第5話 集合

 俺と進はいつもどおり、放課後に生徒会室に立ち寄る。


 ドアを開けると1人の少女が立っていた。


「ん?三島さん?」

「お、三島じゃねーか、どうした?生徒会に用事か?」

「いや、その、」

「ああ、君たちはクラスメートだったな。」

 すみれ先輩の姿が見え、俺達に説明した。

「紹介が遅くなった、みこが生徒会書記だ。」

「え?そうなんですか?でも昨日どうして言ってくれ無かったの?」

「いや、その、言うタイミング逃してしまって、、」

「そういや昨日、准弥が三島を助けたって言ってたな」

「弟くん、喜んでくれた?」

「いや、それは、あの人達にそう言ったら、引いてくれるかと思って、、」

「ん?」

「ごめんなさい、樫木くんにまで嘘をつく形になっちゃって。私、お姉ちゃんはいるんですけど、弟はいなくて」

「あーそうなんだ、いろいろ事情があるんだね」

「なーすみれちゃん、三島が書記やってるってことは三島も何かあるんだろ?」

「まあ、そうだな、みこ、言っても良いよな?」

 みこはコクりと頷く。


「君たち、星屑みぃーこって知ってるか?」

「あー、俺もYouTubeやってるから勿論知ってる。急上昇常連の実況Vtuberだろ?」

「僕も知っています。みぃーこの実況観て、ゲーム買ったりしてます、けど?」

「ああ、その星屑みぃーこがこの三島みこだ」

「・・・・・・・・・えー!!!」

「いや、全くの別人じゃねーか」

「確かに、みぃーこのアバターデザインってばいおれ先生のデザインですよね?今、気付きましたが」

「そうだ、私がキャラデザをした」

「でも、三島さんがみぃーこってこと、副会長よくわかってスカウトしましたね、僕たちも全然気が付かなかったのに」

「それは、私がみこにVtuberやるように勧めたからな」

「なるほど、でも三島さんってその、僕と一緒でそこまで、目立つって訳じゃないじゃないですか、美少女だと思いますけど」

「はぅぅうう」

 みこは顔を真っ赤にして、すみれの後ろに隠れ顔を覗かせ俺を見る。

 なにそのしぐさ、可愛い。

「ったく、お前、みこにも。。みこは声優志望なんだ。私の知り合いの声優がイベントをした時に知り合ってな、でもみこはこんな感じだろ?だから人の顔を見せないで、キャラになりきってできるVtuberを勧めたんだ。声優の演技の練習にもなると思ってな」

「なるほどな。それにしてもキャラ違いすぎねぇか、Vtuberってアニメ声でおしゃべり得意なイメージあるけど」

「そうだ、みこは演技という面ではそこらのVtuberとは比べ物にならん、天才だ」

「はぅぅうう」

 いやまたまた可愛い反応。

「ただ、みこもこんな感じだ、声優学校を今後受験、アニメのオーディションを受けるにしろ人との付き合いがないとな。だから人前に慣れるために、生徒会に誘ったんだ」

「なるほどすみれちゃんがみぃーこのプロデューサーって感じだな。すみれちゃん面倒見いいな。そういうとこ好きだわ」

「な、なんだ急に!」

 副会長顔真っ赤だ、もう付き合ったら良いのに。。

「あの、ど、どうして、か、樫木くんは、せ、生徒会に、は、入ったんですか。あと、えーとし、新藤くんも、」

 しどろもどろ、可愛い。

「いや、ついでに聞くなよ、俺の名字間違ってるし誰だよ新藤って。まあ、俺は聞いて驚くなよ!あのHANAUTAだ」

「・・・へぇーそうなんですね」

「反応薄っす。ちょっとへこむわ、もうちょっと頑張るわ、、」

「樫木くんは、その、、裏闘技場の絶対王者とか、昔、将軍の懐刀として暗躍した、忍者一族の末裔とか、、ですか?」

 なにその青年漫画に出てきそうなピンポイントな設定。

「いや、僕はそんなのは無いよ、普通の生徒だよ、皆の裏を知ってるだけで。ダメだったかな?三島さんの正体も知っちゃってるし」


 みこは頭を鬼のように横に振る。


「か、樫木くんに、知ってもらって、一緒の生徒会に入れて、わ、私、う、嬉しいです」

「それなら良かった、これからよろしくね三島さんいや、みこちゃんで良いかな?」

「はぅぅうう」

 なぜか顔真っ赤だけど、頷くの可愛い


 それにしてもさっきからなんか奥の方から視線を感じる。


「で、そんな所で、何してるんですか会長」


 ジト目のしおりは振り向きもせず、奥の少し開いているアトリエの扉に話しかける。


「いやーそのー、自己紹介中だったから、おじゃまかなーと思って」


「なんだ、光さんも居たんじゃないですか、光さんあっての生徒会なんですよ!」

「光さん!?はぅぅうう」

「どうかしましたか?光さん、すいませんやっぱり会長の方が良いですよね、すいません」

「ちっ」と舌打ちする光。


 俺と会長のやり取りを見て、何故かすみれさんと進は口に手を当て笑いを堪えている。



 「ゴホン、と、とりあえず今のところ決まっている生徒会メンバーは集結したわね、これから忙しくなるわよ生徒会。で、すみれちゃ、いや副会長予定は?」


手を腰に当て、凛とした体制で光会長が副会長に促す。


「いえ、今のところは特に、御座いません。」


「・・・・・・・」








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