第13話 樫木家訪問パーリィ①
今日の俺はとても憂鬱だ。
今、俺は重たい足取りで生徒会室に向かっているのだ。
生徒会室の扉を開けることすら躊躇してしまうくらいに。
それは昨晩、姉ちゃんと母さんと話した時のことである。
「そうなの?准ちゃん生徒会入ったの?」
「うん、まあなんとなく成り行きで、進もだけど」
「へー准弥が生徒会ねー、進にも随分会ってないわね」
「あ、そうだカナンも生徒会入ったんだよ」
「カナンも入ったの?カナンにも会いたいな」
「姉ちゃんは生徒会入らなかったの?」
あれだけ目立つ人間なのに生徒会にいたって話は学校でも姉の口からでも聞いてないな。
「いや、私はそういう堅苦しいの苦手なのよ」
「堅苦しいねー」
姉の時代は堅苦しかったのだろうか?今の生徒会に堅苦しさなんて皆無なんだがな。
「で、どうなのよ?良い女の子とか?」
「いや進以外は皆、女の子だけど、そういうのは」
「ねーねーママもその話気になるわ」
母さんも食いついてきた。
「そうだ!うちに呼びなよ、生徒会結成パーティー」
「はー?姉ちゃんが楽しいだけじゃねーか」
「そうね、もしかしたら未来の樫木家のお嫁さんがいるかもしれないものね。准ちゃん誘ってみてくれる?私も腕によりをかけるわ!」
「大事な弟だからね、品定めしないとね!あっカナンは良い子だよ!オススメ!」
はぁ、とんだ姑と小姑になりそうだな。
先が思いやられるよ。
とまあこんなやり取りがあった。
どこのだれがこんな俺の家でパーティーしたいと思うのだろうか。
はぁっと深いため息をつきノブを握る。
「お疲れ様です」
「おつかれ」「おっつー」「おつかれさまです」
皆それぞれの仕事をしていて、進はカナンと打ち合わせ。みこちゃんはパソコンで色々まとめをしている。
すみれさんは真剣な顔でアイドルの水着写真集を読んでいる。次に描くイラストが水着回なんだろうかね。
会長はというと、、、しっかりめに寝てる。
いや、会長、副会長はしっかりと生徒会の仕事してくだいよ。
はぁーと呼吸を整えて、反応悪かったらどうしようかと緊張してるが、とりあえず話出してみた。
「あの今週の土曜日暇でしょうか?!あのもしお暇でしたら僕の家に来たりしませんか?姉と親に会わせたいんですけど!」
「はい?」
なんか急に静かになったけど。
「え?なに?遠回しのプロポーズと捉えて良いの?」
「いや流石に会長、そんな急展開ないでしょうよ」
「あっすいません説明が不充分でした。生徒会歓迎パーティーを僕の家でやりませんか?」
「絶対行くわ!(即答)」
「うん、何かと面白そうだから私も参加させてもらおう」
「えっと私も行ってもいいですか」
「姉御に会えるなら、ゴホン、行こうかな」
「悪りー、俺その日はレコード会社との打ち合わせだわ。めちゃくちゃ何か起こりそうで楽しそうだけど、また遊びに行くってまゆ姉と准弥の母さんに言っといてくれ。」
「進以外は参加という事で、それでは決まり次第詳細ら生徒会ルームでお知らせしますね。んじゃ僕は今日はコミックスの発売日なので帰りますね」
俺はそそくさと生徒会室を出た。
あまりにもすんなり決まったな。
そんな俺の家なんて特別なものなんて無いんだがな。
准弥が去った後の生徒会室にて
「准弥くんのおうち!!」とテンションMAXな御一行がそこにあった。
「なあ進、准弥のことなんだけど」
すみれは進に尋ねる。
「ん?」
「私達、よくよく考えると准弥のこと実はあまり知らないんだよな」
「確かに、知っていることといったら私の小説にコメントしてくれてたことと」
「美女な姉御がいるってことと」
「あと・・・あれですよね」とみこはボソッとつぶやく
「まああいつ自分のことあんまり言わないからな。よし!この親友の俺が説明してしんぜよう!」
「まず、家族についてだが、カナンはまゆ姉と面識あるんだよな?どんな感じだまゆ姉は?」
「そうね、生徒会の女子は可愛い子しかいないけど、姉御は絶世の美女よ」
「まー、私達の前でそこまで言えるんだからかなりの美人なんだろうな」
「ああ、とてつもない美人だまゆ姉は。ちなみに准弥の母さんもタイプは違えど絶世の美女だ」
「そうなのね、それが准弥くんとどう関係するの?」
「あいつは普段のその絶世の美女達に囲まれて生活してるんだぞ」
「なるほど」とすみれは気がつく。
「そう、あいつは美女に免疫がありすぎるんだ。だから学校トップクラスの美少女率を誇る生徒会の子達になびかないんだよ。逆にい言えばあいつは中身の性格を良く見ている」
「なるほど、だからか」
「そういうことだ、そして皆も当然ながら知ってることだが、美人の姉、母の遺伝子を受け継いでるあいつはというと」
「いやあ、めちゃくちゃイケメンだよね」
「そういうことだ、あいつは自分自身、地味な取り柄もないモブだと思い込んでいるんだよな」
「なんだか府に落ちるわね」
「そう、そしてあいつは人の心を感じ取ることは出来ても、自分自身に向けられる目には一切感知しないんだよな」
「そういうことでしたか」
「みこ、なんか心当たりあるのか?」
「ええ、最近生徒会で学校で回ったりで樫木くんの隣で歩いてることが多いんですけど、進くん女子人気高いなとか、流石会長や副会長は熱狂的な信者がいるなとか言ってはいるんですけど、実際周りの生徒が話てるのが1番多いのは樫木くんなんですよね。彼一切その話声聞こえて無いのかなと思ったり」
「確かに私が姉御と准弥の噂を聞いたときも、どちらかというと好意的な噂だったわね。樫木なら仕方ないとか、樫木くらいのイケメンなら当然みたいな。」
「そうなんだよ聞こえて無いんだよ、あいつには。どういう体の仕組みしてるのかわからないけど。察しが良いのか悪いのか。まあそこがアイツの良さなんだけどな。」
「人を見かけだけで判断しないとこよね」
「そう、あいつは全ての人をフラットにみるからな。だから俺はアイツを信用してるってのはあるな」
「女の子ならあざといになるんだろうけど、男の子はどういうのになるのかしら」
進は1番分かりやすく答えた。
「ただの鈍感だろうよ」
「「「「たしかに」」」」
「アイツは人と話すのが苦手だとか、コミュ症ぽいところがあるとか言ってるけど、皆そう思うか?」
「いやないな」
「そうなんだよなコミュ症がそんな頻繁に知らない不良や絡らんでくる輩に向かって行かないだろ?実際准弥と話してみると話しやすいだろ?」
「確かにそうですね、私みたいにコミュ症でも樫木くんと話すと気を使わないです」
思い出したかのようにすみれは進に訊ねる。
「そういえば、以前、准弥は普通じゃないって言っていてたけど、このことなのか?」
「ああ、この事もあるけど、それだけじゃないな」
「他にもあるってこと?」
「まーあるんだけど、それはアイツの家に行ってみたらわかるから」
「えー気になるんだけど」
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