——モモとジョーと骨とデク——
「もっ、モモねぇ! それ折るって言うか死んでない!?」
杭のように地面に突き刺さる骨ポマードを指差し、ジョーが震える声でたずねる。
「死んでないっての、あたしの能力はあんたも良く知ってるでしょう。私の
読者への説明も兼ねて、しっかりと教えてくれるモモ。ありがたい。
「あんたこそ殺してないでしょうね、五秒以上溜めてない?」
「あー、溜めた。多分十秒チャージってところ。ゼリーくらいだね!」
悪戯と約束を破ったことと、しょうもない冗談に三発殴ろうと拳を振り上げるモモ。
「違う違う最後まで聞いてっ! この人達アホでさっ、自分達の
ペロッと舌を出し
四発にしようと決めるモモ。
「ケンちゃんだって、強化系相手なら良いって言ってたもん!」
ケンちゃんとは、ジョー達と一緒に暮らす、老人である。みんなの良心的存在で、豊富な知識と教養で『賢者先生』と呼ばれ慕われていた。だが本人から実は中卒で、豊富な知識は
賢者呼ばわりは恥ずかしいのでやめて欲しいと
「何度言えば分かるのっ! ケンちゃんじゃなくて、ケン先生でしょ!」
ゴツンっとゲンコツをくらうジョー。頭を摩り、父親に悪態を吐く。
「ちぇっ! 何でモモねぇのゲンコツは防いでくれないんだよ父ちゃん!」
「愛の鞭だからよ、パパに文句言わないの」
二発目のゲンコツをくらい、涙を浮かべる。
( 絶対愛は無い、俺を殴ってる時のモモねぇ、笑ってるもん……)
「それよりモモねぇ、この人達どうすんの?」
涙を浮かべ、気絶する二人を指差す。
「知らない、用事が済んでまだいたら考えましょう」
そう言い残し、町へ続く林道を下り始める。
(あれっ? 思ったより殴られなかったな……まいっか!)
「待ってよモモねぇ!」
急いで後を追いかけるジョー。お気に入りの靴の恨みも思い出し、合計五発のゲンコツをくらうのは、町に着く直前のことだった。
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