第3話 禁断の島への上陸

私はドアを開けていいかどうか迷っていました。周囲は静寂に包まれ、迫りくる何かの気配に身体は緊張し、心拍数は高鳴っただけでなく、ほぼパニックに陥っていました。思考が麻痺し、次になにが起きるのか予測もできず、ただ無意識のうちにドアに向かって手を伸ばしていたのです。


目の前に現れたホウの存在を認識した瞬間でした。彼女は黒い長い髪をおろし、その色と同じ漆黒のアフリカの民族衣装のような服を着ていました。ホウは姿勢がまっすぐでありながらも、なぜか環境に溶け込む不思議な雰囲気を漂わせており、まるでここには彼女しか存在しないかのような強いオーラを放っていました。その大きな瞳は深い闇のように黒く、宇宙のような輝きを秘めているようにも見えました。その眼差しは、無言でありながら何千もの言葉を語るかのような力を持っていました。


私が呆然と立ちすくむ中、ホウは微かに微笑み、その透き通るような白い手から白い粉を振りまいたのです。粉は光によって微細にきらめき、空気中を舞い、まるで別の世界から来たかのような魔法の粉を連想させました。私はその美しさに見とれる間もなく、粉が肌に触れた瞬間、世界がぐるりと歪み、意識が薄れていきました。そして気がついたときには、何が起きたのか、その後の出来事は一片の記憶としても残っていないのです。


目を覚ますと、私は説明のつかないほど奇異な場所にいました。まず目に飛び込んでくるのは、あまりにも生命力に溢れたジャングルの光景です。四方を見渡す限り、静謐で神秘に満ちた密林に囲まれていました。ここはどこなのか、頭を捻る間もなく、自然の息吹が肌に触れます。 木々は天を衝くかのようにそびえたち、複雑に絡み合った枝葉が一面のカーテンを形作っていました。空を仰いでも、ただの一筋の青空も見つけることは叶わず、代わりに無数の緑の葉の隙間から微かな光が差し込んでいるのみです。それはまるで光の粒が、ここへの道標であるかのように、薄暗い地表を照らしています。


ジャングルの空気は潤いに満ち、息をするたびに新鮮な酸素とともに、未知の香りが鼻腔をくすぐります。どこからともなく聞こえる水の音は、安らぎをもたらすようでありながら、この場所の謎を一層深める要素となっていました。


ホウは、白い粉を私にかけながら、微笑んでいます。気づかれたみたいですね。ホウは、地上の守り神タオ様から遣わされ、宇宙からの侵略者との戦いにあたり、私を救い、共に戦う為に来たのです。


地下神殿は、この島がまだ若い大地だった頃に作られたもので、時間の経過と共に埋もれ、今ではその全貌を知る者はほとんどおらず、その入り口さえも秘匿されています。伝承によれば、神殿は古の力を秘め、地上を守るための何らかの鍵が隠されていると言われています。神殿内には複雑な迷宮が広がり、その中心にはマボマボ様が祀られた聖域があり、ここはタオ様の力とも結びついているとされています。

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