ダンジョンでレベリング

地下迷宮階層第10層。


出てきたのはボス敵だった。流石にモンスターのレベルもあがってきた。


モンスターの名はオークキング。ひときわ大きい巨大なオークで無数のオークを従えていた。


「ぐっへっへっへっへっへ……」


「ブヒーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


「ぶひーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


「ブブヒイイイイイイイイイイイイイイイイ!」


 オーク達は明らかに興奮していた。ユフィ達を見て欲情しているのだろう。オークに羞恥心や人間社会の社会常識などない。モノを逆立てているオークすらいた。


「や、やだっ! なにこいつ等! 私達を見て興奮しているの?」


「オークは雌を持たない種族だ。雄以外に生まれない。その代わり大抵の種族のメスと交配し子をなす事ができる。特に亜人種との相性が良く、本能的にメスを見ると興奮するようになっている」


「し、知りたくないわよ! そんな事!」


 ユフィは顔を青くして身震いしていた。


「へへっ。可愛い嬢ちゃんたちじゃねぇか。俺様の部下も喜んでやがるぜ」


 オークキングは人語を喋った。


「それなりの知能指数を持っているようだな。流石はキングだ。人語を話すとはな」


「お嬢ちゃんたちには俺達の可愛いベイビーを沢山産んでもらうぜ!」


「ぞわっっとするような事言わないで!」


「ふざけないでっ! マリサはダーリンの子供を産むって決めてるんだから! 誰がオークなんかに!」


「かかれ!」


「「「ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」」」


「はああああああああああああああああああああああああああああ!」


「ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」


 ブシュ! ユフィは剣でオークの頸動脈を正確に斬った。オークは断末魔をあげ絶命する。


「次!」


「ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」


 アリスはオークのクビを撥ねる。豚の顔が地面に転がる。


「はああああああああああああああああ! サンダーストーム!」


 マリサは広範囲の雷魔法を放った。


「「「ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」」」


 幾体ものオークが絶命する。残るのはオークキングだけだ。


「くっ。なんだ、そこの男。突っ立っているだけではないか? さては戦闘に自信がないな。この意気地なしが」


「挑発する相手を間違えているぞ」


「貴様を倒した後、周りの女を嬲り者にしてやる! くらえ! メガトン(豚)ハンマー!」


 オークキングはハンマーで攻撃をしてきた。しかしその攻撃は空振りに終わる。


「な、なに!? 消えた」


「貴様などスキルを使うまでもない」


「なんだと、ブヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!」


 オークキングのクビが転がった。


「流石ダーリン!」


 こうして俺達は地下迷宮の攻略をしつつ、レベル上げをした。


 その結果。ユフィはレベル50に上昇。マリサは60。そしてアリスは55まで上昇した。


「やった! これでもう低レベルじゃない」


「お疲れ様。ああ、運動したから汗かいちゃった。それに転んだり泥跳ねて汚れたり、お風呂入りたい。どこかに温泉でもないかなー」


「……あった」


 アリスは指を指す。ダンジョン内に温泉が湧いていた。


 立て看板があった。回復温泉。効用。『HPMPを完全に回復する』


「こんなところに温泉が、すっごく良いタイミングじゃない!」


 マリサは目を輝かせる。


「そうですね。HPもMPも減ってきましたし。入っていきましょうか」


「ねぇ、ダーリン。当然、ダーリンも一緒に入るわよね?」


「一緒に入るの? シン、この子たちと?」


 もっともな疑問をアリスは発する。


「なんで? この子たちは仲間なようでいて、実はシンの性奴隷?」


「性奴隷とか、人聞きの悪い事を言うな!」


「アリスさんにとって、シンはどういう関係なんですか?」


「アリスでいい。私達は神託により選ばれた仲間だから」


「アリスにとって、シンはどういう認識なの? ただの幼馴染?」


「わからない。シンは物心ついた時から一緒にいたから。幼馴染というより、家族。姉弟のようなもの。でも……別にシンがそのつもりなら恋人でも、セックスフレンドでも、性奴隷にでも何になってもいい」


「……な、なんて便利な女性。独占欲とかないんですか?」


「ない。シンが必要だったら、いつでも求めに応えてもいい」


 アリスは俺の頬を撫でてきた。


「……い、いや。いい。アリス」


「そう……残念ね。したくなったらいつでも言ってね。それじゃあ、シン。お風呂に一緒に入りましょうか。昔みたいに。昔はよく一緒にお風呂に入ったじゃない」


「入りはしたが、それは昔の事だろう」


 一桁台の年齢の事だ。


「いいじゃない。久しぶりに昔に返って、性奴隷のこの子たちと一緒にお風呂に入りましょう」


「せ、性奴隷って。嫌な扱いですね」


 ユフィは顔をしかめる。


 こうして俺達はユフィとマリサに引き続き、アリスとも入浴を共にする事になったのである。


◆◆◆


「はー。気持ちいい」


「生き返ります」


 すっかり俺がいる前で肌を晒す事に慣れたユフィとマリサは無邪気な姿を晒す。


 咥えてアリスだ。流石に最後の混浴から10年程度の時が経過している。今のアリスは立派な女性の身体つきをしていた。


「どうしたの? シン?」


「……何でもない」


「見て、シン」


「うわっ。なんだ、アリス」


 アリスは俺に近づいてきた。


「私のおっぱい。大きくなったでしょ」


 目の前に豊満な乳房が無防備にさらされる。ぷるぷると揺れていた。


「あ、ああ……大きくなったな」


「触ってみる?」


「な、なんで?」


「シンが喜ぶかと思って」


 喜ばない男はいないと思うが。


「いや。いい」


「なんで? 遠慮しないで」


「幼馴染のお前をそういう目で見たくはない」


「……そう」


「けど。大きくなったよなアリス。お互いに。俺達。昔のままではいられないんだな」


「うん。時は流れる。絶対に。変わらない関係なんてない。だから、私とシンの関係も変わっていく、ただの幼馴染から、もっと別の関係に」


 アリスの艶めかしい唇が近づいてくる。


「シンは私とどういう関係になりたい?」


「それは……だな」


 考えてもいなかった。幼馴染で家族のように思っていたアリスと全く別の関係になる事なんて。


「ん?」


「……今は、その」


「今はなに? もう。シンったら。戦闘の時はあれ程頼もしいのに。恋愛とか人間関係になるとしどろもどろね。シンはそういう関係のⅬⅤが1のままよ」


ⅬⅤ1か。確かに間違っていない。女性の扱いや人間関係に対して、俺はいつまでも拙いままだ。素人(ビギナー)だ。


「考えておくよ。今はいいんだ。全てが終わったら必ず。お前との関係、ユフィやマリサとの関係。必ず答えを出す。だからそれまで待っていてくれ」


「……そう。良い答えね。わかったわ。待っている」


 アリスは微笑んだ。そして、回復温泉での入浴は終わり、レベル上げダンジョンでの最下層でのモンスターと対決する事になる。


「ゴールデン! すらーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


「メタル! すらーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


「はぐれメタル! すらーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


「メタルキング! すらーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 金ぴかから金属製から、色々なスライムが姿を現した。皆デフォルメ調で愛らしい。


「なによ。こいつ等」


「可愛いわ! ダーリン! 飼いましょう!」


「確かに可愛い。お持ち帰りしたいくらい」


「レベル上げの定番だな。こいつ等は豊富な経験値を持つ。お前達のレベルを格段に上げてくれるだろう」


「……なんか拍子抜けね。最後の敵がこんな可愛いなんて」


「気をつけろ! こいつ等は魔法攻撃を無効化する! 加えて」


「う、嘘! 避けた!」


「動きが滅茶苦茶素早いんだ!」


「そんな! マリサ魔法使いよ! 物理攻撃滅多に使わないのに!」


「スタッフで殴れ!」


「う、嘘! 私敏捷性高いのに全然当たらない! 追いつけない!」


「あたりまで殴るんだ! がんばれっ!」


 俺は応援に回る。


半日程時間が経過する。


「ふう……なんとか倒せた」


 たらったったったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


 レベルがあがる効果音が聞こえた気がする。


「マリサ、解析魔法でレベルを調べてよ」


「はいさ」


 マリサは解析魔法を使用する。


「えーと。ユフィがレベル100でマリサがレベル110、アリスがレベル105ね」


「そんなに、あいつ等倒したらそんなにレベルがあがったの」


「うん。細かいステータスとスキルは面倒だから省くけどそれなりにあがっているわよ」


「そう。ならよかった! これで戦力になれる! 闘えるわ! もうシンにおんぶにだっこじゃない!」


「ねー、ダーリン。動き回って疲れたわ。私の魔法でダンジョンからはすぐ転移できるんだけど、帰りに回復温泉入ってから帰りましょう」


「そうか。俺は何も疲れていないから入っていけばいい」


「ええーーーーーーーーーーー! ダーリンも一緒に入ろうよーーーーーーーーーー!」


 こうして俺達のレベリングは無事成功に終わった。だが、ダンジョンから地上にあがった時。俺がかつて勤めていた王国がとんでもない事になっているとは、その時はまだ知る由もなかったのである。










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