第39話 まじかあ3 partB
まじかあ
まじかまじかまじかあ!!!
『まじかああ!!!』
「ねえねえ、どんな服来ていく?」
『うーん、ドレスなんかどう?』
え~……
着た事ないわけじゃないけどなあ………、デートにドレスってどうなの?
この子、貴族令嬢モノの小説が好きなんだっけ?
というか私、この
なんでこうも仲良くしてんだ?
まあ、いっか、それよりもデート!!
「ドレスは……、デートだと踏んじゃわない?」
『えー、絶対かわいいのに』
まあ可愛いのはわかる。
「まあ途中でお着替えとかもありかな?」
『お色直しみたい〜』
「それ結婚披露宴みたい〜」
『キャー!結婚!!』
自分でもふわふわしてるのはすごいわかる。
でもこれは仕方ないのだ。
今までに、『お出掛け』はノルくんと行ったことあるけど『デート』ってそういえばないし。
『あのさ、『私』がごめんね。ケガさせちゃったし』
「あ〜、もういいよ。お釣りが出るくらいの案件をもらったし」
『うん、ありがと。でもさ……』
「でもさ?」
『デートにどう誘うの?』
「ひえ……、き、気づいちゃった?」
『まさか、ノープランですの?』
「いや、その……あの」
『デート出来ないと……、また元に戻ってしまいますわよ?』
え……、いきなり変わり過ぎ……こわい……。
『……――あ、ごめん、いまワタシの集合体と同期外れちゃってた……デートがんばって誘おう?』
「あ、そうなの?雰囲気いきなり変わってびっくりしちゃった。わかった……がんばる」
少しでも不安気にさせると女神綾子との同期外れちゃうのかな?
まあなにはともあれ、洋服選びは完了した。
出だしはデートっぽく白いワンピースかな?ローブと同じく色鮮やかなステッチが良い感じ。
私のローブをそのままワンピースにした感じ。
少しフリフリ付いてるし女神綾子も「これでいいわ」ということになった。
着替える時間も勿体ないしってことで。
「あ〜、でもどう誘おうかなあ……」
『お出掛けしよって言うのも緊張するよね』
「お出掛け自体はなにか目的があってするんだけど、それは普通に誘えるんだよね……大体はお仕事とか買い物だけど」
『え、なら……』
「出来ればちゃんと『デート』を目的に出掛けたくない?」
『あ、確かに……それ!いい!』
「だから……、夜にでもがんばるよ」
『うん!がんばろ!』
「うん」
あれ?そういえば
「デートの時はどうするの?」
『なにが?』
「いや、あの、身体の主導権」
これは私達にとっては重要なことだろう。
『みんなで同期して擬似的に1人になるとかどう?』
「え、融合とかしちゃわないよね?私達」
『だいじょうぶだよ!融合しない為の同期だし。』
「そうなの?ならそれ試しに出来る?」
『いいの?』
「うん、し、信用はしてる」
同じ篠村綾子なのだ。ノルくんを想う気持ちに嘘偽りはないだろう。多分
『ふふふ、まあ信用してね?じゃあいくね』
なにか一瞬、視界が真っ白になったような?気のせいかな?
ん?あれ?
私の名前は篠村綾子、8000年ほどこの世界でノルくんと生きてきた。アーニアとして結社の仕事をしている。
これは今までの私……
でも私、女神綾子としての自覚もあるね。
好きなものは紅茶に桃の果汁を混ぜたもの。ポテチよりケーキが好き。コーラはあまり飲まないけどアーニアと同期してるからかコーラも飲みたい。
なんか変な感じ。
私、永いこと女神やってたせいで色々食べたくなっちゃった
「少しなにか食べていくか〜」
というかね、
私の正体って、私の本来の名前って……そうだったね。
いまアーニアとしての私が濃いからか同様が隠せない。
だからこの世界には『ワタシ』がいっぱいいたのだ。少し集まりすぎだけどね。
アーニアとしての私は納得した。
でも同期解除する時に、その記憶はオミットしておこう。
アーニアとしての私には不要だ。
それにしても、私が女神と自覚しただけで癖毛治っちゃったね。同期した時点で癖毛じゃなくなったんだろうけど。
アーニアとしての私であり、貴族令嬢に憧れる私でもある。
これチートじゃん?
しかし、お腹空いたな〜、ここから近いのだと……
◇
「いらっしゃいませなのじゃ、ぬお!!」
ぬお!!って……
「お客様にそれは失礼じゃないかな?」
「むう、いきなり来るからなのじゃ」
「まあ初めて来たねそういえば……」
リノアがいるから来なかったけど、今は不思議と平気かな?
だってリノア、この子も……私と……
「アーニアよ、いつもと雰囲気が違う気がするのじゃが?妾の気のせいかの?」
「気のせいだよ。それよりオムライス4つと紅茶」
「4つじゃと…!?ぐぬぬ羨ま……じゃない、マスター特製のを楽しみに待っておれ」
仕事はしてるんだね、様になってるじゃん。
それよりやけに視線を感じるんだが?
「あの……もしかしてアーニア様でしょうか?」
誰だっけ?あ、確か
「アーニアで間違いないよ、確かアダム?」
「そうです!いやあリナ様かと思ったのですが雰囲気が違ったものでして……」
あ…、リナのこと好きでたまらない先代皇帝の弟くんだっけ?あれ?こんな若かった?
「リナ様が出掛けられて寂しかったのですが少し元気が出ました。それでは失礼します。」
そんなことをいって満足気に立ち去るアダムプレヒト。
どんだけリナのこと好きなの〜!?ははは、帰ったらリナを弄ろう。
「あ、姉さん来てたの?ってあれ?姉さん?だよね?」
「私ですか?貴女の姉さんでございますわよ」
あれ!!?
普通にお嬢様口調になっちゃった
「え、偽物?」
「冗談だよノア、リノアにオムライス頼んだからここ座ってなよ」
「え、いいの?」
「一応、オーナーは私だからね。」
「そっか〜、やった〜!!オーナー公認サボタージュ!!」
まあ、このくらいいいでしょ。
ノアともあと数年しか一緒にいられないんだ。少しは姉みたいなことしときたい。
「アーニア様〜!やっと来てくださったんですね〜!」
あ、ミントちゃんだ。
「ミントちゃん久しぶり〜、ごめんね……」
リノアがいるから来てなかったんだけどね
「オムライス4つお待たせしましたのじゃ」
「うん、ありがと、じゃあミントちゃんもリノアも座って、ご飯にしよ!そろそろ休憩でしょ?」
部下の休憩時間くらいは把握してるしだいじょうぶだよね。ミントちゃんも注文数で察したのかちゃっかりエプロン着てないし。
ミントちゃんは優秀なのだ。
「えへへ、お言葉に甘えまして〜」
「アーニアよ、本当に食べて良いのじゃな?」
「リノアちゃん!アーニア様がいいって言ってるでしょ!」
「ひえ……わかりましたのじゃ」
あの皇龍姫を従えるミントちゃん、すげー
「今日は視察で来られたんですか?どうですか?」
いや……、普通にオフでデートの準備だったんだけどね?女神としての私が久々に食事したいと思っちゃってね?
「ここでしか食べられないって若いワタシが言ってたけど本当に美味しい。本部に戻ってくる?」
「だめなのじゃ」
そうか〜。
何故かリノアからNGが入って、ミントちゃんも苦笑い。
ミントちゃんもここが気にいってるのだろう。
「そういえば、最近ギルド内で噂になってるんですけどカルト教団の話、しってますか?」
なんだろ?知らない……
「どうにもあのケビンパーティーだったケビンの相方のサーシャが教祖をやってキナ臭いことしてるらしいんですよ。ケビンも逃げ回ってるとか」
ケビンって、ああ……シズルが魅了とかわけわからんスキル入れたから驕ってしまった哀れな人ね……。まあシズルにも責任はあるけど、こればっかりはシズルだけを責められない。
正しく使えば、必ずしも悪いスキルというわけでもないのだから。
「それ情報まとまってる?」
「纏めてますよー」
「わあ!仕事が早い!」
「冒険者ギルド食堂は情報屋もしてますからね〜」
あ、なるほど結社の仕事だもんね。
ちなみにミントちゃん、結社ではそこそこ偉い。
今の後任ギルドマスターよりだいぶ偉い。
「ありがとう、じゃあこれ代金ね、またたべに来るね〜」
「ありがとうございました〜」
「姉さんまた来てね〜」
「あ、ありがとうございましたのじゃ」
このケビンの件、今のうちに片付けておくか。
デートの時に偶然邪魔されたらとかあったら嫌だし。
久々のオフだし、こういのもアリだよね?
って仕事してね?本来の業務とは違うけど……でも全てはノルくんとのデートの為に!!
なんて考えながらも皇都の街で買い物しながら目的地に向かった。
ビーフドラゴンのお肉沢山買っちゃった!
「え〜と、この辺りかな?」
買い物してたら夕方になっちゃったから早く片付けて帰んないと……。
ここ、冒険者のクランハウスなのかな?
「こんにちは〜、ガサ入れで〜す」
もう長いこと生きてるとこういうのは慣れっこなんだよね。
さっさと片づけよ。
「あれ?大勢の人の気配はするけど……?」
動く気配がない。まるで全員眠っているかの様。
人がいて、少しでも動けは振動となって、こちらに気づいてるかどうか判断できるんだけど。
私が入ってきたことにも気づかず、眠っているかの様だ。
一応、このクランハウスの2階の広い部屋に集まっているようだね。
まだ人が眠るような時間ではないので、気になった。
人命に関わることだったら見過ごしてはいけないだろう。
私は、その部屋の扉を開けた。
やはり、みんな眠っている。
「ケビンにサーシャ、それにケビンパーティの面々だね。子供もいるみたいだけど。バイタルは……――正常だね。」
ん~、どうしようかな?なんで寝てるのかわからないけど……
ひとまず冒険者ギルドに連絡だ!!この案件はあそこの管轄でしょ?
『ミントちゃん~!ケビンパーティの面々確保!あとはよろしくね!』
『え~!?大体の場所はわかってたんですけど、認識阻害スキルなのか見つけられなかったんですよ?それをどうして……』
『え……、普通にクランハウスみたいなの建ってたよ』
『そうですか、あと私はただの食堂のマスターなのでギルマスか然るべき管轄へご連絡してくださいね~。』
『あ、ごめん』
『ギルマスには伝えておきますので~』
『ありがとー』
でも認識阻害スキルなんて張られてなかったけどなあ……。
女神の権能でも別に無効化できるけどスキルとぶつかった形跡はないし。
ん?おや?おやおや?
くんくんくん
くんくんくん
これは……
「ノルくんの匂い!!??」
ノルくんの匂いがする。
ノルくん、まさかこの事件、既に解決しちゃってたー!??
すっごーい!!さっすがノルくん!!追いつけないなーえへへ
わずかに残るノルくんの匂いと魔力の残滓。
やっぱりノルくんはここに来ている。
でも、
「魔力の波形パターンがちょっとだけ違うような?匂いも少しだけいつもと違うような?」
私はピーンと来てしまった。
女の匂い……かはわからないけど、なにか別の匂いが混じって……。
これは、まさか……、やっぱり女?
いやいや、ノルくんを信じろ!!篠村綾子!!私!!
でもノルくん探さなきゃ!!
このノルくんの魔力パターンをセット
――居場所特定術式『赤い糸』発動!!
これは皇都の外に?移動してる?
あ、逆探知された!?
光が消えてしまった!!
なんの変形させた魔力パターンを予測してチューニングして出力最大だよー!!!
いままで何回も経験あるから楽勝だよーーー!!!???
ノルくんノルくんノルくんノルくんノルくんノルくん!!
ようやく会えるね!
私はありとあらゆる身体能力強化を施し、全速力で走る。
あと100メートル!!でも……!!
――認識阻害術式&認識阻害の権能!!デュアルで発動!!
あっぶねー!!興奮して我を忘れてたわ!!
流石になんでノルくんの場所がわかったかまでは説明できないよ。
居場所特定術式なんてやべーの使ってるし、嫌われちゃうかも。
それにここは……、この場所はなんだっけここ……大昔に、なにかがここで起こって……
なんだっけ?見覚えがある場所ではあるけど、思い出せない。
私はゆっくりノルくんに近づいていった。
あれ?あの服……、見覚えないなあ。
でもノルくんだなあ。
は!!名案を思い付いた!
今ならデートに誘えるような気がする!!
でもどうやって!?
『もしもし、アーニアさん?聴こえる?』
ああん?いまいいところなのに!
「いまノルくんと一緒にいるけど、もしもーし?」
『あ……………途…………よ……………る?』
ってあれ??一瞬、若いワタシの向こうからノルくんの気配がした。
自分の周囲の音をそのまま魔力で変換して飛ばすタイプであの若いワタシが繋いできたから、ノルくんの声や息遣いが聴こえた気がする。
じゃあ、ここにいるノルくんは?あれ?気のせいかな?
「ノルくんそっちにいるの?あーもう全然聴こえない!!』
認識阻害の権能の影響かな?術式の上位互換だしそういうこともあるかも?
もういいや、あとで帰ればわかるでしょ。切っちゃお。
私はノル君に近づいていった。
認識阻害、最強な状態だから完全にストーカー行為だねこれ……。
流石にやめようか。
権能と術式を解除した。
「ノルくん」
「……――アーニア……アーニアなのか?」
むう、私自身を呼ぶときは綾子って呼んでたのに久々に言われた気がする。
「私は綾子ですわ」
間違えた!!口調間違えたー!!
「……ですわ?」
「綾子って呼んでよノルくん」
勢いで誤魔化したれ!
「ノルくん?いつもみたいな呼び方じゃないんだな?」
数年前にお兄ちゃん呼びはやめたんだけど?
もしかして?
「もしかして、この世界のアー……いや、綾子か?」
「もしかして、向こうの世界のノルくん!?」
『アーニアさん、いまどこ?』
また若いワタシから邪魔が入る。
テキストで送ってきた!?ってもうこんな時間だもんね
空も茜色から紺色に染まり、宵は深まっていく。
空が宙になる時間だ。
流石に心配かけ過ぎたかな?
『ノルくんと一緒なんだけど?もしかしてそっちにもノルくんいたりする?』
これでよし!!
でも私、このノル君とあまりお話したことなかったんだよね?
別綾子がべたべたしてたからムカついちゃってね。
「久しぶりだね、向こうのノルくん、私ももう8000歳こえちゃったよーえへへ」
「はは、俺からしたらちょっと前の話なんだけどな。」
「別綾子もいってたー、あ、別綾子ってそっちの世界のアーニアのことね、ははは」
「別綾子って呼ばれてるっていってたもんなー」
「まあイレギュラーだったし仕方ないよ。いつも別綾子にはお世話になっています」
「こちらこそうちのアーニアがお世話になりました。」
むう、うちのアーニアかあ……羨ましいなあ。
「ノルくんどうやってこっちの世界に来たの?」
「素粒子レベルまで自分を分解して崩壊しない様しながら通って、こちらで再構築した。これなら世界への影響はほぼないだろう?」
「え!?確かにそうだけど危なくない!?なんでそんな無茶したの!?」
「ああ……、昨日うちのアーニアに異変あっただろ?なんというか……」
なんというか?
「心配でな」
わ!わ!わ!わわわ!!
どこまで進んでんだ!?このノルくんと別綾子!!
こんな無茶までしてこっちに来るなんて!!
別綾子の匂わせっぷりから……
私も頑張らなきゃ!!
このノルくんをこのままにしておくわけにもいかないよね。
一応、私のノルくんに連絡しておこう!
『ノルくんごめん!遅くなったしこれから帰るねー♡凄い人に会いました。これから連れて帰ります』
「お?綾子、俺に届いてるぞ」
「あーー!!!魂核が被ってるー!!!ノルくん、すぐに魂核の位相すぐにずらして!!」
すぐにレイラインシステムにノルくん2として魂核登録をした。
ふう、これで一安心。
さあ帰っぺ、なんて思っていたら光が飛んできた。
なんだこれ、どこかで?なんだっけこの光、ピンク色?
なんかとりあえずかわした。
でも
「え!?追尾型?」
方向転換された光には不覚にも当たってしまった。
これ居場所特定術式だね、私にセットしたのかな?
認識阻害解いちゃったし居場所は丸わかりか。
「あちゃー流石にみんなに心配かけちゃったかなあ。もう暗いしね。」
「ははは、門限でもあるのか?」
「いやあ、今日はオフでお出かけしたまんま居場所も告げてないしね……」
「そっかそっか」
「まあ若いワタシが向かってるみたいだしちょっと待ってる?動くと面倒かけさせちゃうかも」
「そっか、じゃあ待ってようか。」
「多分、そちらのアーニアも来るよ」
「お、おう、そ、そうか」
あらら、この反応は、別綾子……めちゃくちゃ凄いね。
うちのノルくんは両手で自分のお顔叩くばっかりでこういう表情あんまりみたことないかも。
夜でもノルくんのことはバッチリみえます私。
そろそろ誰かが近づいてきたね?
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