29話:助手リヒト
悠利「今回はリヒトさんと一緒です。よろしくお願いします」
リヒト「あぁ、よろしくな。……遂に俺の順番が来てしまった……」
悠利「何でそんなに哀愁を背負ってるんですか……?」
リヒト「俺一人でツッコミが務まるか不安でな……」
悠利「どういう意味ですか?」
リヒト「そのままの意味だ」
悠利「レレイはいつでも笑顔で元気で良いですよねー」
リヒト「まぁ、食べ物が絡むと特にそういうところがあるな、あいつは」
悠利「レレイは美味しそうにいっぱい食べてくれるので、作り手としても嬉しいですよ」
リヒト「確かに、あの食べっぷりは喜んでるのがよく伝わるな」
悠利「ですよね」
リヒト「レレイはツナマヨが好きなんだったか」
悠利「マヨネーズを気に入ったのかも知れないです」
リヒト「で、そのレレイ対策で隠した、と……」
悠利「レレイだけじゃないんですけどね……。何かツナマヨ人気すぎて……」
リヒト「まぁ、美味しいからな」
悠利「美味しいんですけどねぇ……」
悠利「見たこともないぐらい真剣なレレイの顔」
リヒト「そして一瞬しか保たなかったな……」
悠利「まぁ、レレイなので……」
リヒト「そうだな。レレイだからな……」
悠利「色々言ってるけど、結局何味でも美味しいって食べるんですよ、彼女」
リヒト「そうだな。レレイだからな」
リヒト「俺に同意を求められても困るんだがなぁ」
悠利「リヒトさんは一人で突っ走らないですからねぇ」
リヒト「一応、大人だからな」
悠利「……おかしいな。レレイも成人年齢のはずなのに」
リヒト「ユーリ」
悠利「はい」
リヒト「世の中には言わない方が良いこともあるんだ」
悠利「……はい」
悠利「おにぎりは色んな味が楽しめて良いと思うんですよねー」
リヒト「出先だと特にな。色々選べるのは楽しい」
悠利「でも、リヒトさんは塩むすび派ですよね?」
リヒト「ほどよい塩分が動いた身体に丁度良いのか、落ち着く味なんだ」
悠利「シンプルな方が飽きないですもんねー」
リヒト「それは良いんだが、いきなり背後に湧いてくるマグは勘弁して欲しい」
悠利「リヒトさんでも気づけないんですか?」
リヒト「マグの気配は読みにくいんだよなぁ。隠密技能とか持ってるだろ、あいつ……」
悠利「何でそんなものを身につけてるのか、謎ですよね……」
リヒト「マグだからな……」
悠利「ウルグスはお肉大好きなので、しぐれ煮が好きなんですよねー」
リヒト「アレは甘辛くて美味しいな。俺も好きだ」
悠利「ただ、真ん中に入ってるタイプなので、頑張って探して貰わないと無理なんですけど」
リヒト「なんかもう、宝探しとかくじ引きみたいになってないか???」
リヒト「あの玉子で包んである塩むすびは、見た目も豪華だな」
悠利「味付けは塩だけなんですけどねー。結構好評ですよ」
リヒト「手間じゃ無いのか?」
悠利「薄焼き玉子を作るのがちょっと面倒なだけですよ。そもそも、一人で作ってないですし」
リヒト「そういうところがユーリだな」
悠利「へ?」
リヒト「モノローグが珍しい感じだったな」
悠利「ちょっとジャンクフードが食べたい気分だったんで」
リヒト「ジャンクフード?」
悠利「屋台飯っぽい感じの、栄養バランスとか考えてない感じのご飯ですね」
リヒト「それはまた、ユーリにしては珍しいな」
悠利「そういうときもあるんですよー」
リヒト「ヤックも楽しそうだな」
悠利「ヤック、基本的に僕が作る料理は全部美味しいと思ってるところがあるんですよねぇ……」
リヒト「ユーリの料理は美味しいぞ?」
悠利「ありがとうございます。でも、味付けは好みがあるので。万人受けする料理はないと思ってるんですよね~」
リヒト「見ていて思ったが、こう、食べやすそうな料理なんだな」
悠利「そうですねー。手軽に食べられるっていうところはあります」
リヒト「ユーリにしては野菜が少ないな」
悠利「ジャンクフードなので!」
リヒト「……楽しそうだな?」
悠利「ハンバーガー、食べたかったんですよねー」
悠利「ちゃんとしたお店で出てくるようなのじゃなくて、こう、ちょっとチープな感じの味付けとかで食べたいなぁと思うんですけどねぇ。でも、こっちにはファーストフード店がないので~」
リヒト「ないからって自分で作る辺りが、本当にユーリだな……」
悠利「食べたかったので」
リヒト「そうか」
リヒト「そして、残り物は問題無く皆の腹に消えた、と……」
悠利「そもそも、夕方に返ってきた皆が、お腹を空かせてないわけがなかったですよね」
リヒト「そうだな」
悠利「そんな彼らがハンバーグ見つけたら、食べるしかないですよね」
リヒト「そうだろうなぁ……」
悠利「と、いうわけで今回はこんな感じでおしまいですー。リヒトさん、ありがとうございましたー」
リヒト「お疲れ様。比較的平和な回に呼び出されて助かったよ」
悠利「どういう意味ですか?」
リヒト「お前がやらかしてないって意味で」
悠利「どういう意味ですか!?」
リヒト「そのままかな」
悠利「僕別に、何もやらかしてないのに……」
リヒト「次もやらかさないとは限らないだろ……。……次の担当者の冥福を祈ろう」
悠利「何で!?」
リヒト「それでは、今回はこれでお開きと言うことで。ありがとうございました」
悠利「ありがとうございました。って、リヒトさん、説明をー!」
(終)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます