第39話 まじかあ3 partA
「アーニアさん……、ってなわけなんですが……あの、その」
「わ、わたしからもお願いする」
『お願い…』
私と別綾子、エルフ綾子でアーニアさんに頭を下げていた。
ちなみにエルフ綾子を送り込んで戻ってこないなあ遅いなあって思っていたら私自身とエルフ綾子が完全融合したかの状態で別綾子の中に潜り込んでいた。
まあ戻ってきたら私に記憶や経験が反映されたから別綾子に潜っていたのは私でもあったのだ。
なんか変な気分。
あれから翌日の話しである。
それはさておき、アーニアさんの返答だ。
「え、えええ、私に憑依?意識は落ちないよね?で、でもでもでも〜、どうやってデートに誘えばいいの〜?」
割とノリ気だな?
少しニヤついてるのがイラっとする。
それにいつも一緒に買い物行ったりしてるだろ〜?
仕事に付いてってるだろ〜?
いつだったか勝負パンツまで用意してた癖にいまさら?
更には隙あらば両手シートベルトしてない?
あれ?両手シートベルトって、デートより難易度高くね?
「いや……一緒にお出かけしよって言えばいいじゃん。私は無理だけど」
「え、無理無理無理、緊張して不整脈で死んじゃう!!」
まあ、そうなっちゃうよね。
「デートって言わなきゃいいんじゃない?お出かけとか買い物とか言って」
私は自分が出来ないことを他人事の様に提案しまくる。
早くしないと、またあのワタシの集合体の目が血走っちゃう。
アーニアさんには一肌脱いでもらいたい。
あ、脱ぐっていってもエチチなのはダメなんだよ!!
「ええええ……恥ずかしい……でも……デート、したいなあ……へへへ、エヘヘ」
『「「チッ」」』
こいつ、浮かれてやがる!!
無理無理、とか言って全然ノリ気じゃねーか!!
「うーん、無理無理!キャー!デート!デート!無理無理〜!」
完全に浮かれてるね……
「くッ、無理なら私に憑依してもらって私がノルくんとデートする!これは亡霊綾子達の浄化の為だし。」
浄化と言ってもまあ、心のね。
「はあ?何いってんの?怒るよ?」
ヒエ……この女……私と同じで嫉妬がやばい!
キツく威圧をされた。
「ならさ〜、お願い……デートしてきてよ」
私も別綾子も妬ましい気持ちを抑えながらアーニアさんにデートの機会を与えてる、くらいで話している。
別にアーニアさんがやんねーなら自分がやるつもりだったし……
本当にイラっとするね。
無理無理〜、じゃねーよ!!
は〜妬ましい。
私達も目が血走りそうだ。
「うん、わかった……でも時間ちょうだい。デートという名目だと誘えないかもだし、なんとかしてみる……えへへへへ。あと一週間、すこしお暇させていただくね!その間のことよろしくね!えへへ」
「チッ!お願いね」
私も別綾子も歯を食いしばりながら、なんとかアーニアさんの許可をもらった。
「女神綾子〜、一応許可は貰ったよ〜」
『ありがと〜!えへへへ』
集合体綾子も一緒なのかな?
女神綾子と区別がつかない。
『一応、私達は同期して擬似的に1人、みたいな状態になってるよ。女神の私の空間に初めて入れけどいつのまにかそんな状態になった。貴女とエルフ綾子もそうだったしね。』
女神の権能かな?なんでもありだね。
じゃあ女神綾子であり、血走り綾子?よくわからないけど禍々しい感じはなくなったね。
『えへへへ、デートかあ、えへへへ』
こいつも浮かれてやがる……!!
私と別綾子は歯を食いしばり、小刻みに震えながらもなんとか自分を保っていた。
「それじゃアーニアさんに女神綾子達移すね、一応念入りに自身にプロテクトかけといて」
「え、うん!ノルくん!ばっちこい!!」
『お邪魔します!ばっちこい!』
女神綾子を内に宿したアーニアさんはスキップ気味にどこかへ走り去った。
まあノルくんとのデートの準備なのではないだろうか?
知らんがな、くそ!!あとは勝手にしろ!!
「別綾子、目が血走ってるしお口ぷく〜ってなってるよ」
「貴女もね」
私も!?
「まあ、別に多分花粉症だし?私にとってのノルくんは別にいるし?」
「私もだし……はあ、でも皇龍姫が……くそ……早く向こうの世界に帰りたい……」
昨日は別綾子の世界との交流会議も中止になっちゃったし、私達はとばっちりを受けている。
「昨日胸に風穴開いたのに元気だったねアーニアさん。」
「まあ、貴女の術式模倣して改良してるみたいだし風穴開いたくらいじゃ大丈夫だよ。でも私が乗っ取られたのも悪いし、強く出れなかったよ……」
「いや、仕方ないよ……向こうのノルくんが心配なんでしょ?向こうの皇龍姫がどんな子か知らないからなんともいえないけど」
「ノルくん……」
別綾子が弱ってる。
「呼んだ?」
「「ノルくん?おはよー!」」
もうお昼だけどね…。
寝起きのノルくんもかっこいいなあ!!
ちなみにここは私の家なのでノルくんは私の家にお泊りしてることになる。
そう思う事で自身のメンタルを保っている。
ノルくん私んちにお泊りしてんだぜ!?
「おはよ、綾子昨日の牛カツ定食ごちそーさん!」
「いえいえどういたしまして!また食べる?」
「まだあるの?」
「野生のビーフドラゴンじゃなければ作ればすぐだよ。」
「じゃあお願い」
「別綾子も一緒に作ろう?」
「うん!作る!」
私達はアーニアさんに悪いので、この世界のノルくんとはこのくらいの距離感でしか接していない。
アーニアさんは結構、押せ押せな感じだからいつもノルくんの後に付いていってるイメージだ。買い物にも付いてってるし、お仕事で出張にも付いてってる。まるで金魚の糞だね。私も金魚の糞になりたい。
というか、割と充実してるよね、アーニアさん。
私も同じ領域までたどりつけるのだろうか?
「はい、ノルくん、牛カツ定食超々特盛だよー。」
「うまそー!」
では手を合わせて
「「「いただきまーす!」」」
「はふはふ、これ美味しいね若いワタシ」
「でしょー?」
ご飯食べながら談笑しながらノルくんを私達で独占していた。
別にご飯食べてるだけだし問題ないよね。
どうせアーニアさんはデートするんだし。
「ノルくん、アーニアさんを、この世界のワタシをよろしくね。私達、あと数年もしたらいなくなっちゃうから。」
「あ、そういえばそうだったな。あと数年よろしくな」
「「うん!よろしくー!」」
なんてノルくんを補給して満足していたら他のみんなも私の家に集まって来た。
「じゃあ今日の夜にでもまた別綾子の世界と繋いで交流会議する感じかな?」
「綾子はどこだ?いや、アーニアね。」
ノルくんがアーニアさんを探している。
キョロキョロしてどこか不安気な感じにもみえる。
「昨日、大怪我したから心配でな」
アーニアさん心配されちゃってた。羨ましい
ノルくん『ワタシ』のことでこう心配するのか。
私にとってのノルくんもこう心配してくれるといいなあ、なんて思った。
いいなあ。
今頃アーニアさんはきっとデートの準備をしているのだろう、だから私達は昨日『別綾子の中』で何があったのかを説明した。
ノルくんもいるしデートのことは伏せながら。
「女神綾子ねー、だいぶチートよね、実際さ。写し身とは言えだけどさ。それって私達と綾子が」
「アヤネ、ちょっと……」
アヤネがなにかを言い出したけどシズルちゃんに止められた。
なんのこと?
チートでいうならシズルちゃんやアヤがそうでしょ?
まあそれは置いといてその夜、アーニア抜きで別綾子の世界との交流会を改めてした。
あっちのノルくんが不在で別綾子が泣きそうになっていたけどね。
どうやらあっちのノルくん、昨日からどこかに行ったきり戻ってないみたいなんだよね。
ただ向こうの世界の皇龍姫がちゃっかり交流会議に参加してたからか、別綾子がそこまでグズらなかった。
説明するとあっちのノルくんと皇龍姫が一緒じゃないってことが別綾子にとって重要らしい。
しかし……、私と同じ顔の人が増えすぎ。
向こうの皇龍姫は、もうそれは私達篠村綾子にそっくりだった。
私ってなんなんだろう。
そんなことばかり考えていた。
まあ今に始まったことじゃないんだけどね。
それを考えようとすると、なにかその事がぼやけてどうでもよくなってしまう。
いつもの「まあいっか……」といった感じだ。
あれ?でも、リノアちゃんも私達と同じくなったり?しないよね?
まあいっか。
ちなみに向こうの世界の皇龍姫、のじゃっ娘ではないし言葉遣いも尊大ではなく、どっちかというとアヤネみたいな感じかな?まあシズルちゃんや女神様っぽいところも少しあったね。まあ見た目が似てるからそう思うのかもしれないけど。
それにしてもやっぱりノルくん、そわそわしてるね。
さっき言ってた通りアーニアがいないから?どうしたんだろう?
多分、お買い物にいってるか洋服とか準備してるんじゃないかな?女神綾子と。
「ノルワルド様、綾子様方、レイ様方、シズル様、少しお時間を」
「ん?ツムギちゃんどうしたの?」
「女神綾子様の一件で、私と妹で此処に存在する世界の穴を昨晩精査していたのですが、この世界に何者か侵入した肉体を持ったまま通過した痕跡がありました。ただ女神が写し身、いわゆる現身をこの世界へ顕現させるのとはわけが違い、この穴を通るには穴を大きく開く必要があるのですが、それが行われた形跡もありません。いったいどうしたものかと、思いまして。」
「警戒しておこうか。ツムギとコトワリで世界の穴を引き続き監視をお願い。みんなも魂、精神体は勿論、自分の身を守って。」
ノルくんが仕切ってる!!かっこいい!!
「うん!わかった!あ、でも……」
「どうかした?綾子」
「あの……いまさらなんですが、コトワリって誰っすか?」
誰なの?誰なの?いまさら新キャラ登場?
「コトワリは私……」
「ん?貴女は確か……、結社本部でたまに見かけるメイドの人?」
「私の妹です。まあ、妹というより……なんといいますか。」
ツムギちゃんの妹?確かにいるって昔言ってた気がする。
「コトワリちゃん?漢字で"理"って書くの?”理由の理”の?」
「そう」
「じゃありっちゃんかな?」
距離感近すぎたかな?迷惑かな?
「リっちゃんでいい……へへ」
ほっ、良かった~!!
「え……、まじ?」
こちレイちゃんが驚いてる。
リっちゃんって呼び方センスなかったかな?
「あのコトワリが笑ってる!?」
ん?確かにわらってるけど?なんかリっちゃんって呼び方気にいってくれたのかな?嬉しいな~。まあ大人しそうな子だもんね。
「これは驚きましたね。綾子様、コトワリは笑ったことがないのですよ?ここ数千年の間で初めて笑った顔をみました。」
え、そうなの?
「あ、あああ、そうなんだ、でもリっちゃんよろしくね!」
「うん、綾子よろしくね。」
そっかーこんなに気さくな感じの子なんだね?
「コトワリ絶対この綾子に付いていきそう。」
「うん、私は綾子についていく。いい呼び名をつけてくれたから。みんなもリっちゃんって呼んで?」
ということで皆、リっちゃんって呼ぶようになった。
私、あまり絡みなかったけどお友達が増えたみたいでなんか嬉しいね。
私を様付けで呼ばないし心地良いかも。
リっちゃんとは親交を深めていこう。
それにしても
アーニアさんまだかな?別に一週間仕事しなくてもご飯くらいには帰ってくるよね?
ノルくんがそわそわしちゃってる。
◇
夜ごはんの時間になっても、アーニアさんはまだ帰ってこない。
いい加減通信いれてみよっか
「もしもし、アーニアさん?聴こえる?」
『いまノ……んと……るけど………し?』
「あれ?通信が途切れてるよー?聴こえる?」
『ノ……んそ……にい……?あーもう全然聴こえない!!』
切られちゃった。
おや?通信が悪いところにいるのかな?
でも、最後のハッキリ聴こえた箇所、口調的には大丈夫な感じなのかな?
文字で送ってみよう。
『アーニアさん、いまどこ?』
『繝弱Ν縺上s縺ィ荳?邱偵↑繧薙□縺代←縲√b縺励°縺励※縺昴▲縺。縺ォ繧ゅヮ繝ォ縺上s螻?k?』
え!?なに?
大丈夫かな?
でも何かあったらいけないし
「ノルくん、アーニアさん通話繋がっても通信よくないところにいるかも。あとテキストだと文字化けしちゃってるのって大丈夫かな?」
「………それは本当か?………俺の通信は………アーニアに通らない……」
「え、まじすか」
「俺、アーニアを探してくる!!」
ノルくん、もの凄い勢いで外出てっちゃった!
「わ、私達も!!」
「姉さま方、みなさん、なにがあるかわかりませんので警戒だけはお忘れなく!私達はこちらで待機していますので、なにかあったら通信くださいね!」
リリスちゃんの方がお姉さんっぽくて頼りになるね。
「わかった!リリスちゃんいってきまーす!」
綾子ズ全員に、レイちゃんズに、アヤと女神ーズが一緒にきた。
でもアヤネ、速く走れないみたいでシズルちゃんがおんぶしている!
なんで来たの!?
リっちゃんも何故か付いてきて、私の横をなぜかずっと並走している。
他のみんなは一応、お留守番。
入れ違いでアーニアさん戻ってくるかもしれないしね。
しかし、ノルくん速いなあ………、見失っちゃった。
仕方ないね
――居場所特定術式『赤い糸』発動!!
「あっちにノルくんいる!!」
「え!?なにその術式は!後で詳しく!!」
「私もそれ知りたい!!」
別綾子とセカンドが食いついてきた。
しまったな、同じ篠村綾子だと光が見えちゃうのか。
「あとでね!?」
「でも綾子さー、それでアーニア探せばよくない」
「あ!こちレイちゃんあったまいい!!」
「へへへ、それほどでも」
こちレイちゃんが頭を撫でてくる、もっと撫でて、えへへ。
あれ?ノルくんバージョンの赤い光はレイちゃんもみえちゃうの?
まあ、ひとまず
――居場所特定術式『えーと……とりあえずアーニアさんを探すアレ!!』発動!!
改めて思ったけど、居場所特定術式って術式名称かなりヤバいよね?
光を追うと、アーニアさんの方向とノルくんの方向が一致していた。
ノルくん、アーニアさんのいる方向わかるんだ……、すごいね。
走ること10分、ようやくノルくんに追いついた!!
そこでみたのは……
アーニアさんとノルくんが一緒にいて話をしている姿だった。
でも、私達と一緒に来たノルくんじゃない。
私達と一緒に来たノルくんもその「アーニアさんとノルくん」を見ている。
ノルくんがもう一人いるんだけど?
まじかあ、えへへ
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