第7話 父との約束

その後、俺は風呂から出て、香澄が作ってくれた、ご飯を食べた。今日はオムライスだった。卵の生地がトロトロで店に出てきてもおかしくない程の完成度だった。

「美味しい」

「ありがとう」

香澄は太陽のような明るい微笑みを浮かべた。それは、幼い妹ながらもとても可愛かった。オムライスを食べながらテレビを付けると

また、今朝の水族館が話題になっていた。

「これ、今すごく話題になってるよ」

と香澄が、教えてくれた。その時自分のポケットに入れていたスマホが振動した。

ロック画面から通知を見ると葵衣からだった。

『ねぇ今、テレビ見てる?6チャンネルで水族館の話題が上がってるよ』

と今まさに俺達が見ているテレビ番組は葵衣も見ていたらしい。

『俺も今見てるよ』

と返信した。

その後の葵衣からの返信はなかった。

俺は香澄を見ると香澄は目を大きく見開いてテレビを見ていた。

「お兄ちゃんテレビ見て....。」

と言われ反射的に俺はテレビ画面に目を通す。

「.....っ!!」

そこに映っていたのは。


水族館建設リーダー(重要責任者)

比嘉継 邦彦くにひこ


の文字と顔写真だった。

そして、その隣にある人物名もまた驚きだった。


水族館建設福リーダー(重要責任者)

白鳥 玲香れいか


白鳥の母親の名前だった。

俺と白鳥は世界の中でもトップの会社を経営しており、財閥と呼ばれているほどだ。

白鳥の母親と俺の父親は、昔ながらの幼なじみらしい。さらに、2人と俺の母親を入れて、去年の世界の中で最も経済力のある人材トップ10に3人とも入っているレベルだ。

その中の2人が経営する水族館は、きっと凄いに決まっている。そんな事を思っていると、父親から電話がかかってきた。

恐る恐る出てみると。

「テレビは見たか?」

と聞かれ俺の心臓は口から飛び出しそうになった。隣では香澄も心配そうな目をして俺を見つめていた。

「はい、見ました。」

邦彦はそうか、と言うと言葉を続けた。

「今週の金曜日に、水族館で開催前の前夜祭もかねて水族館の中でパーティをする事になった。」

「なるほど。」

「お前はその日同級生の白鳥さんと、一緒に水族館へ来い。」

「え、白鳥さんとですか?」

「そうだ、良いな、くれぐれも私の顔に泥を塗るようなことはするな。そして、白鳥さんに良い礼儀を振舞えよ、分かったな。」

と邦彦は言い最後こう言った。


「完璧な人間しかいらない。」


そして、通話が終わり俺は足から崩れるように、床へ膝をついた。

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