第31話 思春期の男子か!!

 おはよう〜!今は朝かな?昼かな?夜かな?私がいる世界ではおはようを言う時間だ。

「おやすみ」「おはよう、今日もよろしくね!」とノルくんに伝えるそんな日常がいいなあ………アーニアが毎日ノルくんに決まり文句挨拶を言っているのを横目でみている。

 ふん!別に羨ましくねーし!まあ私はこの世界の篠村綾子じゃねーし!な〜んて強がりを言ってみたけどまあ羨ましくはある。

 でも、前ほどそこまでは嫉妬しないかな?アーニアはなんだかんだ私と同じ篠村綾子だし、その辺を応援したい気持ちの方が今は強い。

 まあ私はワタシの邪魔をするものが許せない、といった感情がエルフ綾子や亡霊綾子、セカンドの件で芽生え始めていた。

 これは大人な女性っぽいのでは?


 な〜んて気取った思考を張り巡らせ朝食後の緑茶をすすっていた。

 お仕事はサボってないよ!?


「そんなことばっか言ってさ!ワタシのわからずや〜!!もう知らないもん!」


 そんな叫び声が聴こえた。

 結社本部にただならぬ緊張が走る!!


 この口調、この雰囲気、間違いなく拗ねているワタシのセリフだろう。

 私じゃないけどね。


 この「ワタシのわからずや〜」って言葉は概念的自虐であり、傍から見ていた私にも響く。

 また言った本人も、自分自身に跳ね返ってくる恐れもあり、言葉とは慎重に選ばなければいけないなと改めて感じた。


 そんなことを考えている私、もしかして?大人な女性なのでは?


 ふふふふふ


 こう客観的に自身をみて成長できるのはだいぶ大人だね!我が袖見て我が袖直せ!?

 あれ!?ダメじゃね!?


 でも、同じ篠村綾子だったとしてもこれまで積み上げた物の違い、境遇の違い、歩んできた道の違いによって、もはや別の人間であり同一性があるのは身体と魂くらいだろう。セカンドはハイエルフだけどね…。

 根本的には大差はないが、確実に存在するそれらは差となり、考え方も物事の捉え方にも違いは現れて来ている。

 人間、意見の食い違いはよくあることなのだがそれは自分とは違う他人なのだから仕方のないことだろう。

 ただ同一人物であるワタシであれば、「同じワタシなのに」と余計に感じてしまうかもしれない。

 確かにワタシ達は同一人物ではあるが、別人、他人といってもいいくらいには違う道を歩み過ぎている。

 でも、私はワタシ達とは意見が違っても喧嘩はしたくないかな。

 みっともないじゃん、恥ずかしいじゃん?

 ノルくんにみられたら自分じゃないワタシだとしても、そんな感じに見られたくないじゃん?

 普段は体面とかあまり気にしないよ?でもノルくんに「綾子って、綾子達って――」って思われるのは嫌〜。

 この世界のノルくんだからと言ってもノルくんはノルくんじゃん!!どの篠村綾子の中でも優先順位第1位!に輝くのはノルくんなんだよ!!

 だからノルくんにみっともないと思われるのは嫌だな。


 前置きはこのくらいにしておこっか。

 前置きが長くなると怒られそう。誰に?



 さて何が起きたのか?察しの良い方はお気づきだろう。

 この拗ね方、私がしそうな拗ね方だね。でも私じゃない。あれ?これ自虐?


 この大人気ない感じは――アーニア?

 なんとアーニアではない


 びっくりだよね〜!!アーニアじゃないのか〜って思っちゃうよね!?

 本当びっくり!

 聴こえてきた時は、アーニアさんおこなの〜!?(笑)とか心で小馬鹿にしてたら違ったんだよ。

 う、アーニアを小馬鹿にすると自身を小馬鹿にするみたいで胸が痛い!


 じゃあ消去法でセカンド?

 

 残念!セカンドでもない!


 じゃあ一体、何綾子なんだ?


 正解は――


「別綾子先生、こんな拗ねることあるんだね〜」

 セカンドがいうのも頷ける。


「最初、アーニアかと思っちゃったよ」

「私も」


 アーニアの評価は散々である。


 最も大人なワタシ。普段は物静かでなにをどうしたらこうなるんだ?ってくらいに落ち着いている別綾子。

 アナザー綾子なんて呼び方では失礼なくらい。

 だから別綾子さんとさん付である。

 まあアーニアさんは上司であり私よく怒られるからね、それでさん付である。

 アーニアの名誉の為にもいうけどアーニアは私に比べたら天と地の差で大人なのでその点は仕方無しにフォローしておこう。

 仕方なし?


「どうしたの?別綾子」


 それとなく聞いてみた。けど聞くタイミングを間違えた。

 結社員があちらこちらにいてここで聞くべきではなかっただろう。

 私は配慮が足りなかった。


「ん〜もう!別に関係ないでしょ!」


 ひっ!怖!別綾子コワ!ワタシ怖っ!


 ん〜どうすっぺな〜ってセカンドに目線をおくるがセカンドも同様に私に目線を送ってきた。

 セカンドも同様にどうすっぺなって感じなのだろう。


 なんて思ってるうちに別綾子が外に出てどっかいっちゃった…。まあ…シズルちゃんの本体がこの世界に無理矢理開けた穴に行くのだろう。

 別綾子の世界からこの世界へと繋がる穴。性質としては私がこれから向かう世界へと繋がるbranch of originateと同じである。

 ただ違うのは距離と状態だ。branch of originateはまだ準備状態でまだ開いてはいないし時間的に8000年ほど前に相当する別の世界に繋がる為に開いたとしても遠すぎてなにも見えないしなにも聞こえない。

 でも別綾子の世界に繋がる穴は比較的に近い為にフラッピングエーテルによる通信は出来るし通ろうと思えば通れるだろう。

 でも今はbranch of originateの為にフラッピングエーテルによる通信に留め、誰も通れないようにツムギちゃんが特殊な結界を張っている。さすがはデミゴッドツムギちゃん!


 そんな穴の近くに別綾子はいったのだろう。

 穴は帝国の近くにあり、結社本部のあるこの島国のほぼ惑星裏である。

 2ヶ月に1回だけ別綾子はそこに向かい別綾子のいた世界のノルくんやみんなと連絡をとっている。

 まあ、だから、なんとなく話はみえているのだ。


 さて、別綾子にキレられて呆然と口をあけて固まっているアーニアさん。

 まだフリーズ中である。


「アーニアさん?ちょっと?大丈夫?お、おい!アーニア!ワタシ!」


「……――へ?あ、あ〜………――別綾子怒っちゃったね」


「なにがあったの?」


「え、あ、あ〜最近、別綾子が通ってきた穴の歪みが観測されてさ、べ、別綾子にさ……向こうの世界の連絡も次回からは当分控えないか?って言ったの……、branch of originateの予防措置でね?」


 あ、あ〜……それ絡みだとは思ってたけど…


「別綾子は嫌だって?」


「それには理解をしめしてたんだけどね……別綾子が歪みと通信による影響の範囲をすぐ調べるからそれから決めてって。でも、私は予防措置で貴女達のbranch of originateを優先させて……――別綾子に数年くらいは様子みて控えようっていったら……――」


 あ、アーニアさん、私達のこと考えてくれてたのか。でも別綾子の意見を突っぱねちゃったんだね…。

 

 現在はこの世界の女神に相談して準備してもらったセカンドのbranch of originateもある。

 更には別綾子の世界へ繋がる穴もある。

 その穴はこの世界への隙となる場合もある。

 女神曰く、他の世界よりも穴が多いこの世界は侵略者の的になる場合もあるしとても不安定であるらしい。

 私とセカンドがこの世界から離れると同時に別綾子も元の世界へ戻り同時に女神が穴を塞ぐ段取りになっている。

 まあもともと結社見解でもそうなので別綾子もこの世界にまだいるのだけどね。

 リスク回避である。

 女神の助言の事を知ったアーニアは穴の歪みに対して慎重になっている。

 本来はbranch of originate1つだけ注視してればいいのに穴が複数あるからだ。

 女神は1年に1回くるし沢山助言くれる、でも、なんか誰かに似てる。

 誰だろ?


 そもそもbranch of originateは女神が始めたらしいけどね、なんなんだろう。

 私達以外にも他に日本から転移をしてきた人が昔は各地にいたらしく穴だらけだったみたいだけど。

 この世界の女神が来た時に詳しく聞いたわけじゃないけど本来死んでしまう因果の人を別の枝に飛ばして因果から外す救済措置のようなものみたい。

 branch of originateは、その転移をしてきた時に開く穴の名称なんだろうか?

 ツムギちゃんが観測してきた限りはここ数千年は私とレイちゃん以外は転移してきたものはいないみたい。

 じゃあ、私は久々の転移者ってことなんだね。

 あれ?私は死ぬ因果だった?まあ、いっか。


「まあ別綾子もワタシだしね、ノルくん不足が怖かったんじゃない?」


 適当なことを言って場を和ませようとした。


「まあ、そうだよね。納得させるまで調査してもらってそれからでも良かったかなあ?でも調査しても答えは変わらないと思う。女神?が決めた段取りの話、信用出来そうだし、リスクはなるべく減らさないとだしね。でも別綾子の気持ちまで考えてあげられなかったなあ」


 まあアーニアはこういうとこ凄い真面目だもんね。

 私もそう考えるとおもう。


「様子みにいってこようか?私とセカンドで。まあ今、ぶっちゃけ暇だし。」


「……それに乗っかって旅行しようとか考えてないよね?」


 ギクッ!


「え、え〜……そ、そんな〜?ま、まさか〜ねえ、セカンド?」


「私、帝国にいってみたい!!私、まだこの世界来てからこの国から出たことないし行ってみたい!」


 セカンド!正直すぎ〜!


 でもセカンド爆誕から5年か〜、早いもんだよ。

 この島国から出てないしつまんないだろうし外に出たくもなるよね。

 ちなみに私は33歳になりました。

 早いもんだね見た目は17歳の時のままだからいいけどさ。

 まあセカンドを若いな初々しいなあーなんて思うあたり私も大人なのだろう。

 ふふふ


「なんでドヤ顔なのさ、じゃあ冒険者ギルド本部にセカンドの特務発行してもらうから研修の一貫としてならいいよ。貴女は引率と監督ね。」


 アーニアさん?私が引率!?ってそうか……私も引率任せられるくらいにはなったのか。

 私の時はアヤに引率してもらったけど。


「あのワタシを、別綾子のことよろしくね」


 アイアイサー!って、私もどうよろしくしたらいいかわかんない。でも、様子みないよりはマシでしょ?



 よっしゃ〜!いくぞ〜!!リナちゃんもリノアちゃんも全然来てくれないし会いたかったんだよね〜。

 ミントちゃんにもあっときたいし。


「セカンド準備オッケー?って旅行バッグ?異空間収納あるのに?」


「これは気分だよ!気分!旅するんだからバッグは必要!」


「あ〜、そっか〜私は手ぶらでいいや〜。」


 かさばるのが嫌だし。

 セカンドは旅が始めてなので張り切ってるね〜。

 でも特務はなにかな〜?またエルフ殲滅?セカンドの身体だとまた姫呼ばわりされちゃうよ?ハハハ

 って、あ、これまたエルフ綾子の記憶か。

 無意識だとたまにごっちゃになるなあ。分離出来ないかなあ……――こちレイちゃんにも無理!って太鼓判押されたしね。


 

 さて、やってきました!

 道中は特になんもなかった!飛空艇に変なビーム飛んできたけどね。

 けど私の防御結界の硬さに弾かれのーぷろぶれむ!なんだったんだろ?


 帝国皇都を初めてみたセカンド、すっごくはしゃいでいる。

 初々しくて微笑ましいな。

 私もこっちにしか売ってない食材を買い漁ったりしてて少しはしゃいじゃったけどね。へへ。

 だって野生のビーフドラゴンだよ!?2億イエンしたけどね!?野生ポークドラゴンの何十倍もレアな食材だよ!?

 さてそろそろ冒険者ギルドいかなきゃな〜って思ってギルドに向かった。


「ここが冒険者ギルド本部だよ!すごくない!?」

「やっと着いた〜先輩綾子はしゃぎ過ぎるから着くの遅くなっちゃったじゃん」


 え、私、はしゃいでた?


「なに驚いた顔してるの?食材オークションとかでめちゃくちゃはしゃいでたよ?ってか、よくあんなにお金もってたね!?」


「えへへ、食堂やレシピライセンスのインセンティブがどんどん溜まってっちゃってさ。この世界のお金いつまでも使わないの勿体ないしさ、ついついちょっと使っちゃった……――どうせこの世界離れると使えないしさ」


「あ〜そっか、でもちょっとじゃなかったよ!?声すっごく大きかったね、1億!2億!ってポンポン出してて周りお金持ちっぽい人達引いてたよ。記憶の限りだと20億くらい?」


「えへへ、野生ビーフドラゴンなんてレアすぎるのが8匹に野生ポークドラゴン30匹と野生コカトリスが50匹。あとエリンギマツタケ1トンで締めて23億かな?」


「うわあ見事に高級食材ばっかり。私もこの世界出る前に使っちゃお。」


「この世界のお金は使っちゃったた方がいいよ。無意味になるし」


「でも先輩綾子、エリクサーとかには目もくれなかったね?あれ凄そうじゃん。3億とか出してた人いたね。」


 あれは多分、アーニア印のポーションだしね。

 私の異空間収納には結社産業廃棄物置き場から回収したものが現在9000本入ってる。


「あ〜、まあ、食の方が大事かな?」

「あ〜まあそうだよね。」

「それよりも特務おわったら買ったお肉でバーベキューしよ?別綾子さんも誘ってさ。お肉食べたら機嫌よくなるかもだし」

「まじで!?やった〜!!野生のドラゴンビーフとかマジで!?やった〜!」


 あらあら、はしゃいじゃって。

 ふふふ。

 そんなセカンドをみると思わず笑みがこぼれてしまうね。

 私も大人になったもんだなあ。


「先輩綾子……なんでドヤ顔?」

 え!?ドヤ顔?おかしいなあ



「外が賑やかだなあって思ったら綾子姉さんと、セカンド姉さんだね。久しぶり。そして初めまして、セカンド姉さん。」


「リナちゃん久しぶり〜!髪伸びたね〜!」

「リナちゃん?初めまして。え!ワタシ?」


 リナちゃん髪が伸びてより私達により似てしまった。セカンドは初対面か〜。


「別綾子姉さんも来てるよ。世界の穴近くにいると思うけど。」

「そっか〜、でも先に特務かな〜。セカンドや私はその体裁で来てるから」


「あ〜、そうだったね…でも今日は遅いし姉さん方も長旅でつかれてるだろうし明日にしようね。」


 やっぱり皇都ではしゃぎ過ぎたかな…。


「うん、明日にする」

「でもご飯くらい食べようよ。食堂に頼むから私の執務室に運んでさ。」

「うん!そーする!」


 まあ軽く食べるくらいでいいかな?


 さてギルド内へレッツゴー!

 セカンドがギルド内でほぇ〜って驚いてた。

 私は慣れたものなのでさり気なく食堂に向かう。


「姉さんなんでドヤ顔?可愛いからいいけど」

 ドヤ顔?さり気ない都会っぽい雰囲気出したつもりなのだが?田舎者じゃないよ?


「わたしはオムライスかな」

「あ、私も〜!」

「じゃ姉さん達と一緒で」


 ここのオムライス美味しいんだよね〜デカイし。

 これは軽い食事、いわゆる軽食だよね?そんなガッツリもしてないし。

 は〜お腹空いた。

 ミントちゃんとリノアちゃんは休みなのかな?


「リナさんが3人?」

「いや昔きた偉い人じゃね?俺何年か前に見たことあるよ。」

「リナさんが姉さんって呼んでたよ。姉なんじゃない?」

「そっくりじゃね?」

「一人は眼が紅い」

「数日前も来てなかった?髪型違うけど。」

「え?大聖女?レベル9999?なにこれ…」

「こら……鑑定はマナー違反だろ!ってレベル9999て……嘘だろ?」



 リナがこの顔で定着してくれたからおいそれと誰も下手に話かけて来ないのは便利である。

あれ?リナさんって呼ぶ人増えたね。

 ギルマスって呼ばれてた気がする。

 あ、鑑定されたか……レベルは1のはずだけど?


「姉さんオムライス来たよ。執務室にいこうよ。」

「は〜!おいしそう!これ食べたかったんだ〜!あれ?オムライス4つあるね……」



 まあ世間話なんて、まあいっか、である。

それよりもオムライスだよ〜!お腹すいちゃった!

 はやく!はやく!執務室!ぺっこぺこ〜♪ぺっこぺこ〜!おな〜かぺっこぺこ〜♪


「ふふふ、姉さん、なにその歌は」

 え、私声に出してた!?

「あ、綾子姉さんじゃなくセカンド姉さんの方。」

 セカンド、さすがはワタシ。その辺は一緒だね。別綾子に似ていまや食いしんぼだもんね。

 私?いまは食事量控えてるよ、多少


 まあいっか、食べよ〜!って執務室に入った。


「これはこれはアーニア様方じゃないっすか〜!お久しぶりっす!」

 リオちゃん!

「久しぶり〜!あれ?リオちゃん1番偉い感じの席に座ってるね。勝手に座ったらリナちゃんに怒られない?」


「あ、私、いまギルドマスターなんで、ここ、いま私の席っす!あと、結社員になれたっす!」


 え!そーなの?リナちゃん!?


「あ、アーニア姉さんつたえてないな」


 初耳!!


「そうなんだ!リオちゃんギルマスご就任おめでとうございます!あと入社もおめでとう!」

「あざっす!」

「ご祝儀に結社謹製ポーションを20本進呈します!ギルマスの激務につかれたらグイっと一本いっちゃってね!」

「え、いいんすか?これエリクサーって呼ばれてるのっすよね20本も?」

「疲れたら栄養剤感覚でグイっとね!すんごい効くから!」

「え、めちゃめちゃ働かせられるすか?リナさん?」

 え、いや、そんなつもりじゃ


「リオ、大丈夫、ここにいる姉さんはそんなつもりもないし今はギルマスだけで大丈夫だよ。本当にただの厚意として受け取って?」


「あ、それは失礼したっす、アーニア様、いや綾子様ありがとうございますっす!疲れたら飲むっす!」

 疲れたら一口ずつグイっとね?


「リナちゃんはいま顧問とかそんな感じ?」

「そうだね引き継ぎ期間が今月までだから、それが終ったら本部に戻るよ。結社の仕事も支部の頼れる子に引き継いだし。」


「へ〜!戻ってくるんだ!よろしくね!あと5年くらいだけど」

「うん!姉さんよろしく!」



そろそろ生え抜きを育てないと仕事が追いつかないのでどんどん各地で後継を昇格させてるんだって。

 なるほどな〜、私は結社を作るかなんてわからないけど参考にしておこう。


 じゃあ、オムライスを食べよ!4つあったのはリオちゃんの分もあったからだった。

 やっぱりここのオムライスは美味しいなあ!真似してもうまく再現できないんだよね〜。

 オムライスを食べながらキャッキャしてたんだけどね。


「ギルマス!ケビンがまた逃げやがった!アイツ懲役がまた伸びるじゃねーか」


「こら!アダム、入るときはノックくらいしなさい。君は小さいころからそこが直らないね。」

「リナ様、申し訳ございません。…――リナ様が沢山!?ってそんなわけないか、アーニア様ご無沙汰しております。先ほどは大変失礼致しました。」

 アダム?っておじさん!?なんか若くなってない?20代にしかみえなくなってるけど?

 しかもリナ様がいっぱい!?ってどんだけリナちゃんのことが好きなんだ!アハハ!面白いな〜!


「アダムは来年からA87地区の村に移住するんだよ。リガルド達と一緒に暮らすらしいよ。あと、どこかでアルティメットドラゴンの肉を手に入れて半不老になったみたい。若くなったよね?」

 ふふふ、面白いなあ。おじさん、いや、アダムくんリナちゃんのこと好きすぎでしょ〜。半不老になっちゃったもんね。でもリナちゃんは唐変木っぽいからなあ。


 しかし半不老か〜、私も初めアルティメットドラゴンの肉食わされたらしい。今はコンバートの応用で歳をとらないからもうあんまり意味ないけど。

 いや〜、アルティメットドラゴン食べて、近くにいたいからA87地区まで追っかけちゃうか〜。いわゆるリーシャちゃんのいるエイバナの村だよ。そこまで追いかけてしまうのか〜、めちゃくちゃ共感しちゃうな〜。



「アダムくん!応援してるよ!がんばってね!」

「え、アダムくん!?くん呼び?」

 あ、いきなりくん付けは失礼だったかな?


「私も応援してるっすよ!アダムさん!実るかは正直微妙っすけど!」

「私もなんとなく察した!アダムくん!ファイト!」

 リオちゃんもセカンドも応援を始めた。

 アダムくんはリナちゃんをちらちら見る。

 思春期の男子か!


「そうだね。A87地区はそこそこ栄えて来たし領主候補は必要だからそこで励みなさい。リガルドとアダム、リーシャがいれば十分まわるでしょう。」


 はあ〜リナちゃん…――溜息が出ちゃう。

 背伸びをしてアダムくんの肩に手をぽんとおいた。

 リオちゃんもセカンドも同じく。

「道は険しくなさそうで大変そうっすねアダムさん」

 やれやれ、である。

「簡単なことではないからね。アダム、リオ、貴女達は私にとっては子供のような者。だから困ったらいつでもサポートしてあげるから頼りなさい。」

 とても嬉しい内容だけどアダムくんにはトドメかな?子供扱いされたしね。


「リナ様ありがとうございます!」

 言葉とは裏腹にめちゃくちゃ残念そうだ!

 

 まあこればかりはなにもしてあげられないしがんばってね、アダムくん。


 で、ケビンが逃げたと?

「どうやらサーシャという元パーティメンバーの女性に会う為らしいです。いままでに5回脱走前科があります。既に子供が5人。」

 は?あれが6年前だから1年に1回子供つくる為に逃げてると。

 最低じゃね?父親不在、あげく稼ぎもないのに?でも、本人達の価値観の問題なのかな?否定はやめておくけど理解はしたくはないかな?子供達もどう思うんだろうか。

 私も母子家庭だったし。

 とはいえママはずっと処女だって言い張ってたけどね。

 「綾子が家にポツンといたから私が育てにきたのよ〜」って言ってたなあ。ママ可愛い。

 話がズレちゃったわ。


「ケビンをみかけたら教えてください。アーニア様方のお手は煩わせませんので」

「わかった〜、状況によってはその場の判断で動くけどそれでもいい?」

「はい、大丈夫です!ありがとうございます!リナ様、ギルマスも……では失礼します。」


 壮年の渋さが消えると初々しくみえるもんだなあ――思春期の男子にしかみえない。

 リナちゃんをちらちら見すぎて面白い。


「リナちゃんの唐変木〜」

 すこし発破をかけておこう。

「は?なんのこと?それより唐変木っていうなら姉さんもだけどね、まあアーニア姉さんの話だけど。何千年もなにしてんだか」


「え?なんのこと?」

「はあ〜……綾子姉さんもか」

 セカンドもハテナマークいっぱいの顔をしていた。まじでなんのこと?誰かから好意をもたれてるってこと?そんな人いる?

 まあアーニアの話だし私には関係ないからいいか!


「じゃあ〜明日また来るから!」

「うん!まってるね!」


 帰るときにギルド内からリナ様じゃね?リナさんじゃね?って聴こえたけど人違いです〜!


「セカンド、お腹空いたね?やっぱり足りなくない?」

「わかる〜!なんか食べてこうよ。」

「結社支部宿屋に寄って食べてこう!」

「いこ!いこ!お腹と背中くっついちゃう〜!」


 今日はノルくんハウスを出して泊まるから宿は寄るだけなの。


「美味しかった〜」

「ほんと明日もまた来たい〜」

「いこうよ!でもそのあとはバーベキューまってるから!」

「あ!そういえば!楽しみ〜!」


 翌朝、ギルドでは冒険者の間でリナさんが大食い?まさかストレス?とか色んな噂が流れていた。


 結社支部宿の食堂には一般の冒険者や帝国民も食べに来るしね、リナちゃんごめん。

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