第七十九回「残る」 星のリフレッシュタイム
男は、洞窟の側にバイクを駐めた。後ろを伸びていた影は夜闇に溶けている。
胸元から取り出したのは小瓶。男の手が硝子越しによく見える。
鈍色の岩にできた空洞を男は迷いなく進んでいく。しばらく歩いて辿り着いたのは開けたホールのような場所。
男はそこで小瓶のコルク蓋を外す。
途端、小瓶の中から光が勢いよく飛び出し、弾けた。薄暗い洞窟の海を、小さな星々は思うがままに泳ぎ回っている。ここでは星座を作らなくてもいいし、背伸びをして光らなくても良い。パチパチとほのかに聞こえる音は、楽しげだ。
男は星々の気が済むまで付き合った。
満足した星が全て小瓶に戻ってからも、はしゃぎ声がしばらく残った。
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