27話:助手ティファーナ

悠利「今回の解説はティファーナさんと一緒でーす」

ティファ「よろしくお願いします」

悠利「お願いします。ところで、何でティファーナさんなんですか?」

ティファ「アリーが拒否したのと、ジェイクは一度やったからだそうです」

悠利「アリーさん……」

ティファ「頑張りましょうね」

悠利「はい」



悠利「ジェイクさんの説明が、冒頭からアレだなぁと思った僕です」

ティファ「どこにも否定できる要素はありませんよ?」

悠利「それはそうなんですけど、こう、盛大に出オチな感じがして……」

ティファ「ユーリ」

悠利「はい」

ティファ「ジェイクが出オチでなかったときなどありませんよ?」



ティファ「というか、貴方は本当に素直過ぎるんですよね……」

悠利「お手伝いをお願いされたら断れないじゃないですか……」

ティファ「ジェイクのお願いは考えてからきいてくださいね」

悠利「以後、気をつけます」

ティファ「アリーが留守の時は特に」

悠利「……はい」



悠利「アリーさん、抜群の勘の良さですよね」

ティファ「虫の知らせでしょうか」

悠利「実はそういう技能をお持ちだったりして……」

ティファ「持っていたら、もっと簡単に対処していると思いますよ。アレは多分、長年の勘です」

悠利「長年の勘」

ティファ「生存本能というか」

悠利「生存本能!?」



ティファ「生存本能を馬鹿にしてはいけませんよ?それの有無で生存率は変わりますから」

悠利「それはわかりますし、皆あると思いますけど……」

ティファ「アリーは修羅場を沢山潜り抜けていますからね。きっと、そういう意味で勘が磨かれてるんですよ」

悠利「なるほど。流石アリーさんですね!」



ティファ「前から思っていたんですけど、錬金釜にいれるときって随分簡単なんですね」

悠利「そのまま丸ごと入れれば良いってアリーさんが言ってました」

ティファ「相変わらず、規格外の魔法道具ですね」

悠利「すごく便利ですよ」

ティファ「貴方の使い方は間違ってますけどね」

悠利「え?」



悠利「ジェイクさんは本当に色んなことを知ってますよねー。難しい本も簡単に読んじゃうし」

ティファ「知識だけは確かですからね」

悠利「教えるのも上手ですよ、ジェイクさん」

ティファ「ですが、その知識の使い方は間違ってるんですよ」

悠利「……わー、否定出来ないー」



悠利「随所随所に入る『ツッコミ不在です』っていうの、何故なんでしょうか」

ティファ「実に的確な表現だと思います」

悠利「えー……」

ティファ「貴方たち二人だと、こう、ボケが二人かつ、気にせず突っ走る人二人ということになりますから……」

悠利「ティファーナさん、何で目を逸らすんですか」



ティファ「可愛らしい瓶で製作してる辺り、ユーリですね」

悠利「比較的普通の形状だと思います」

ティファ「デザインは可愛いですよ」

悠利「突拍子も無いのじゃないので、これは怒られない瓶です!」

ティファ「……怒られる容器で作ったことがあるんですか?」

悠利「さー、次に行きましょうー」



ティファ「一瞬にして期待を打ち破ってくる辺り、お約束ですね」

悠利「お約束で終わらせないで欲しいです……」

ティファ「いえ、ジェイクとユーリが組んだ段階で、そのような感じだろうと思いました」

悠利「謎の信頼……」

ティファ「貴方たち、能力だけは高いですから……」

悠利「だけ!?」



悠利「近年まれに見る、とても輝かしい顔をしたジェイクさんです」

ティファ「そうですね。私もあまり見たことがない顔です。キラキラしてます」

悠利「なのに、ジェイクさんのその顔が恨めしい僕です」

ティファ「まったく自重しませんからね、彼……」

悠利「……はい」



ティファ「まさか、ユーリがツッコミに回る日が来るなんて……」

悠利「待ってください。まるで僕が常日頃ボケしかやってないみたいな言い方じゃないですか!」

ティファ「悠利はツッコミを入れられる側ですよね?」

悠利「僕だってツッコミ役ぐらいしますよ!たまには!」

ティファ「そうですか?」



悠利「魔法鞄に隠しておけだなんて、子供みたいなことを言うんです」

ティファ「まぁ、ジェイクですし」

悠利「ジェイクさん、頭は良いのに時々子供みたいなんですよねぇ……」

ティファ「アレは、子供がそのまま大人になっただけですよ。知識があるだけタチが悪いと言いますか」

悠利「辛辣ぅ」



悠利「うっかりアリーさんと鉢合わせしてバレちゃうなんて……」

ティファ「バレなければ隠しておくつもりだったんですね……?」

悠利「だって、見せたら怒られるのわかってるじゃないですか……」

ティファ「そういうときは、素直に謝るのが吉ですよ」

悠利「今後はそうします……」



ティファ「でもほら、ユーリは巻き込まれただけだとわかっているから、デコピンで終わったじゃ無いですか」

悠利「アリーさんのデコピンは痛いのです……」

ティファ「拳骨よりマシでは?」

悠利「……まぁ、ジェイクさん、たんこぶ出来てましたし」

ティファ「自業自得ですよ」



ティファ「とりあえず、錬金釜であまり妙なものは作らないようにしてくださいね?」

悠利「でも、とても便利なんです」

ティファ「以前から気になっていたんですが、ユーリは錬金釜をどう思ってるんですか?」

悠利「え?時短が出来るとても便利な調理器具です」

ティファ「違いますからね?」



悠利「と、いうわけで、今回は僕とティファーナさんでした。ティファーナさん、ありがとうございます」

ティファ「いいえ、お邪魔しました。次はどなたになるんでしょうね?」

悠利「誰が来てくれても僕は嬉しいですよ」

ティファ「ユーリらしいですね」

悠利「えへへ」


(終)

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