第32話 私はボーイミーツガールの方が好きだなあ…

「あの…その…リナちゃん…ごめん」

「リナちゃん…私達…調子に乗っちゃっていっぱい食堂で食べちゃったから」


 私達は無い語彙力を振り絞りリナちゃんに誠心誠意の謝罪をする。

 テレビで良く見られるスキャンダルを起こしたタレントの謝罪会見並みに頭を下げた。

 それだけじゃリナちゃんへの濡れ衣ははらせない!

 私達は事前に打ち合わせした通りにアクションする。


「リナちゃんは!大食いではありません!昨日、宿の食堂で沢山食べていたのは私達です!」

「私達です!」

 セカンドも小学校の卒業式並に合いの手をいれてくれた。これは決まったね…!


「姉さん達!いいから!恥ずかしいから!やめて〜〜!!なんなのそれ!」

 あれれ……――怒っちゃった。


 これはリナちゃん大食いという噂は所詮噂なんだ!って思わせよう作戦なのだ。

 冒険者ギルドのロビーのど真ん中でリナちゃんに謝る、釈明することで「なんだ大食いは姉の方か〜、リナさん少食だもんな〜」と思わせいつも通りの日常に戻るのである。

 まあリナちゃん実際少食だしね。

 これでリナちゃんの名誉も保たれたかな?


「もう姉さん達!みんなに笑われてるじゃない!って、なんで二人ともドヤ顔!?」

 和やかな雰囲気?ではないの?あれ?みんな笑顔ならオッケーでは?リナちゃん、ちょっと怒ってる?


「あ〜!綾子姉さん達来てたの〜?」

 おや?この声は?


「ノア!元気にしてた?今日は出番なの?リノアちゃんは?」


「うん!そうだよ〜!リノアおばさんはどこか行ってる〜!」 


 ノアはいま帝国で見習い修行中。

 人型になって早数年、アーニアに社会性を身につけなさいといわれ社会勉強中である。

 ウエイトレスのバイトだけどね。

 リノアちゃんと一緒に看板娘をしているよ。

 でもリノアちゃん、おばさん扱い…実際はお母さんみたいなもんだよね?

 あとはリナちゃんが私達を姉さんと呼ぶから真似してノアも姉さんと呼ぶ様になった。

 まあ様付けもどうかと思うし私はそっちの方がいいかな?


 反抗期も終わり生意気な感じもなくなり既に19歳。

 リナちゃんの真似をし始めている。

 なんだかんだリナちゃんお姉さんしてる。

 今の人間姿は私と背丈は一緒くらい、見た目年齢も同じくらいかな。

 早いもんだね〜。

 黒髪だけど私ベースの顔にところどころレイちゃんって感じ。


「エルフの姉さんも久しぶり!」

「ノア元気にしてた〜?」

「うん!」

 ノアはレイちゃん以外にセカンドにも懐いている。

 この差はノアのクソ生意気な反抗期を知ってて厳しくした、してないの差なのだろう。


「ねえ、なんの騒ぎ?リナ姉さんがどうたらって」

「あ〜、カクカク云々」


「ふ〜ん、でもリナ姉さん別によく食べるよ?だからいいんじゃない?」

「こらノア!」

「だって本当じゃん!昨日だってポテチとかすご〜く!た〜〜〜っくさん!食べてたじゃん!」

 ノアが身振り手振りで両手で大きく円を書き量をしめす。それが本当なら胃もたれしそうなレベルのポテチ量である。

「な、なななな、なにを…そんな噓…ついちゃダメ!」

「噓付きはリナ姉さんでしょ〜!」

「ノア〜!!やめてよ!!」


 ギルド内がザワザワしだした…。


 ま、まあリナちゃんがどれくらい食べるかはもうやめておこう?騒ぎの元は私達だからいたたまれない。


 まあなんやかんや、ノアは仕事に戻りました。

 さあ今日はセカンドが主役だよ!お仕事がんばって!私?私はお飾りの監督だから……


「リナちゃん!特務を受けに来ました!」

 セカンドが張り切ってる。


「うん、セカンド姉さん今日はよろしく。」


「リナちゃん、セカンドはなにをするの?またエルフ狩り?」


「エルフは最近みないし、今回は違うよ。反社会組織の調査だね。その後はケースバイケースによるアクションかな?セカンド姉さんは別綾子姉さんに鍛えられてるからそっちが向いてると思って。」


 反社会組織?聞いたことあるなあ、みたことないけど。


「なんの組織なの?」


「う〜ん、神様を信仰してる宗教の様な人達、みたいなんだけどね。まあ、迷惑かけなきゃいいんだけど……人の誘拐や洗脳、その他迷惑行為と罪状は数々。殺人はしてないみたいだけど目に余るからね。」


 神様って、1年に1回アヤに憑依しにくるあの女神かな?


「ふ〜ん。なんか難しそ……セカンド大丈夫?」


「うん!大丈夫!先生綾子には色々教わってるから!」


「なら大丈夫だね!別綾子直伝なら信頼出来そう。私には無理そうだわ」

 調査ってなにすんの?そこからなんだけど


「情報が少ないからまずは情報集めからかな?」

 セカンドが最もなことを言う。私じゃ無理そうだ。そんな発想にも到らん。


「私、監督必要?」

「うん、必要。なにかあったら助けてよ。戦闘力は先輩綾子の方が上だから。」

 え、防御力と殲滅力だけじゃない?壊滅しちゃうよ?私は細かい攻撃得意じゃないんだよなあ。そもそも攻撃自体が苦手だ。

 でも


「わかった。私も一緒にいるけどあまり期待しないでね。調査系の術式だと結構あるからそのくらいかな?」

「うん、期待してる!」


 セカンドは使えるものは使おうみたいなところ……やっぱりこう過ごした道程が違うと同じワタシでも違ってしまうもんだねえ。

 そう考えると私とアーニアってかなり似てるよね。

 まあ私はアーニアに色々教わったから私がアーニアに似たのかもしれない。


 じゃあいってくるね〜!ってリナちゃんに言って私達は出かけた。

 特に期間もないので割とふわっとした雰囲気だ。


 リナちゃんから貰った情報もフワッとしている。

 まあそのくらいしか情報がないのだろう。

 組織構成は不明。

 街頭でデモ集会をたまにする。

 デモ集会自体ではうるさい以外に特に問題なし。

 みんな同じフード付きローブを着ている。

 誘拐され洗脳された人が戻ると明らかにその組織に関わる洗脳のされ方だった。

 実際に組織が関与したかは尻尾を掴めていない。


「ん〜、尻尾を掴むか、組織が本当に関与してるかを掴む?あとはうざいからどちらにしろ潰して欲しいとかそんなかな?」


「やっぱり先輩綾子もそう思う?」


「うん、一応特務だし、簡単ではないと思うんだ…だから…だから…だから……――」


「だから?」


「いい感じにやっていこう」


「いい感じに、ね〜」


 すこし先輩風を吹かそうみたいな感じになってしまったが、締まらない返答になってしまった。

 先輩綾子なんて呼ぶから、つい。

 セカンドの冷ややかな目線が痛い〜。


 でも、組織かあ、そんなのパッと見つかるかなあ。

 まずは情報あつめてまとめないとなあ、時間かかりそ。

 でもそんな怪しい人達いるかなあ?


「皇都のみなさん!神をご存知ですか?どうですか?私達と共に神を崇めませんか?まずはお話だけでも〜!そして私達と語り合いましょう!」


 怪しい人いた!ローブ被ってるね?

 私達もローブ深く被っておこ!!SNSで顔が割れてるかもしれないし。


「セカンドどうする?」

「う〜ん怪しいけど、ノリが随分と俗っぽい信仰だね。」

 なんか、宗教特有の重々しい感じがない。なんか、軽い。


「とりあえず興味ありそうな雰囲気だしてさ、話かけてみる?」


 話かけてみよう。


「あの〜?すいませ〜ん、神ってなんですか?ちょっと気になっちゃって」


「私達の活動に興味おありですか?」


「え、興味ある……かなあ。うん、ある」


 セカンドの下手くそな返答がこれだ。まじで興味がなさそう。というかまじで興味がない。


「本当ですか?」


「あ、あ〜神様ってなんなのか?ってところは気になるかな?」


 神様って何?私と1年に1回お茶会するあの神様?それとも別の神様?


「神は、尊い。それはそれは神の壮大な物語は涙無しでは語れない。我々の同士候補よ、まずは話を聞いていきませんか?」


 俗っぽい団体だなあ、なんか怪しいセールスされない?


「じゃあ、ちょっとだけ……」


「では私がお勧めの喫茶店があります。そちらへ行きましょう」

 お勧めののお店?どこだろ?調査とは別に気になるなあ。

 この怪しいフードの子に招いてもらい着いた場所は……


 見るからに寂れた軽食喫茶店だった。

 こういうとこって中はいい感じなんでしょ?知ってる!


「さあさあどうぞお入りください!マスターお客さん連れてきたよ〜!さあさあ入ってください!」

 招かれるままに店内へ入店…―


 うわあ、なんかローブにフード被った客しかいねえ。店内はなんか奇麗というか高貴な感じでローズヒップな匂いがする。

 なにここ……


「あら、新しい同士かしら?」

「マスター、まだ候補よ!今から説明会なの!」

「あらそれはそれは。がんばってね〜」


 うわあ、怪しい……マスターもフード深く被ってて怪しい。

 でも全員女の子なんだね。


 私達は席に着き、私達を招いた子と対面になる様に座った。

 まるで怪しい宗教勧誘に捕まりこれから喫茶店で布教活動!?

 ――が、始まるようだ。


 周りの子達もみんなこっち見てるし、こえ〜よ!

 でもなんか始まらんな?どうした?

「で、これは宗教かなにか?なんの団体?」


「あ、そこからですね〜?貴女方から話しかけてきたのでてっきり既に実は知ってて着いてきたのかと思いましたよ。そうですね〜それでは神とはまさに、リガ☓アダですよ。アダ☓リガもいるんですが私は前者です。」


 あ、これ……――


「私もリガ☓アダよ〜」

「私は逆かな〜?」

「どっちも好き」


 あ、あ、あ、あ〜!!!やめてください!やめてください!困ります〜!エチチチチ〜なのですらまだな私には、早い!なのにそっちは!そっちは!そっちは……!


「ん?なに?なんの話し?リガ?アダ?」

 セカンドはピンと来ていないようだ…まあ篠村綾子でオタク要素が濃いのは私くらいだしセカンドはわからないだろう。


「いや……セカンド。多分この人達違う、私達が調べてた人達とは違う……多分だけどね」


「え?なんで?リガとアダって神様の二柱を崇める信仰団体なんでしょ?」

「そうです!わかってくれますか?いまケーキとお茶をとってきますわね!」


 きますわね?あれこんな口調だっけ?


「先輩綾子やっぱり怪しいって」

「うん、怪しいね、多分ね腐ってる」

「え?そこまで?先輩綾子そこまでいまので読み取れるの?さすがは先輩だね。腐ってるならもっと調査して膿をださないと…―みんなに迷惑がかかる前に」


 だから違うんだよ、多分だけど。

 多分「怪しい」の種類は違ってて、多分無害なんだよ。

 人によっては理解を示さないけど。

 私は否定しないけどわからないジャンルだ。

 しかもリガとアダってあの人達でしょ?


「あらあら二柱なんて言って。うふふ、あの子達をどんどん引きずりこんで沼に誘って洗脳しちゃいましょ。」


「せ、洗脳?やっぱり?先輩綾子…もう自白しちゃったよ……潜入調査って意外と楽だね。これ証拠だよね?私、ずっと録音してるし」


 だから違うって。


「ケーキとお茶を持ってきましたわよ〜!」

 やっぱり口調変わったね、この子それともこれが素?あ!その走り方だと絶対にその長いスカート踏むから!あ、ダメダメ!


「うわ!熱!」

 いや、防御結界で熱くないんだけどね、気分的には熱いんだよ。

 お茶とケーキぶちまけられた。

 この子、ドジっ娘枠か?


「ごめんなさい!ワタクシとしたことが……」


「ちょっと!!シャルロッテ様!前もそれで勧誘出来なかったじゃん!また〜?」

 シャルロッテって名前なんだこの子。様付け?貴族かな?あれ?どこかで…?どこで聞いたんだっけ?シャロちゃんと呼ぼう。


「ごめんなさい!ごめんなさい!あ〜ワタクシ、またやってしまいましたわ…。」

「まあシャルロッテ様らしいと言えばシャルロッテ様らしいからいいけどさ」

「ああ、ワタクシ、みんなのリーダーなのになんて不甲斐ない。」


 リーダーだったのか…。


「先輩綾子、油断大敵、罠かもしれない」


 まあ、その可能性も無きにしもあらず。    

 でも、大丈夫じゃね?


「特に汚れてないから大丈夫だよ。で、シャロちゃん?ここって信仰団体って話しだけど信仰は信仰でも宗教じゃないよね?どっちかと言うとサークル?BLはR18だっけ?小さい子の目に入らない配慮はしてる?」


「「「…!!!!」」」


「詳しいのですね、それにシャロちゃんって響き……良いですわね〜」

「先輩綾子、なんとなくだけど流石の私もBLとかR18で察したよ……そういえばそんな名前の人達いたね。一人は昨日見たし」


 いや、BLはわからんよ。

 普通のか百合しかわからん。


「貴女方!ワタクシ共の同士となりませんか?それに一人を見たですって?私もさっきみました、何やら若々しくなっていらっしゃいましたが」

 え、え〜と。なにをするの?絵とか文章とか書けないよ?

「なにしてるの?みんなは」


「普段はここでリガ☓アダを語ったり、あとは布教活動ですわね。街頭で先ほどしていたように。興味なさげなお方でも連れてきては布教して染めてしまいますの。いわば洗脳ですわね。」


「へ〜そうなんだ。」


 もしかして、これが例の組織?


「誘拐はしてないよね?」


「誘拐だなんてそんな。ふふふ、布教会の前は手伝っていただくので同士の方を拉致…いえ泊まり込みでお手伝いいただくことはありますよ?」


 あ〜いきなりBLにハマった子がいて、それが洗脳となり、イベント前に泊まり込みで徹夜して……それが誘拐になってるとかかな?

 かなり若い子もいるっぽいしね……この口調からお嬢様なんだろうね。

 他にも貴族みたいな家の子もいるんだろうね。


「シャロちゃん……親御さんが心配しない程度にやりなよ?」


「わ、わかりましたわ……それではこれから、リガ☓アダについて教えて差し上げますわ。」

 鼻息フンスフンスしだしたよ。

 その後はリガ☓アダについて深く深く熱く語ってくれた…。


「ふ〜、リガ☓アダの素晴らしさを伝えられて滾りますわ〜!」

 全然伝わらなかったけど。

 セカンドは……なんとも言えない顔してる…。私ほどオタクじゃないしね。普段からノルくんノルくん言ってるとソレ以外のソレ系統の情報は反発しちゃうんだよね、セカンドはそれが顕著に顔に表れていた。


「シャルロッテ様!いつまでフード被ってんの?もうお話すんだら顔合わせしちゃいなよ!」


「そうですわね、街頭だとどうしても顔を隠さなくちゃいけないんですの。では」


 シャロちゃんがフードを下ろした。

 その顔はとてもとても美人!いいとこの家の子なんだろうな〜!

 でもどこかでみたことある様な?気のせいかな?帝国来るのも数年ぶりだし……

 多分気のせいだ。


 じゃあ私達もフードとるか〜、怪しいけどただのサークルっぽいし。

 私達はフードを下ろした。


「シャロちゃん!改めてよろしくね!アーニア・フォン・シュテュルプナーゲルです!」

「私はセカンドだよ。よろしくね!」

 公的には私達もアーニアなのでそう名乗るしかない。セカンドはセカンドでいくつもりらしい。まあ顔もSNSで割と知られてるしね……。綾子って名乗ると偽名?みたいになるし。



「え……」


 シャロちゃんの顔から表情が消える。

 どしたの?え?ガクガクしだしたけど?大丈夫?発作?持病かなにか?


「ア…アーニア……様…――」

 え?知られてた!?しかも!?様付け?


「え、大丈夫?シャロちゃん?」


 シャロちゃん、硬直しだして10数秒、ハッとした表情――からのジャンピング土下座をキメた。


「なに?どうしたの?」

 ブルブル震えてる、私達怖くないよ?


「あの、ちょっと、よくわかってないけど…――なんで土下座?」



「アーニア様!お願いです!この活動の事を!お父様には内緒にしてください!お願いします!お願いします!お願いします!」


 頭を床にガンガン打ち付けてる…あ〜ダメダメ。


「シャロちゃんよくわからないから説明して!あとそんな頭を打ち付けたら傷になっちゃうでしょ!」

 女の子なんだからさ。


「あのワタクシの事、覚えてないのですか?ワタクシも小さかったですからね。それにリナ様と同様に容姿が若いままなのですね?羨ましいですわ。」


 あれ、まじで誰?でもみたことある気もする。

 誰だっけ?


「ワタクシ、皇帝ミラルドの娘シャルロッテにございます。」

 あ!あ!思い出した!


「エイバナの村にもよく遊びに来てたし6年前もお城にいたよね!?大きくなったね〜!」


 よしよし……背は160センチくらいかな?チッ、背伸びしねえと頭に手が届かねー!別に私チビじゃないけど!?


「はい、ワタクシも今年で18になりました。エイバナの村で、と言うことは貴女様は綾子様と呼ばれていたアーニア様なのですね?リーシャ伯母様と仲の良い。」


「そうだよ!久しぶり!シャロちゃん!小さい頃しか知らないからわからなかったよ!あと綾子でいいよ。」

 ぶっちゃけ全然気付かなかったけど。

 どこかでみたことあるのはリーシャちゃんに似てるからだ。

 まあ皇帝の娘だからバレるとヤバいんだろうな。

 しかも身内を、しかも祖父とその弟をネタに鼻息ふんすふんすしてると。


「まあシャロちゃん、趣味の範囲ならとやかくいわないから未成年の子がいたら門限とか守らせたり、親御さんに趣味がバレない様に配慮してね。」


「はい、ありがとうございます。綾子様方は帝国へはお仕事で?」


「うん、なんというかカクカク云々で……」


「え、では私達には反社会的勢力の疑惑があがっていたと?」


「シャロちゃん達はたまたま情報に一致したってだけかな?」


「あ、なるほど……ではフード付ローブですと怪しいですものね、その辺りも少し考えませんと。」


「あとアダムくんとリガルドくんにバレない様にね。」


「はい、承知致しました。はっ…!!もしや……綾子様はアダ☓リガで!?」


 ちげーよ!!!リナ☓アダだよ!ボーイミーツガールの方が好きなの!

 

 てなわけでここはただの創作(腐)サークルで私達が追ってたのと違うみたい。

 たまたまここがそう反社会組織と情報が少し一致してしまったのた。

 紛らわしい。



 仕事があるからサークルには入らないよ、と告げ私達はリリちゃん達の貴腐人の溜まり場を後にした。

 そもそも帝国に住んでないし。


「どうすっぺな〜振り出しじゃん。」

 なんてセカンドが吐露しはじる。


「今日は疲れたしご飯でも食べに行く?その後別綾子の様子覗きにいこうよ!」

「いいね〜!お腹ペコペコだよ〜!」


 今日もフルコースだ〜!なんて言って繁華街へ向かった。

 結社がレシピをライセンス公開しはじめ早数年。

 今では外食産業が活発になり美味しい飲食店が世界中の繁華街に立ち並んでいる。

 各国にある結社食堂はレビュー、売り上げ共に不動の総合評価1位だけどね!ふふふ


 この世界へ来て、色々とダメな私でもこれだけは私が誇れる実績だろう。

 まあ、でもこの世界からいなくなっちゃうから……それまでには楽しんでおかないとね。


 適当にここでいっか〜!エーテルネットでのレビューもよさそうだし〜なんて言って適当なレストランに入った。だけど…

「お客様、大変申し訳ございません、あいにく材料が切れてしまいまして。」

「あ、そうなんだ、でも繁盛して良かったですね!」

 残念だなあ美味しそうだったのに。


「はあ、そうなんですが……たった2人のお客様で大量に料理を頼まれまして………」


 そっか〜!凄い大食いさんもいたもんだね?大食い?私達でもそんなに食べれんよ?


「あのもしかしてというか、多分そうなんですが……貴女方のご親族と関係者の方では?」

 は?私達にそんな大食いの親族とか関係者なんて……


 いるわ!


 2名でしょ?1人は大食い筆頭で1人は今日どっかに行ってるってノアが言ってたな。


「ちょっと覗いても?」

「は、はい!こちらへどうぞ!」


 お店の人に招かれ店内へ入っていくと……


 山の様に積まれた皿、アホみたいに並ぶ大量の料理、それを自然な動作で口へ運ぶも一瞬で皿を空にする女子が2人。


 別綾子もやけ食いにしては食いすぎだよ!


「あのさ……どんな胃袋してるの?貴女達……」

 セカンドがもっともな感想をいう。


「エルフの綾子?あ〜!お主がセカンドか!会いたかったぞ〜!もぐもぐ。妾はリノアじゃ!よろしく頼むぞ!もぐもぐ。綾子も久しぶりじゃな!もぐもぐ」

「うん、よろしく……」

「あれ?貴女達も来てたの〜?もぐもぐ」


 行儀がいい食べ方だけど行儀わり〜。

 食べながら話すな!


「セカンドの特務で来たんだけど、今日は進捗悪いからやめてご飯食べにきた。そしたらどこかの誰かが食べすぎて材料切れだってさ。」


「あれ?もしかして……私達?」


 他に誰がいるんだろ?


「別綾子!気づいたら皿が沢山積まれてたのじゃ?別綾子は少し食べすぎではないのか?」


 お前もだよ!


「あ〜……でもまだ足りないけど」


 なんていいながら最後の皿を奇麗にして物足りない顔をする。

 まじでなんなの?どこに入ってんの?

 まあ食べたなら出るよ!!私達は食べられなかったけど!!


「ありがとうございました〜」

 店主やお店の方から感謝はされはしたけどね……いいのかね?私なら沢山の人に食べてもらいたいけど。

 リノアちゃんは明日バイトだからって帰った。


「で、どう?別綾子向こうの世界のみんなには連絡出来た?」

 別綾子が若干ムスっとした、怖いよ……


「連絡したよ、でもまだ言えてない……連絡控えるってこと」 

 別綾子も調査諦めて連絡控える方に舵切ったか。


「そっか〜。言いづらいの?」

「うん、まあね、ただでさえ心配かけてるし、その……ノルくんがなんて思うか心配。ノルくん……」


 ん?大丈夫なんじゃん?ノルくん理解してくれないの?まあ…数年は早いようで長くもあるしね、本人にしかわからない不安はあるんだろね。


「私も向こうのみんなとお話してみたいな〜」

「あ〜私も〜!」

 セカンドと私も別綾子の世界が気になる。ここの世界に割と近い発展の仕方らしいけどね。


「じゃあ、明日一緒にいく?」

「いくいく〜!そこで野生ビーフドラゴンのバーベキューしようよ!」

 別綾子の目が見開く!

「まじ!?野生?ビーフドラゴン!?まじで!?」

「まじまじ!」

「やっべー!楽しみ!今日はもうなんも食べね〜わ。」


 え、まだ食べる気だったの?


 とまあ、別綾子は私達とは比べものにならない大食いとわかり安堵したところでセカンドと家帰ってご飯は自分たちで作るか〜なんていってたら

「今日から貴女の家に泊まっていい?シズルも一緒に。」

 別にいいけど。シズルちゃん来てたんだ。確かに別綾子が出掛けてから見ないなとは思ってた。


「じゃあ、宿チェックアウトしてシズルも連れてくるね。」


 なんて言ってダッシュで走り去った。ちなみにシズルちゃんは結社支部の仕事をなんかしてるらしい。なんの仕事かは知らないけど。


「シズルちゃんも来るのか〜。見た目が私達みたいなもんだからまた綾種しかいね〜な!」

「あはは」


 じゃあご飯でも作るか〜。

 まあ今日は人並みかなあ。

 別綾子、今日は食べないとか言っても食べるだろうし。

 ビーフドラゴンは明日だから今日はポークドラゴンで角煮でも作るか。

 まあ、実際のところはわからないけど別綾子思ったよりも元気そうでよかったよ。

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