装備を新調

 俺達はマオカの武器屋へと向かう。


「いらっしゃい。ここはマオカの武器屋だよ」


 お婆さんが店番をしていた。


「装備を新調したい」


「……装備? 誰をどんな装備にするんだい? 装備といえど色々種類とグレードがあるんだよ。職業にもよるし」


「もっともだ。どうする?」


「どれくらい金額がするんだろ? 私達金貨200枚持ってるわけだし」


「例えば勇者職の装備を一新する場合、いくらくらいかかる? グレード高、中、低とあるとは思うが」


「そうだねぇ。上から金貨100、50、20、ってとこかねぇ」


「そうか。今の金額なら中程度の装備を整えられるという事か」


「ダーリン。マリサに良い考えがあるの!!」


「なんだ? あまり良い提案な気はしない。できれば聞きたくないところだが」 


「カジノで一発勝負するの! 倍にすれば持ち金は金貨400枚そうすれば皆を上等な装備に変えられるわ!」


「却下だ!」


「えっええ!---------------------! なんでよおおおおおおおおおおおおおおお! ダーリンーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 マリサは嘆いた。


「それで無一文にになったのを忘れたのか? 同じ轍を踏む気か」


「ぐすっ。ダーリンのケチ。ギャンブルしたいのに」


 このジャンキーが。すっかり変態痴女キャラから、ギャンブルジャンキーになってやがる。


「資金内で欲しい装備を選ぼう。ギャンブルはもうしない」


「「「はーい」」」


「ぐっすん」


 マリサな涙ぐんだ。どれだけギャンブルしたかったんだ。


 俺達は装備を見て回る。


「そこに着替え室があるから、好きに着替えるんだよ」


「「「はーい」」」


 俺は装備を見ていた。三人は各々の装備に着替えていた。


「じゃーん!」


 マリサ達は着替えた。えらく露出の高い服だ。水着のような鎧だ。


「なんだそれは?」


「ビキニアーマーよ」


「すまん。その装備を身に着けるメリットはなんだ?」


「動きやすい」


「そもそも鎧である必要性がないだろう。俊敏性を重視するなら」


「後! 人の視線を独占できるの!」


「ファッションじゃないか」


 俺は溜息をついた。


「ともかく却下だ。実用性を重視しろ」


「「「はーい!」」」


 再度着替えをする。俺は武器を選んでいた。オリハルコンダガーを二刀。


「いくらですか?」


「二つで金貨100枚だよ」


「仕方ないな。オリハルコン製は貴重。それに熟練した鍛冶師が打った作品だろう」


 俺は購入リストの中にいれた。


「……はーい」


 皆、武器と装備を新調した。ユフィはオリハルコンソード。マリサは魔導士の杖。そしてアリスは大神官用のロッドだ。


 合計金貨200枚を吐いた。


「まいど! またいらっしゃい!」


 ◆◆◆


「また無一文になっちゃったね」


「しかし、装備は残った。前回はただ無一文になっただけだ。有益な投資だったといえるだろう。


「ああっ! もう! マリサが悪かったですよぉ! もう責めないでよおおおおおおおおお!」


 マリサは泣いていた。


「別に責めているわけじゃない」


「じゃあ、庇ってくれてるの!? ダーリン優しい!!」


 マリサが抱き着いてきた。


「別にそういうわけじゃないが。それより、金がなくなったんだ。資金稼ぎをしにいこう」


「「「はーい」」」


 その時俺は死角より俺達を見ていた複数の視線に気づいていた。だが、無視をしていた。今は見ているだけだ。


「なに? どうしたの? ダーリン」


「いや。何でもない、行こうか」


 ◆◆◆


 俺達は平原に着ていた。


「そろそろ出てきたらどうなんだ?」


「へっ、へっ。バレてたか」


 物陰から数人の男達が姿を現す。盗賊(シーフ)の男達だ。


「何の用だ? お前ら、盗賊か?」


「おうよ! 俺達は盗賊。何をしに来たかだって? 盗賊がする事なんてひとつに決まってるだろうが?」


「結構いい装備持ってるじゃねぇか。それに良い女も。女と装備を置いていくんだったら、てめぇの命だけは助けてやるぜ。黒い兄ちゃん」


「……まったく。懲りない連中だ」


「食らいやがれ! 盗賊のスキルを! スキル強奪(ロブ)発動! 三連続強奪(ロブ)!」


「「「きゃっ!」」」


「きゃ?」


「なんだ! こいつは!」


「ビキニアーマーじゃねぇか!」


 盗賊はビキニアーマーを強奪した。


「買ったのか?」


「う、うん」


「そんなに気にいってたのか?」


「普通の下着より防御力が高いかなと思って」


「いや。別にいいんだが」


「……くそっ! もう一度だっ! もっと高価な装備を!」


「遅い!」


「ぐわっ!」


「てめぇ! ぐわっ!」


「ぐわあっ!」


 俺は瞬く間に盗賊を昏倒させた。


「自警団に引き渡そう……こんなクズでも人間を殺すと後味が悪い」


 俺達はビキニアーマーを取り返し、盗賊を自警団に引き渡した。




                                 

                                   

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