鯨飲

 地球には、様々な生物が存在するが、その中でも、人間だけが嘘をつく。

 

 子供の時は、嘘をついてはいけない、と親に口を酸っぱくして言われるが、実際のところ、その親も嘘をつきながら生きている。

 

 嘘をついてはいけない、ということ自体が嘘なのかもしれない。

 

 そのような状況下で、世界中の子供はフラストレーションが溜まっていた。

 

 自分たちに大人たちは注意をしてくるが、大人たちは注意できるほど立派な存在ではない、と考えていたからだ。

 

 嘘をついたり、贈賄を行う、といった悪事を大人たちは働いている。

 

 子供たちは、そのような状況を理解していた。

 

 そのため、自分たちに提言してくる大人たちに嫌気がさしていたのだ。

 

 その不満は溜まりに溜まり、もう爆発しそうになっていた。

 

 世界中の子供たちは、大人が嘘をつかなくなる世の中を望んでいたのである。

 

 その願いを聞いた神様は、人間の設計図を書き換えることにした。


 嘘をつくことができないようにしたのである。


 すると、見事に子供たちの不満は無くなった。

 

 

 人類の文明がそれ以上発展することはなかった。

 

 

 

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鯨飲 @yukidaruma8

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