アイドルなのでレッスンはお手の物 その一

 ヘルシリアさんたちの願いを受け入れると、長老たちの前に案内してもらい、互いに協力する段取りとなった。

 私たちは元の世界に戻る方法を見つけること、エルパソの民は邪神を倒してもらうことが願いだ。

 長老たちに協力することを伝えたときに、長老たちは大泣きして、正直私たちはドン引きだったけど、それでも力になれたら嬉しいな。

 ちなみに長老たちには私たちが魔物と戦うと思われている。

 これはヘルシリアさんのお願いだった。

 どうせ魔法のことを言っても伝わらないし、その方が色々と都合が良いとのことだった。

 なんかヤラセみたいで好きじゃないけれど、仕方がないことなのかな?


「でも、元の世界に戻る方法なんて簡単に見つかるのかな?」


 ナナが疑問を口にすると、長老の一人が答えた。

 長老の名前はイザベラさん。私のお母さんくらいの年齢の女性だ。


「恵みをもたらす門があるという伝承がございます。そこに向かうには海を超える必要があり、大きな危険が伴いますが、女神様の力があれば容易いことかと」

「恵みをもたらす、か。ちょっと違うかもしれないけど、門っていうのは気になるところね。私たちも門を開いたらこちらの世界に来たわけだしさ」

「セイラの言う通りね。他に手掛かりもないし、まずは邪神退治を頑張らなきゃ」

「ミユキ、やる気になってるじゃん。私も頑張らなきゃ」


 マホを見てみると、彼女も表情は変わってないけど、やる気に満ちた目になっている。

 他の人には分からないけれど、マホをよく研究している私には分かるのだ。

 みんな誰かに頼られるのは好きだしね。


「海へ向かうには、まずは森を抜ける必要がございます。もし邪神を倒すことができれば、私も力になります」

「ヘルシリアさんも協力してくれるなら心強いね。みんな、頑張ろう!」

「「「「おーっ」」」」


 私たちはみんな天に拳を突き上げた。

 よし、本当に頑張って邪神を倒すんだから!

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