うわさ
先生、あの子たち付き合ってるんでしょ。
え?
隣の席の先生がこっそりと話してくる。
その視線の先には
野球部顧問の話を聞く男女。
男子生徒は私の受け持つクラスの生徒で
女子生徒はとなりのクラスの生徒。
へぇ、あのふたりが。
同級生同士で青春だなー。
なんて思っていたら
あの女子生徒って先月までバスケ部の上級生と付き合ってたでしょ。
後ろの席の先生まで会話に入ってくる。
そうそう。
けっこう長かったわよね。一年くらい付き合ってたんじゃないかしら。
ちがうちがう。
あの子は吹奏楽部の下級生と付き合いつつもバスケ部の上級生とも付き合ってたのよ。
二股ってこと?
それがちがうのよ。
バスケ部と別れたあとに吹奏楽部と付き合って、また別れてバスケ部よ。
通算したらバスケ部の彼とは一年くらいになるんじゃないかしら。
あら、そうだったの。
たしか放送部の子とも付き合ってたわよね。
そうそう入学して早々に。
男が一度も途切れてないのよね、すごいわ。
モテるのねぇ。
でもやっと野球部の同級生に落ち着いたのあしら。お似合いだわ。
分からないわよ、人生いろいろなんだから。
そうねぇ。
どうして先生方そんなに詳しいんですか?
生徒のことを良く見てるからよ。
そうそう。
へぇ、、。
先生は入ったばかりだから仕方ないわよ。
後々分かってくるわよ。
いくつになっても
うわさ好きなだけよね。
と内心思いつつも、笑顔で返しておいた。
その日の放課後、
うわさの女子生徒を見かけた。
仲睦まじく手を繋いで校門へ歩いていた。
その相手は
野球部でもバスケ部でも吹奏楽部でも
放送部でもなかった。
うわさなんて
そんなものだ。
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