30話:助手ハローズ
悠利「今回は30話の解説になりますが、珍しいお客様をお迎えしております」
ハローズ「よろしくお願いします」
悠利「いきなりすみません-」
ハローズ「いえいえ。ところで、何故私なんですか?」
悠利「アリーさんもレオーネさんも一度やったからって断られちゃって……」
ハローズ「あー……」
悠利「と、いうわけで、気を取り直して実況解説です!今回は冒頭からレオーネさんです」
ハローズ「彼、割と頻繁に《真紅の山猫》にいますよね」
悠利「ハローズさんと良い勝負だと思います」
ハローズ「一応私は、頼まれた品物を届けに来たりと仕事ですよ」
悠利「そこが違いですよねー」
ハローズ「それにしても、目敏いですねぇ……」
悠利「そうなんですよー。まさか一目で気づかれるとは思わなかったです」
ハローズ「彼の美容に対する熱意には頭が下がります」
悠利「時々ちょっと怖いぐらいですよね。まあでも、レオーネさん綺麗だから仕方ないのかな」
ハローズ「ですかねぇ……」
悠利「シャンプーを自作したって言っただけなのに、なんですかね、この圧……」
ハローズ「口を滑らせたユーリくんが悪いんじゃないですかねぇ……」
悠利「僕が悪いんですか、これ……」
ハローズ「相手が相手ですから、多分」
悠利「そっかぁ……。僕が悪かったのかぁ……」
悠利「でも、材料と道具があって作れそうだったなら、作りますよね?」
ハローズ「そんな、小腹が空いたから軽食作ったみたいなノリで言われましても……」
悠利「だって、アジトで使ってたやつだと、髪がぱさぱさになったんですよ」
ハローズ「別に質の悪いのは使ってないと思いますけどねぇ」
悠利「質は別に悪くは無かったんですけど、僕が作った奴の方がもっと良かったってだけなんですよね。うちは外に出かける人も多いし、どうしても汚れで髪が傷んじゃうので」
ハローズ「髪の長い女性陣などは特にそうでしょうね」
悠利「カミールも髪の毛さらさらになったって喜んでました」
ハローズ「ユーリくんの錬金釜の使い方は独特ですよねぇ……」
悠利「ハローズさん、ここのルーちゃん可愛いと思いませんか!?てむって乗ってるところ!!」
ハローズ「そして、相変わらずの主人バカですねぇ」
悠利「だって、てむってしてるし、その後ころんって落ちるのも可愛いんですよ!」
ハローズ「ルークスくんが可愛いのは解りましたが、これ、アリーさんに怒られなかったんです?」
悠利「何やってんだってツッコミはもらいました」
ハローズ「でしょうねぇ」
悠利「でも、女性陣が味方をしてくれたので、シャンプーを作る許可は出てます」
ハローズ「……なるほど」
悠利「規格外、規格外って言われるの、何でですかねぇ……?」
ハローズ「いや、君は十分規格外ですよ。能力とか考え方とか」
悠利「僕はあったら便利だなぁって感じで、故郷にあったものを再現してるだけなんですけどねぇ……」
ハローズ「それが規格外なんですよ、ユーリくん」
悠利「でも、僕のことを規格外って言いますけど、ハローズさんはいつも嬉々として商品案を持って帰るじゃないですか」
ハローズ「そりゃ、商売になりますから」
悠利「ハローズさんって、その辺の割り切りは早いですよね」
ハローズ「商人には判断力、決断力も大切なんですよ」
悠利「なるほどー」
悠利「そして、割といつもナイスタイミングで登場するハローズさん」
ハローズ「商人の嗅覚でしょうかね」
悠利「今回はお土産付きでしたけどね」
ハローズ「旅先で仕入れると、使い道が解らないものの場合もあるんですよねぇ。ユーリくんが知っていて助かりました」
悠利「いえいえ」
悠利「甘酒は、酒粕のも米麹のも、どちらも本当に美味しいですからねー」
ハローズ「別の材料で作るのに同じ名前の飲み物が出来上がるのは、不思議ですねぇ」
悠利「そうですねー。そこは僕も何でか知らないんですよ」
ハローズ「まぁ、美味しいので良いのですが」
悠利「ですね」
悠利「米麹の甘酒で大切なのはしっかり混ぜることと温度管理だけなので、そこさえクリア出来ればとても簡単ではあるんですよね」
ハローズ「保温機能のしっかりした容器を使えば、ご家庭でも簡単に作れますね」
悠利「鍋に火をかけるとかじゃないので、置いておけるのも良い点です」
ハローズ「それにしても、皆さん頑張ってますねぇ」
悠利「見習い組の皆も、どんどん料理が上手になってるんですよ。時間の使い方とかも覚えてますし」
ハローズ「生活力が高くなるのは良いことですね。自炊が出来ると、生きていくのが楽ですし」
悠利「簡単なご飯が作れるだけでも強いですよね」
悠利「酒粕の方は、砂糖と塩で味付けをして火にかけるので、きちんと見張っていないと危ないですね」
ハローズ「マグくんは細かい作業が好きなんですか?」
悠利「好きと言うよりは、得意の方が近いかなと思います。職人気質っぽいところがあるので、細かい作業は上手ですよ」
ハローズ「なるほど」
悠利「酒粕の甘酒、子供が飲んでも大丈夫ですけど、飲み過ぎると良くないのでそこは注意が必要ですね」
ハローズ「まぁ、無茶な飲み方をする子はいないでしょう」
悠利「いないですねー。というか、未成年組はお酒にあんまり興味がないです」
ハローズ「お酒は大人になてから楽しめばよいですからね」
悠利「そして、安定の良いタイミングのハローズさん」
ハローズ「だいたいこのぐらいに行くって言っておいたじゃないですか」
悠利「いやー、ハローズさんはいつも時間に正確だなと思って」
ハローズ「商人ですからねぇ。約束の時間に遅れるのは死活問題ですよ。取引が潰れます」
悠利「わぁ」
悠利「レレイが酒粕に飛びつくのは解ってたんですけど、レオーネさんもなんですよねぇ……」
ハローズ「確か、割と酒豪だとか」
悠利「関係者の大人の皆さん、お酒に強い人が多いんですよね」
ハローズ「冒険者は割とお酒に強い人が多いですよ。万が一のときも安心だとか」
悠利「万が一?」
ハローズ「世の中には、酔い潰して危害を加えようとする方々もいるらしいですからねぇ」
悠利「何それ物騒」
ハローズ「まぁ、商人の取引相手にもそういう方はいますけど」
悠利「商人さんの生活も物騒ですね!?」
ハローズ「ははは。人生は常に危険と隣り合わせですよ」
悠利「えぇー……」
悠利「樽で要求してくるレオーネさん、本当にレオーネさん」
ハローズ「仮に分量があったとして、その樽いっぱいの甘酒を一人で飲み干すんですかねぇ……」
悠利「レオーネさんなら、美容のためとか言って飲み干しそう……」
ハローズ「……やりそうですねぇ……」
悠利「まぁ、栄養はあるんですけど」
悠利「リヒトさん、下戸なことを物凄く気にしてたんですけど、気にすることなんですかねぇ?」
ハローズ「彼のような体格の良い男性は、飲めて当然と思われるのかもしれませんねぇ」
悠利「ちなみにハローズさんは?」
ハローズ「妻に、外では飲むなと言われておりまして……」
悠利「へー」
ハローズ「まったく酔えないもので、ついついグラスが進んでしまうので、お会計が大変なことに……」
悠利「そっちですか!?」
ハローズ「お酒は普通に好きなんですけどねぇ。水と同じ調子で飲んでしまうので、妻や息子と一緒でないと飲めないんですよ」
悠利「お財布的な意味で?」
ハローズ「はい」
悠利「まぁ、飲めない人は無理して飲まなくても良いし、飲める人は楽しく飲めるのが一番ですよね」
ハローズ「そうですね。ちなみに甘酒、どちらが美容に良いので?」
悠利「効能が違うだけで、どっちも美容と健康には良いですよ。飲む点滴、手軽な栄養補給って言われてるぐらいですし」
ハローズ「では、そっち方面でも売り出しますか……」
悠利「わー、流石ハローズさん、商魂たくましいー」
ハローズ「商人ですからねぇ」
悠利「米麹の仕入れ、お願いしますー。食欲の無い暑い日に冷たい甘酒で栄養補給したいのでー」
ハローズ「了解です」
悠利「そんなわけで、今回はハローズさんでした。ありがとうございます」
ハローズ「いえいえ、こちらこそ、ありがとうございました」
悠利「次は誰になるのか、今から楽しみです」
ハローズ「向こう側でくじ引きとかじゃんけんとかしてるのが見えるんですが……?」
悠利「仕様です」
ハローズ「それでは、今回はお邪魔しました。また、何か仕入れたら持ってくるからね」
悠利「楽しみにお待ちしておりますー」
(終)
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