」


 現れたのは炎の精霊としても最上位の格を持つ、イフリートだった。


「うああああああああああああああああああああああああああああ!」


「燃える! 身体が! うわあああああああああああああああああ!」



「水の精霊(ウンディーネ)」


 そして水の精霊(ウンディーネ)も出現した。水で出来た美しい女神のような精霊であった。


「ぐあああああああああああああああああああああああああ!」


 ぷくぷく。


 突如の濁流に押し流される。人間などいとも容易く死ぬ脆弱な生物である。例えば10分呼吸ができないだけでも死ぬのだ。


「風の精霊(シルフ)」


 さらには風の精霊であるシルフ。強烈な暴風を巻き起こす、見た目は可愛い妖精ではあるが、その風の威力はまさしく脅威である。


「ぐっ、ぐあああああああああああああああああああああああ!」


 兵士達は引き裂かれた。風の刃でズタボロにされたのだ。


「地の精霊(ティタン)」


 屈強な地の精霊により巻き起こされるのは地割れだ。突如起こった地震(クェイク)により、多くの兵士は離脱をよきなくされた。


「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


「くっ! い、いやだっ! 落ちる! しぬぅ!」


 多くの兵士が奈落の底へと落とされた。


「くっ! なんという事だ! 我が国の精鋭がこういとも容易く、これが魔王軍の力なのか!」


 兵士を率いる中隊長は嘆いた。


「手応えがないわねぇ。もっと手応えある奴はいないの?」


 エレメンタルマスター。クレスティアは嘆いた。


 ーーしかし。彼女の願いは程なく叶う事となる。


 ◆◆◆◆◆


「皆さん! 知ってますか?」


 俺達が資金稼ぎクエストを終えて、戻ってきた時の事だった。受付嬢さんが慌ただしい湯様子で言ってきた。


「何がですか?」


「魔王軍と大帝国ガゼフとの抗争が起こったんです!」


「へえ……」


「魔王軍の敵は一人なんですけど、その敵がすっごく強くらしくて、強大な軍事力を持つ大帝国でも苦戦を強いられているそうなんです。それで今、大帝国の方で助っ人を冒険者の方でも募集しているらしいです」


「ダーリン!」


「ああ」


「お金沢山貰えるんじゃない!?」


「ま、まずそこか。マリサ。魔王軍とか、強敵とか、そういう方には全く食いつかないのな。俺達は仮にも勇者のパーティーのメンバーなんだぞ」


「ああ。そうだった。マリサ忘れてた。お金の事しか考えてなかった」


「また賭けようと思ったのか?」


「ギクッ! そんなわけないじゃない!」


「どうだか」


「皆さんいかがでしょうか? 見たところ皆さんはかなりの実力者です。是非大帝国に加勢してあげては?」


「そうだな。どうするユフィ」


「見捨ててはおけないわ。だって私は勇者だもの。今はジョブチェンジして大勇者だけど。人類の危機を見捨ててはおけない」


「よし。じゃあ、とりあえずはその大帝国に傭兵として雇われるか」


「うん。そうしよう」


「報酬とか、待遇とか、そこら辺どうなってるんですか!?」


 ちゃっかりマリサは聞いてきた。だが重要な事かもしれません。


「その傭兵の実力によって決まるそうです。詳しくは大帝国まで。そこで帝王と面談して決めるそうです」


「応相談って事か。とりあえずはそこへ向かうしかないか」


「連絡はこちらでしておきます。ですので現地へ向かってください」


「わかりました」


 こうして俺達は大帝国ガゼフまで向かう事となった。

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