第4話隣のうざい奴がうざすぎる件について
勉強を学ぶうえで最も大事な時間。それは学校の授業である。この授業時間をいかに有効活用できるかによって、勉学の出来も変わってくる。真面目に授業に取り組む生徒と、私語をしたり寝ている生徒とでは成績に天と地の差が生まれる。
そしてその成績は、将来自分が社会に出るうえで最も必要となる項目だ。学生のとき一番大切なのは、放課後友達と遊ぶ時間でもなければ、部活動で汗水を垂らす時間でもなく、授業時間なのである。
少なくとも長野は、そう信じてきた。
「ね、長野さん。もしわかんないところがあったら僕が教えてあげるよ」
「いえその……お気遣いどうも……」
「気遣いなんてそんな。僕は困っている人をほっとけないだけだよ!」
「それは……立派な《こころざし》志ですね。ははは……」
うっっっっっざぁっぁあぁぁい! 今にもそう叫び声をあげだしたいほど長野はムカついていた。放課後はバスケット部の活動があり、そのあとはバイト。休日も一日中バイトを入れている多忙な長野にとって、ゆっくりと勉強に集中できる時間はこの授業の時間だけであった。
あまり家が裕福でない長野は、大学のことで親に負担をかけたくないと考えており、そのためには公立のいい大学に入りたいと考えていた。
しかし公立大学に入るのは一筋縄ではいかない。授業も聞かずに適当に高校生活を送っているだけではまず受かることはできない。
なので、長野はこの授業時間を毎度、全力で取り組んでいた。教師の発言を一言も聞き漏らさず、板書も全て正確にノートに書き写す。
誰よりも授業に対して本気で臨んでいるのは長野だと断言できる。それほど彼女は本気で勉強をしているのだ。
しかし、その貴重で神聖な時間に一匹の害獣が紛れ込んできた。そう、誰であろう、あの須賀雅紀である。なんとか長野と良好な関係を築きたい須賀は、休み時間であろうと授業中であろうと御構い無しに、長野に話しかけていた。
しかしそれは悪手であり、現に長野は手に持っているシャープペンシルを折り曲げそうなぐらい憤怒している。授業中に話しかけられる行為は、長野にとってとても腹立たしい行動であるのだ。
「ねぇ長野さん。あの先生って絶対ズラだよね」
「あはは……ソウデスネー(棒)」
ペキっとシャーペンの芯が折れる音がする。「テメェをズラが必要な髪型にしてやろうか?」なんてことを思ってしまうほど、長野はムカついていた。
こうして今回も、自分に対する長野の評価を著しく下げた須賀であった。
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