32話:助手ブルック

悠利「今日はブルックさんが来てくれてますー。よろしくお願いします」

ブルック「あぁ、よろしく頼む」

悠利「なんで今回ブルックさんなんですか?」

ブルック「被ってないのが俺しかいなかったからだな」

悠利「アレ?そうでしたっけ?」

ブルック「今後の流れ的にも俺が適任らしい」

悠利「へー」



ブルック「炊き出しの手伝い、頑張ってたんだな」

悠利「お手伝いは頑張りましたけど、僕もルーちゃんも裏方だったので」

ブルック「?」

悠利「普段やってることと特に変わりはないなぁ、と」

ブルック「なるほど。言われてみれば確かにそうだな。余所でご飯を作ってきただけか」

悠利「はい」



ブルック「ルークスも随分と馴染んだな」

悠利「ルーちゃんは可愛くてお役立ちなので、木の序の皆さんにも大人気なんですよ」

ブルック「まぁ、賢いのは事実だな」

悠利「ですよね!」

ブルック「……というか、賢すぎるというのが正しい気がするが」

悠利「はい?」

ブルック「いや、何でも無い」



悠利「お肉ともやしで手軽に出来る料理は、最強だと思うんです」

ブルック「そうなのか?」

悠利「お肉が入っていたら、皆、釣られて野菜も食べるので」

ブルック「こらこら」

悠利「まぁ、うちの皆は野菜のおかずも喜んで食べてくれるんですけど」

ブルック「悠利の料理は美味いからな」



ブルック「そういえば、顆粒だしなんだが」

悠利「便利ですよね」

ブルック「おかげで仕事が増えたと、駆け出しの錬金術師達が喜んでいたらしいぞ」

悠利「へー」

ブルック「お礼を言われたアリーは微妙な顔をしていたが」

悠利「何でアリーさんに?」

ブルック「ほら、お前の保護者だから」



悠利「なるほどー。いつもお世話になってますー」

ブルック「もう完璧にお父さんだと思うんだがな」

悠利「……もしかしてブルックさん、そう呼んでからかったりしました?」

ブルック「うん?」

悠利「……やったんですね」

ブルック「あいつがお父さん枠なのは確定だろう?」

悠利「だからって……」



ブルック「しかし、これは割と簡単に作れそうだな」

悠利「手順が簡単で、大量に作れるので便利です。うちみたいにいっぱい食べる人が多い場所だと特に」

ブルック「なるほど」

悠利「大勢の時はこういう料理を作ると楽ちんで助かります」

ブルック「ユーリでもそう思うのか」

悠利「思いますよ?」



ブルック「しかし、何度見てもザルを掃除するルークスの姿は珍妙だな……」

悠利「え?可愛くないですか?」

ブルック「……可愛いのか、アレは」

悠利「僕は可愛いと思うんですけどー」

ブルック「そうか。俺は可愛いに関してはよく分からないからな。ユーリが言うならそうなんだろう」



悠利「これ、ライスに載せて食べたとき、皆がいっぱい食べて驚いたんですよ~」

ブルック「肉の旨味が出ているからな。食べるだろう」

悠利「ブルックさんも結構食べてましたよね」

ブルック「美味しかったぞ」

悠利「というか、ブルックさん、食べた分はいったい、どこへ……」

ブルック「ん?」



悠利「レレイといい、ブルックさんといい、質量保存の法則が間違ってると言いますか……。いっぱい食べてるのに全然肉になってる気配がないので」

ブルック「一応、動いているからなぁ」

悠利「そういうものですか?」

ブルック「あと、脂肪じゃなく筋肉になってると思うが」

悠利「あー……」



悠利「炊き出しは大成功に終わりましたし、ルーちゃんが洗い物で大活躍でした」

ブルック「従魔の使い方としては間違ってるんだが、今さらか……」

悠利「ルーちゃん、お掃除とか大好きなんですよね」

ブルック「ユーリが褒めるからじゃないか?」

悠利「え?」

ブルック「褒められて嬉しいとか」



悠利「そして、珍しく晩酌が真面目な気配だったのでおつまみを作ろうと思いました」

ブルック「そこでその発想になるのがユーリだな、と」

悠利「迷惑でした?」

ブルック「いや、ちっとも。いつも美味しいおつまみはありがたい。ただ、無理はするなと思うだけで」

悠利「してませんよ?」



ブルック「ところで、何でアレを作ろうと思ったんだ?」

悠利「家でもお酒のときに出すと喜ばれてたので」

ブルック「……家でもやっていたのか?」

悠利「両親とか姉とかがお酒を飲むので、おつまみを作ると喜ばれました」

ブルック「そうか。ユーリは故郷でもユーリだったんだな」

悠利「はい?」



ブルック「ちなみに、クーレは酒に弱いわけじゃないぞ。普通だ」

悠利「アレ?そうなんですか?本人はあんまり強くないって言ってたんですけど」

ブルック「レレイが強すぎるだけだ」

悠利「あー……。安定のレレイ」

ブルック「人間としてなら、普通の強さだと思うぞ、あいつは」



悠利「チーズがとろとろで美味しく出来ましたー」

ブルック「悠利は、料理をしているときと、それを食べているときが、同じぐらい幸せそうだな」

悠利「僕、作るのも好きですけど、食べるのも好きなので」

ブルック「知っている」

悠利「むしろ、食べたいから作ってるんで」

ブルック「知っている」



悠利「フラウさんに褒められました」

ブルック「成人間近を相手にすることではないのだろうが、ユーリ相手だからな」

悠利「え?どういう意味ですか?」

ブルック「どうにもこう、子供を相手にしているような……」

悠利「ブルックさん、僕、17歳です……」

ブルック「大丈夫だ。覚えている」



悠利「アリーさんは、大袈裟に反応はしないけど、気に入ったらちゃんと気配とかには出るんですよねー」

ブルック「何だ?直接は言ってこないのか?」

悠利「この前聞いたら、他の面々に囲まれてるから言いそびれるって言ってました」

ブルック「恥ずかしがり屋か」

悠利「それ言ったら怒られますよ」



ブルック「しかし、レレイは食い物には目敏いな」

悠利「……スイーツに目敏すぎるブルックさんにだけは言われたくないと思います」

ブルック「しかし、あいつは食べ物関係全般に反応するだろう?」

悠利「まぁ、食いしん坊の名をほしいままにしてますからね、レレイは」

ブルック「大食いで良いだろ」



悠利「クーレが表に出せない顔になっちゃってる……」

ブルック「レレイのペースに引っ張られるとこうなる」

悠利「口当たりが良いって言ってましたけど、そういうのあるんですか?」

ブルック「あるな。まろやかだったりで、酒精を感じにくい酒だったんだろう。だが、酒は酒だ」

悠利「なるほど」



ブルック「仲良く晩酌をしていれば良いものを、わざわざ騒いでアリーの地雷を践むとは……」

悠利「ブルックさん」

ブルック「何だ?」

悠利「副音声で『お父さんの地雷』って聞こえたのは僕の気のせいですか?」

ブルック「ん?お父さんだろう?アレは」

悠利「……面白がっちゃダメですよ……」



ブルック「しかし、ユーリは助けには入らないんだな」

悠利「理由があって怒られてるところに首を突っ込むほど、野暮じゃ無いです」

ブルック「そうか」

悠利「あと、今回は二人ともちっともフォロー出来ないといいますか」

ブルック「それは確かにその通りだな」

悠利「でしょう?」



悠利「とりあえず、今回はこんな感じでした。ブルックさん、ありがとうございます」

ブルック「いや、結構楽しかったぞ」

悠利「その心は」

ブルック「アリーをおちょくるネタが色々あって」

悠利「……ブルックさんとレオーネさんって、すぐそうやってアリーさんで遊びますよね……」



ブルック「何はともあれ、こうして来たので、次はいつになるか解らないやつだな」

悠利「二週目が回ってくるまでお待ちください」

ブルック「では、安全圏から見物していよう」

悠利「言い方がひどいですよ……」

ブルック「ここに来るのは被弾の可能性が高いと聞いて」

悠利「何ですかそれ!?」



悠利「気を取り直して、次回もどうぞお楽しみに~」

ブルック「誰が来るのか楽しみだな」

悠利「何となく予想はついてますけどね」

ブルック「そうか、頑張ってくれ」

悠利「はーい」


(終)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る