9話②編
ミュー「何故、必死に訴えるワタシが残念な子扱いされねばならぬのか」
アディ「どう考えてもがっかり残念仕様だろ」
ミュー「他に言い方ないの!?」
アディ「自覚が薄いのは知っているが、お前は本当になぁ……」
ミュー「その憐れむみたいな顔を止めろ。めっちゃ腹立つから」
アディ「無理だ」
ミュー「ワタシは仕事を頑張っただけなのに、扱いがヒドイ」
アディ「別に酷くない」
ミュー「ユリウスさんがとどめ刺してくる。オトンが冷たい」
アディ「アレは優しいときの顔だろ」
ミュー「優しいつもりでもワタシには優しくなかった」
アディ「怖い方で無くて良かっただろ」
ミュー「うぐ……っ」
ミュー「アディの爽やかな笑顔が死ぬほど憎い」
アディ「至れり尽くせりで手はずを整えた俺に対するそれが返礼か?」
ミュー「どこら辺が!?」
アディ「お前のようなポンコツが相手でもきっちり仕上げてくれそうな女官長に頼んでやっただろう。忙しいのに」
ミュー「言い方!!!扱い!!!」
ミュー「っていうか、このコマのアンタのエフェクトなんか間違ってる」
アディ「何がだ?」
ミュー「キラキラエフェクトをこんなところで使わないで欲しい!腹が立つから!!」
アディ「お前は本当にワガママだな」
ミュー「ワタシに対するアンタの態度も大概なんですけど!?」
アディ「そうか?」
ミュー「ツェリさん、美人なのに怖い……。美人なのに……。普段は優しいオカンなのに……。スパルタマダムになってしまった……」
アディ「そもそも、女官長は仕事に厳しい女傑だぞ」
ミュー「ワタシには優しいオカンだったの!」
アディ「まぁ、お前には妙に甘いよな」
ミュー「何でか知らんけどね」
アディ「しかしお前、どこまで基礎からなんだ……」
ミュー「真っ直ぐ綺麗に立つって難しいよね」
アディ「ミュー、こっちを見ろ。目を逸らすな」
ミュー「ワタシにドレス着て宮廷で踊るようなダンスの素養はねぇんだよ!」
アディ「それは知ってるが、立つのすら微妙……」
ミュー「うるっさい!」
ミュー「そもそも、ワタシはただの一般人なので、多くを求められても困るんだ」
アディ「開き直った」
ミュー「ワタシはワタシなりに頑張ってるもん!いきなりすぎるんだよ、展開が!」
アディ「原因を紐解くとお前の自業自得だがな」
ミュー「お仕事頑張っただけなのに!現実が世知辛い!」
アディ「完璧に飴と鞭で躾けられてるな、お前」
ミュー「ツェリさんはオカンみたいなもんだから、別にそれでいいもん。優しくしてくれるなら問題無い。美味しいおやつ万歳」
アディ「最優先は食い気か」
ミュー「睡眠も大事にするよ?」
アディ「そういう意味じゃ無い」
ミュー「?」
ミュー「チーズケーキ美味しい。流石ワタシのシュテファン」
アディ「お前のじゃない」
ミュー「ワタシの願望を叶えてくれる、優しくて可愛いワタシの大好きなシュテファン!」
アディ「……お前、シュテファンはうちの料理番だってわかってるか?」
ミュー「ワタシの大事なシュテファンだもん!」
ミュー「問題は、この時点での女官長の中でワタシの認識が子供であることだ」
アディ「別に問題ないだろ」
ミュー「大ありだわ。今から頑張れば淑女になれますみたいなこと言われても、反応に困る」
アディ「そうだな。お前に淑女はどう考えても無理だ」
ミュー「そういうことを言ってるんじゃない!」
ミュー「ダンスレッスンを地道に頑張るワタシ、偉い。根気強く指導してくれるツェリさん、素敵」
アディ「まぁ、そうだな。女官長は基本的にお前に甘いから、地道に付き合ってくれるだろ」
ミュー「悪かったな。進捗が遅くて。ワタシなりには頑張ってるんだよ」
アディ「知ってる」
ミュー「ならいい」
アディ「引きがここか」
ミュー「ワタシの魂の叫びである」
アディ「大袈裟なやつだな……」
ミュー「いや、原因は半分以上アンタにあるからね?アンタの手回しの悪さが原因だからね?自覚して、そこの覇王様?」
アディ「何をだ?」
ミュー「こんにゃろう。こっちは死活問題だってのに」
アディ「悪くないデザイン案なんだがな」
ミュー「デザインが悪くないのと、ワタシが着るのとはまた別問題だ。ばっきゃろー」
アディ「はいはい」
ミュー「こらー、ちゃんと聞け!耳付いてんのかー!」
以下、口論が続くので割愛!
(終)
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