第18話 魔術の反動

翌日はクラス中が裕樹を警戒していた。八人に勝利した男。学内最強の魔術師。うわさがうわさを呼び実力は咎人のそれだ、なんて真実に近い憶測までたっていた。裕樹は、おとなしく一日を過ごすつもりでいた。アナウースがある前までは……。

[大空 裕樹。大至急、教師明美の元まで]

 どこに来いという指定はなかったが直感的に屋上な気がした。屋上へ向かう階段は昼休みには込み合っていてることが多い。だが今日はあまりにも人気がない。

(人払いの魔術か?)

屋上では、たばこをふかす明美先生がいた。

「よお大空。例のあれ持ってきたか」

 スマホから明美先生へありったけの情報を渡した。確認をしたのか明美先生はスマホをしまう。

「十分な情報量だ。大空よ。最近目にした魔術は使ったか?」

 言いたいことが分かった裕樹はソッポを向いた。

「質問を変えよう。最近どんな魔術を目にした」

「獣化、身体強化、剣の権原など……最後に回復魔術とか」

 申し訳なさそうにいう。

「美羽のも見たんだね。君はどこまでも優しいね~。どうせ突き放すことができなかったんだろ?」

「もう会得から協力はいらないとは言えなかったです」

「他人の魔術には、まだ手を付けてないようだな」

 明美先生は裕樹の体をなめるように眺めた。

「可能性の話です。もし使ったら自分はどうなります?例えば獣化の魔術なんか」

「そりゃ~元の姿には戻れんだろうな」

「そうなりますよね」肩で息をする。

「そうじゃなくても君の魔術強度は高い。そんな君が獣化なんてしようものなら人間の形を取り戻せぬだろうよ」

「ですよね……」

「相手の魔術を盗み借りれば、それ相応の代償があるのは当たり前だ」

「カードキャストに詳しいのですね。先生は」

 たばこを携帯灰皿で押しつぶししまった。

「君の教師だからね」

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