31話:助手ウルグス
悠利「今回の実況解説役はウルグスでーす」
ウルグス「消去法で呼ばれました」
悠利「消去法って……」
ウルグス「クーレさんは前やったし、マグじゃ会話になんねぇだろ。ユーリとじゃ」
悠利「あー……」
ウルグス「ルークスは喋れねぇし。流石にギルマスは呼べないだろ」
悠利「……そうだね」
悠利「出来心でクーレの武器について聞いたんだけどねー」
ウルグス「あー、クーレさん、ナイフも持ってるけど本来の武器はそっちじゃないもんな」
悠利「いつもいっぱい瓶持ってるなーとは思ってたけど、アレが武器なんだねぇ」
ウルグス「投擲系は色々あるぞ」
悠利「奥が深い……」
悠利「あんな物騒なモノを持ち歩いてるとか思わなかったんだ、僕……」
ウルグス「武器なんだから、物騒に決まってんだろ。魔物相手にすんだぞ?」
悠利「そうなんだけどー。うっかり割っちゃったら大変だなって」
ウルグス「クーレさんはやらないだろ」
悠利「レレイが」
ウルグス「あー……」
悠利「まぁ、瓶を割ることはないだろうけど、たまーにうっかりはするよね」
ウルグス「風の向きは要注意だな……」
悠利「そしてアリーさんのアイアンクローは痛い」
ウルグス「ユーリ……」
悠利「痛いんだよ……(遠い目)」
ウルグス「……(俺等のときより手加減されてるんだけどな……)
ウルグス「そういやユーリ、なんで冒険者ギルドの側にいたんだ?」
悠利「え?普通にぶらぶら買い物してた途中だよ。たまたま通りがかっただけで、別に用事はなかった感じ」
ウルグス「なるほど。それなら納得した。なんでユーリがいるんだ?って思ったんだよなぁ、俺」
悠利「僕、関係ないからねぇ」
悠利「赤判定の人は見逃しちゃダメだって思うんだよねぇ……」
ウルグス「その赤判定ってのが、なんかもう、マジで反則技じゃねぇか?」
悠利「そう?」
ウルグス「ユーリが危ない目に遭わないの、運が高いだけじゃないよなぁ……。技能で危ないものを判定してんだもん」
悠利「便利だよ-」
悠利「今回はクーレの知り合いさんたちだから良かったと思うんだー」
ウルグス「なんで?」
悠利「見知らぬ他人がいきなり何か言い出しても、話聞いてくれるとは限らないでしょ?」
ウルグス「あー、そっか。ユーリ、鑑定技能高そうに見えないもんな」
悠利「何故か皆にそう言われる僕です」
ウルグス「つーか、あの兄さんたち、危機管理能力低くないか……?」
悠利「うーん?普通に一生懸命頑張ってる駆け出しさんで、相手が友好的だったら疑わないかもしれないよ。冒険者ギルドの所属だって解ってるなら、なおさら」
ウルグス「そういうもんかぁ……?」
悠利「そうだと思うよ」
ウルグス「ユーリの赤判定もだけど、ルークスがやる気満々なのが個人的にやべぇなと思ってる」
悠利「ルーちゃんは強くて頼れる賢い従魔なので」
ウルグス「なぁ、過剰防衛とか過剰戦力って単語知ってるか?」
悠利「知ってるよ?」
ウルグス「お前とルークスがマジでやらかすと、完全にそれだぞ?」
悠利「そういえば、ウルグスたちも声をかけられて、それが変だって思ったんだよね。なんで?」
ウルグス「見るからに俺らは駆け出し以下だろ。なんで声かけんだって思ったし」
悠利「思ったし?」
ウルグス「マグがなぁ。すっげー嫌そうな顔したんだよ。あいつのそういう勘は当たる」
悠利「マグの危機管理能力とか生存本能とかが凄いのはわかるけど、あのマグの表情からそれを汲み取れるウルグスも凄いと僕は思う」
ウルグス「あ?最近は大分解りやすいだろ。特に、負の感情」
悠利「無理だよ!どうやって見分けたら良いのかわからないよ!?」
ウルグス「そうかぁ……?」
悠利「他人のステータスを詳細鑑定しちゃいけませんって言われてるけど、赤判定の時は例外なので、遠慮無く見たよね」
ウルグス「だいたいのことはユーリの技能だけで片付く気がするのは気のせいか」
悠利「そんなことないよー。僕、戦闘力も権力もないもん」
ウルグス「それまであったらやべぇよ」
悠利「キリってしてるルーちゃん、格好良いよね!」
ウルグス「俺には今まさに爆発しようとしてる危険物体にしか見えない」
悠利「えー……」
ウルグス「言っておくけど、ルークスの戦闘能力アホみたいに高いからな!?舐めたら大変な目にあうぞ!?」
悠利「ルーちゃん、意味なく暴れないもん」
ウルグス「てかお前、他に言い方なかったのか……?どう考えても煽ってるだろ……?」
悠利「煽る……?」
ウルグス「……素かよ……」
悠利「だって、悪いことするのはよくないじゃない。他にどう言えば良かったの?」
ウルグス「いや、言い方がさ、子供の悪戯を咎める親みたいだったからさ……」
悠利「ギルマス格好良いよねー」
ウルグス「あのギルマス相手にほわほわしてるお前がすげぇよ」
悠利「格好良くて優しいお爺ちゃんじゃないの?」
ウルグス「……ギルマス、強いんだぞ……?」
悠利「わー、格好良くて強いなんて、流石だねぇ」
ウルグス「……怖いも追加しといてくれ」
悠利「うん?」
悠利「ギルマスの独壇場だったねー」
ウルグス「暢気に笑ってられるお前の神経がすげぇよ……」
悠利「そう?」
ウルグス「まぁ、ユーリは従魔登録以外で関わることないもんなぁ……。俺等は普段からお世話になってるからさ」
悠利「取引先みたいなもの?」
ウルグス「職場の大先輩とか上司枠?」
悠利「そして思うんだ」
ウルグス「何だよ」
悠利「アリーさんのネームバリューすごいなって」
ウルグス「まぁ、リーダーだしなぁ……」
悠利「僕が何やっても、アリーさんの秘蔵っ子っていう言葉だけでどうにかなるんだよ。凄すぎない?」
ウルグス「やらかしてる自覚はあったのかよ」
悠利「少し?」
悠利「とりあえず、今回はこんな感じでしたー。ウルグスありがとー」
ウルグス「おー。これで俺も終わったし、次からは見てるだけで終わるな」
悠利「これ、そういう扱いだったの!?」
ウルグス「とりあえず、一巡するまでは出番来ないだろうって皆が言ってたぞ」
悠利「わー……」
悠利「あ、でも、マグのときはウルグスも来てね」
ウルグス「何でだよ」
悠利「だって、会話がなりたたないよ!そりゃ、ウルグスがいないときはまだ、少しは喋るようになったけど!」
ウルグス「俺がいたらもっと喋らないだろ」
悠利「僕らにはまだ通訳が必要なんです」
ウルグス「面倒くせぇなぁ」
悠利「それじゃ、マグの担当のときはウルグスも一緒ということで」
ウルグス「確定事項にすんなよ!」
悠利「ありがとうございましたー」
ウルグス「聞け!」
(終)
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