第6話 問と答え
その物語は今このテーブルに存在する。
「さぁやりましょう」
と白鳥が言い、その言葉に全員が頷き物語を描いてゆく。物語に夢中になっているとさっき頼んだクレープがテーブルに運ばれて来た。
「ちょ〜美味しそう」
と葵衣が言い自分のスマホで写真を撮り始めた。そして、その隣の席に座っている快人もスマホを使ってクレープを真剣な目で撮っている。
「やだぁ〜何このクレープ凄く美味しいわ」
と光司が驚きの声を上げそれを聞いた俺と白鳥は目の前にあるクレープを口に入れた。
その瞬間
(うっっっまぁぁぁぁー)
俺は心の中で叫び白鳥は
「んっ!美味しい」
と微笑みながらクレープを口の中に入れる。
その光景は、もう可愛いの一言では言い表せないような顔だった。
クレープを食べ終えて、その場で俺達は解散した。
日はすっかり落ち辺りは太陽とは、違う天の空に輝く無数の星達の光に包まれていた。そんな中俺達は二人並んで帰っていた。
「ねぇ、駿」
すると隣で歩いていた彼女は、俺の名を読んだ。
「朝の話、考えてくれた?」
すると彼女は、足を止め俺の顔を目をまっすぐ見て、質問の答えを待っている。
リニューアルオープンした水族館に行きたい。
彼女は、そう俺に提案してきた。だが俺はその答えを、出せていないまま今に至った。
そして、丸一日考えて俺の出した答えは....。
また突風が俺達を包み込むようにして吹いき桜の花弁をちらす。風は今朝よりも冷たかった。
「いいよ、一緒に行こう。」
俺はそう言い葵衣の問いに答えを出した。
すると葵衣はどこか安心したのか、ホッとしたような顔になった後少し顔を朱らめ微笑んでいた。
その後、いつものように一緒に隣を並んで歩き帰った。
葵衣とは玄関で別れそれぞれ隣同士の号室へ入ってゆく。
「おかえり〜」
キッチンの方から香澄の声が聞こえてきた。
香澄は何か料理をしているらしく俺は、先に風呂に入った。湯船に浸かり今日あった出来事を振り返った。
皆でクレープ店に行ったこと。
小説を描いたこと。
葵衣に水族館へ誘われたこと。
「ちょっと待てっ!」
自然に声が出ていた。だが俺はある疑問を抱いた。
(葵衣は何故、俺を水族館へ誘ったんだ?)
今更ながらそんな事を思ってしまった。
別に俺じゃなくても仲の良い白鳥達とでも行けるはずなのに彼女は俺を誘った。
というか男子二人で行くとなるとそれは、やばいんじゃないか。
「青春よ」
ふと、光司の言葉が脳裏をよぎった。
高校二年生の春。
いよいよ俺は、青春を味わうことになる。
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