第27話 苦く甘いまどろみの中で

 

 女の子が泣いている。これは私?


 私が作った服、アヤに作って貰ったローブにハーフアップみつ編み。

 鏡でもなく第三者視点で自分をみるとこんな感じなんだね。

 でも泣いている。

 ガチ泣きだ。

 そのワタシは私に気付き近付いてきた。

 酷い顔してるよアナタ。


『私は、全てを失った。お願い――私も連れて行って』


 そんなことを言って、そのワタシは解けて融けて私に溶けた。

 それは哀しく、儚く、絶望的に苦く、酸っぱい感じがした。

 私は甘いのがいいな


 アナタも私と一緒に笑える様に、がんばろ?



「ふにゃ〜、あれ?」


 夢か〜流石に夢だよね〜。

 変な夢。


 時計を見れば正午過ぎ。昨日の夕方からだから流石に寝すぎかも。

 でも凄い疲れてたから。


「まずは顔洗うか……――うわ髪も身体中もベトベトだ〜お風呂入るかあ」

 結社本部の私の部屋のお風呂、久々だけど落ち着くわ〜。


「は〜、さっぱりした〜。コーヒー牛乳コーヒー牛乳。ぐびぐび〜。ふぃ〜最高。髪乾かさなきゃ。」


 あ、そういえば猫耳消えてるね。寝たら治るのかな?


「いやあ、まだ眠いなあ〜。」

 ふかふかの私のベッド。

 これ特注品なんだよね。

 超低反発と程よい高反発素材のハイブリッドでね、あ〜……――流石、私の部屋。結社宿屋も良かったけどね、私の部屋が書いてき過ぎるからどうしても比べちゃうよね。


 ん?私の部屋?


「私、帝国にいたんじゃなかったっけ?」


 部屋を出てみた――人の気配はない。


 静寂の隙間に小鳥のさえずりが響き渡る。

 歩けば床の軋む音が誰もいない廊下に響き渡る。

 いつもなら何気ないそれらが無性に不安をかきたてる。


「変な夢みたあとだからなあ〜、少し怖い……アーニア?リリスちゃん、エレナ、セレナ、レイちゃん――みんないないの?」


 台所に行ってみよう

 ちょっとお腹空いたしね。少しは気が紛れるだろう。


 軽めにするか、重めにするか。

 寝起きの割には結構がっつりいけそうな感じするんだよね。

 何にしよっかなあ〜。

 私の収納空間に料理はストックされているんだけどね……でも作って食べたいのだ。

 

 まあ早く食べたいし普通に食パンと卵にベーコン焼いたアレにサラダでいっか〜。

 うわ〜我ながら美味しそうに出来たわ。


「いただきま〜す!」

 ペロリと平らげてしまった……もう1食くらいいけそう。


「か、カツ丼いけそうかな?」

 ペロリと平らげてしまう……!まだいける!


「ストックに確かカレーが」

 ペロリである。

 まだ物足りないけどこれ以上は……。

 

 私、別綾子と化してしまった!?大食いの感覚って結構、胃袋が切ないのがず〜っと続く感じだね。


 でも、お昼だとみんなもうお仕事しててダイニングに集まってるはずでしょ?

 少しずつ不安が私を蝕んでいく嫌だよ……また1人になるのは。


 ん?自分で思考しといてなんだけどさ……また1人って?


 いままで本当に1人になったことってあったっけ?部屋に引きこもるのは流石に1人だけど誰かしら近くにいた。

 ママやレイちゃんが。

 この世界でもみんなが。


 誰かが近づいてくる!?誰?


 人がいた安心と残る不安がまじり私は声も出せずじっとしていた。


 ダイニングのドアがゆっくりと開かれた。

「綾子様、こちらにいらっしゃいましたか」


「ツムギちゃん」


 知ってる人がいた……ただそれだけで、こんなにも安心出来るんだね


「ツムギちゃ〜ん!うわ〜ん!!」


 ツムギちゃんに抱きついてぐりぐりしてしまった。


「綾子様?綾子様?大丈夫ですか?」

 はっ!いっけな〜い!


「ごめんツムギちゃん」


「いえ、いいんです。それよりも……」


「それよりも?」


「いまの状況を把握していますか?」


「……いや、全然わからない……帝国にいたはずなのにさ……起きたら本部の自分の部屋で寝てた。昨日確かにエルフの里行ったりして疲れちゃったんだけどね、まさかお昼過ぎまで寝てるとは思わなかったよハハハ」


「貴女にとっては昨日のお話なのですね」


 ん?それってまさか…1000年くらい経っちゃってるとかそんなオチじゃないよね?


「綾子様、貴女は1年間ずっと眠っていたのですよ?」


 ほっ、1年か……良かった。

 ――じゃないよ!1年?1日じゃなくて!?


「ふふふ、表情が豊かなのですね、綾子様」


 また思ったことが顔に出てたらしい…気をつけよ


「みんなは?」


「皆様は本部の新屋舎にいますよ。こちらは現在別邸となっています。」

「あ、そうなんだ……儲かってたし頃合いだったのかな?」

「いえ、それもあるのですが……」

 ん?


「綾子様に見に覚えはないかと思うのですが……綾子様の結界でこの本部に別綾子様と私しか入れなかったのですよ。結界を突破出来るものだけといいますでしょうか。」


「あ、わたし、なにかやっちゃいました?」


 否定も肯定もない様な表情のまま目を逸らすツムギちゃん。これは私、なにかやっちゃったんですかね?


「話せば長くなってしまうのですが」



「はうっ!?」


 ツムギちゃんから話をきいてもう限界なんだけど?

 私、そんなことしたの?いや正確には私とは異なるんだけどさ。

 いや、でも私といえば私か!?

 でね、話を聞いてるうちに思い出してきちゃった。私じゃないんだけどさ……いや、一体化してしまったしそのワタシも私か!?

 う〜ん、責任は全て私に負わされる〜。

 それに私は元の私と同じ私なのだろうか?私は私のままという感じしかない。

 伝わるかわからないけど。

 

 私は別のワタシの精神体と融合している。

 まあ今の自我は元々の私だし夢のようで朧気なところもあるけど。

 そもそも私が体験したことではなくワタシという他人が体験した記憶なんだけど…。

 引き出しにしまってて探すと思い出す感じかな?

 そのワタシだった時の話をしようと思う。



 私、篠村綾子は結社での20年と少しの時間で色々な知識を得てbranch of originateのゲートをくぐり、私と時間を共にした私の知るノルくんのいる分岐した枝世界へ向かっていた。

 これからノルくんに会えるんだね!みんなとお別れするのはツラかったけどね、まあレイちゃんとナッちゃんとシロもいるし大丈夫!

 あ、なにか色が変わっていく!これが私達が本来いくべき世界?

 時間でいうとアーニア達の世界より8000年くらいほど前に相当するらしい。


 楽しみだね!


 色が全て変わりゲートから別の場所に来たということがわかった。

 そこで見た物は――


 ――燃えさかり、崩壊していく宇宙だけだった。

 気付けばレイちゃんもナッちゃんもシロもいない。

 私も身体が燃え尽きたけど身体の様なものがあった。

 その身で崩壊していく世界を眺めていた。

 それはまるで木が燃えているような。

 よく見ると、大きな木のうちの枝の更に小さな枝の束の一つだった。

 理解はしたくない

 私の本来いくべき世界、私の知るノルくんがいる世界は……


 消滅してしまったのだろう。


 すなわち、ノルくんも他のみんなも……もういないのだ。


 理解していくうちに理解が追いつかず、理解をすることを拒絶する。

 そして、私は考えることをやめてこの大きな木を眺めていた。

 ただただ眺めて眺めて、一体どれほどの時間が流れたのだろうか?

 それは1年にも感じ、1000年にも感じ、さすがに1億年とかそれ以上は――経ってはないよね?

 でも、そんなの些細なことだ。

 

 だって何事も無意味なのだから――ノルくんはいない。


 まって!?他の小さい枝にもノルくんがいるんじゃない?なら!

 いや、やめておこう。

 そこには既にワタシがいるだろう。


「ハァ……」


 そんなこと私には出来ないと諦めながら溜息をついた。

 それでも私は枝に近づいていった。

 近づいてみると枝の中の世界を覗くことが出来た。

 私は色んな世界を観察した。


「どこの世界のワタシも一歩踏み出せてないね、フフフ」

 わかるわかる〜!

 

 でも、私はそこには行けないし。

 私の行くべき世界はもうない。


「涙が出ない、けどもの凄く泣きたい気分だ。」


 どうしようもない喪失感でいっぱいだけど不思議と涙は出ない。

 とても長い永い時間、いろいろな世界の、これから始まったであろうノルくんとの大冒険の可能性を見てきた。

 嫉妬こそしたが羨ましいなあ程度だった。

 私のことだからもっと妬むんじゃないかなと思っていたけど意外だった。

 けれども代わりに私には憎しみが生まれた。


 私のいくべき世界を消滅させた要因に対してだ。


「まじで許さね〜からな!」

 そんなことをいいながらも木の周りを探索しはじめた。

 割と緑豊かなんだねここ。

 植物かどうかは微妙なんだけど…。

 それにしても

「この木、でか過ぎ……」


 木の反対方向にも木があるけど、どうもジメジメしてそうで嫌な感じがする。

 反対にこの木はどこか落ち着く。

 別の木は――まあいっか、である。


 どれくらいだろう?だいぶ永いこと木を探索していたら人がいた。

 第1村人発見!?なにやってるの?枝をぐりぐりして?ん?


「あ、あの……!」


 思わず声をかけてしまった。ずっと誰とも話してなかったしちょっと寂しくてね


「あ、やべ!!見つかっちゃった!?」

 その子は、私と同じ背丈くらいの女の子みたいなんだけどね?ん?この顔は――


「あ、待って!行かないで!」

 どっか行っちゃった


 暫くするとまた誰かやって来た。

「この辺に反応あったんだけどなあ〜、逃げ足速いなああの子。」


 この声、会いたかった。

 出ないと思っていた涙すら溢れる様に出てくる。


「レイちゃ〜ん!!」

「え!?」

「レイちゃんよがっだよ〜!ふえ〜ん生ぎでだ〜うわ〜ん!!」

 がばっとレイちゃん?に抱きついた!


「は!?え!?レイちゃん!?って!?え?」

「ふぇ?レイちゃん?」


 レイちゃんが困惑している。

 あれ?微妙に雰囲気違うような?


「レイちゃんじゃないの?」

「そうだな〜私はレイちゃんという名前ではないな。」

 わわわ!人違いだ!恥ずかし〜!よく見るとレイちゃんより1センチくらい背が高いし!?雰囲気も全然違うかも!?私の綾子アイがそう告げている。

 レイちゃんの親友を長いことやっていない!


「ごめんなさい!私の親友にすごい似てたから!」

 私の知ってるレイちゃんは……


「大丈夫?」

「あ、うん…ぐすっ…ありがとう」


 この人の名前はルナというらしい。

 可愛い名前だね!

「篠村綾子です」と名乗ったらいきなり目を見開いて咳き込みはじめた。

 大丈夫かな?まさか…喘息持ち!?


「大丈夫?もっと空気のよいとこに行く?ルナちゃん」

「ちゃん付け、いいかも……」

「ルナちゃん?」

「いや、なんでもないよ。そうだ綾子、この辺で人みなかった?」

「さっきみたよ!私に似てた。もしかして私以外の別の枝の……ワタシ?」

「篠村綾子が現れたのは初めてだよ。もう探してた子が霞むくらいのビッグニュースだし。探してた子は別人になるかなあ?」

「私!もしかして凄いのでは?よくわからないけど」

「ハハハ!私と仲良い子にも綾子を会わせたいなあ。」

「他にも人がいるの!?」

「いるぞ〜!まあ仲良いのは今は1人かな。」

「さっきの探してた子?」


「いや、あの子は嫌いじゃないけど少しイタズラが過ぎてな……探してたんだ。」

「そっか〜」

「あ、またここ来るから!ちょっと待ってて?」


 ルナちゃん、早く戻ってきてね…。

 ルナちゃんを見送って私はまた木の枝の中を覗いていた。

 そして時間がまた経過して物音がした。


 ルナちゃんかな?


「あれ?もしかして、アーニア?」

 まあそう呼ばれてはないけど半分は正解かな?誰この子。フード深く被っててよく見えないや。


「誰?知ってる人?」

「いや、はじめましてよ。アーニア、いや篠村綾子の方がいいかしら?」

「綾子でいいよ。貴女は?」


「私はそうだね〜『暴虐の女神』とでも名乗っておこうかな?」


 出た〜…自分を女神とか言っちゃう人〜


「あ、ああ……そうなんだ」


「ちょ、ちょっと!その気の毒そうな顔はなんなのよ!」

「いや、女神とか自称しちゃってるし」

「まあいいわ。でもアナタもいま半分女神みたいなものだけど?」


 いやいや、そういう擦り付けて恥ずかしさ緩和しようとか中学生でもやらないよ?


「いや、そりゃねえっすから」

「ぐぬぬ……」


 いたなあ隣のクラスにも張り合って難癖付けてくる子…。


「まあいいわよ!でも『混沌の木の女神』かと思ってまじ焦った〜!『静寂の木の女神』もさっき見かけたけどどっか逃げちゃったし」

 

 他にも女神いるんかい!この人の中での話だと思うけど、ちょっと痛いね。

「でも綾子がここにねえ?いったいなんでここに?」

「よくわからない……」

 この自称女神様にありのままを話した。

 まあ話相手が欲しかったしね。


「そっか〜、枝が燃えたってのは流石に可哀想って思うわね。誰だろう?でも――そんなことあるかな?」


 それは誰かが燃やした?ということ?

 はあ?女神?女神がいるなら助けろよ!


「怖いよ綾子……」


「あ、ごめん」

 ちょっとどころかかなりキレかけてしまった。


「でもさ?どこかの世界の登場人物になれるならなりたい?篠村綾子じゃないし元の世界は消滅したから別の世界になるけれどね」


 マジで?それは興味があるなあ。


「お?興味があるって顔したね?」

「うん別の世界だとしても。みんなにまた会いたい……」

 私の知ってるノルくんやレイちゃんは、もういないけど。

「いいわよ〜!?私は別の木を管理してて、そこで親和性の高い身体用意してあげるから!それになぜか今、枝に穴が空いてるから忍びこみ放題だしね〜。」

「ほんとに?いく!」

「そうだね〜、ちょっと耳が尖っちゃったりするけどね?綾子は別にまだ女神じゃないからまた木の中にもどれるから今のうちだよ〜?」

「いいよ!それでも!いく!」

「オッケー!綾子の魂は元々ここの木のものだしあまり濁らずに済むから助かる〜!身体との親和性を高める為に綾子の魂は私が制御するからね。私が制御すると魂も少し変質しちゃうかもだけどね〜。」

「うん!任せるよ!」


 なにもない私はなりふり構ってられなかったのだろう。

 すべてこの子に委ねることにした。


「じゃあ、この世界でいいかなあ〜?以前、私がやられちゃった枝の世界だけど、またエルフ増やしちゃおっかなあ〜?」

「あれ?アナタも行くの?それにエルフ?あれ?そんなの私の前いた世界じゃいなかったよ?世界にもよる?」

「私が干渉した世界だけかなあ?綾子が通ってきた世界は私がなにもしなかったのよ多分」


 ふ〜んそうなんだ。

「じゃあ、いくよ」

「うん!」


 気がつけば、私は森のエルフの里?でエルフに囲まれながら暮らしていた。

 まるで元からそこにいたかの様に。

 耳は尖っている。

 瞳が真紅。

 そのほかは篠村綾子そのままだ。

 ただし、身体の制御を私出来ない。


「やったわね!篠村綾子の魂を媒介にこの世界に再度顕現!またエルフを増やして『あの人』に認めて貰うのよ!?私!」


『あのさ〜、聞いてないんだけどこの身体、私じゃ制御出来ないじゃん。しかも乗っ取られてるじゃん。嘘つき』

「乗っ取らないとは言ってないのよね〜。だから私は嘘つきじゃありません!あれ?乗っ取り?ん?あれ?まあいっか」

『この嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき!嘘つき〜!!!』


 頭がおかしい人に騙された。

 この自称女神が創ったエルフも頭がまじでおかしい。

 しかも食人鬼…グロ…そしてエロ……。


「おえ…気持ち悪…しかもエチチチなことはちょっと……相変わらず最悪だなあ此処のこの子たちは……――」

『お前も耐性ね〜のかよ!しかもエルフ苦手なのかよ!』

「そうよ悪いかしら?エチチチな時と食事時はどこかに逃げるわ…まあ護衛にはなりそうかな?いまの私、弱っちいから。」

『頼むからそうしてね。ほら、あそこの木の実とかキノコなら食べれるから、あと危なくなったら私に主導権よこしなよ。それなりに強いはずだよ?』

「まじで!?サンキュー」

『まじで無計画すぎない?アナタ…あとなんて呼べばいい?』

「う〜ん、アヤ……う〜んネかな〜?アヤネで」

『名前被りすぎ』

「仕方ないじゃない!思いつかないのよ!」

『わかったよアヤネ』


 そんなこんなでエルフの里でアヤネとの共存生活が始まった。

 あ、ルナちゃんのこと忘れてた〜!!

 ルナちゃんごめん!!!




「ねえ綾子。これ食べられる?」


 私たちは木の実で飢えを凌いでいた。

 人なんか食えるか!アホか!そんな生活も一ヶ月かな……だいぶひもじい。


『それベニテングタケだからダメ。美味しいけど下手したら死ぬよ?』


「へえ美味しいのね……お腹好き過ぎてダメ……食べちゃおう?」


『ダメ!!馬鹿!あ〜なんで食べちゃうかなあ調理もしてないし生のキノコなんてなにやってもお腹こわすから……しかもベニテングタケかよ……あ、あぁああああ……』


 思った以上にこの子、頭が弱いし頭がおかしい。初めて話した時は多少まともだったと思ったんだけどな〜


「まずいしお腹痛いし…うわあ、変なイボイボ出て来たあ!」

『馬鹿じゃ…ないの?せめて今くらい主導権を…寄越せ…治して…あげ…る』

「すぐ…身体返して…くれる?じゃなきゃ……」

『馬鹿!このままじゃ死んじゃうって!』

「わかったわ……」


 身体の主導権を握った私は、すぐに術式を展開。

 自己治癒力を最大限にふった。

 あとは、私の異空間収納使えるのかな?

 あ!使えるし色々入ってる!向こうにいた時にアーニアに貰ったポーション!万能じゃないしそこそ効くくらいだけどこのくらいの毒なら……


 ゴクゴクゴクゴク


 うわあ微妙な味〜、でもまあ大丈夫そうかな?

 イボイボひいてきた、でもなんか疲れたなあ。


 術式も使えるしまあまあいけるかな?一応、魂はアヤネに握られちゃったけど私の精神体くらいはプロテクトかけておこう。

 頭の悪い子と一緒にいたら私まで頭が悪くなりそうだ。

 向こうで精神体やら魂核の理論専攻してよかった〜。

 これ教わってなかったら詰んでた!?


「治ったよ。」


『はあ?もう?綾子凄いね!?』


「まあただの毒程度だしね、それより早く戻らないの?」


『なんか毒キノコで疲れたのよね……綾子なにか美味しい物用意して?共存が必要と学んだ……』


「へえ、学ぶ頭はあったんだ……」


『失礼じゃない!?』


 はあ?詐欺師がそんなこというなよ、騙した癖に

 

 そしてアヤネが『寝る』とか言い出して静かになった。


 ここからは私の時間である。

 向こうでアーニアに仕込まれたサバイバル術がある。

 野宿とかさんざんさせられたし、どこでもどんな場所でも生きていける自信がある。

 テント?ログハウス?そんなの異空間収納にはいってねーよ!

 入れとけば良かった。

 まあでも調理器具はあるしなんとかなるかな?


 そこからは簡単だった。


 このキノコは食べれるね、水に浸して虫をだして――


 あ!ドラゴンだ!あれは…見たことないけど食べられる気がする。

 この身体でいけるかな?

 別に普通に狩れたわ。

 解体習っといて良かった〜!!肉は…豚みたい?なにこのドラゴン。

 この世界のステータスで鑑定すると、ポークドラゴン?食用に改良された品種の……野生!?


 野生のキャベツだ!野生のは少し毒性ありそうだけど……毒抜きをして――

 白菜とかないかなあ……ないかあ…。


 この球根食べれるかなあ……玉葱っぽいけど?にんにくっぽいニオイもする?


 あとこれは?芋……かなあ?う〜ん。


 お味噌のストックあったかなあ……少しだけあった!出汁はドラゴンでいいか〜、贅沢はいえない。


 出来た!綾子特性!ドラゴントン汁!

 料理は日本にいたころにそこそこやってたから、まあそれなりに食べられるじゃん?まあお味噌以外は現地調達だし、それにしては中々なんじゃん?


「さてさて、いただきま〜す!ふは〜美味しい!このドラゴンまじで豚肉!」


 収納に入れといたし当分は持ちそう。

 もっと美味しいもの探さないとなあ。


『綾子、なにこれ、美味しいわね!』

「ふふ〜ん、美味しいでしょ!」

『凄い凄い!これからは綾子料理してね』

「わかってるね〜!ま、でも眠いし……自分で身体、動かして食べたら?」

『わかった〜。これ美味しい〜!』


 じゃあよろしく寝るわ。

 私は数時間かな?寝続けた。まあ精神体だから寝るというより意識をオフにする感じである。


「綾子……苦しいの助けて……」


『は?どうした、うわ!お腹いた!!』


 全部食べたな……まあ全部出しっぱにした私も悪いけど。

 ようは食べすぎである。


『アホかっての!』

「あとはよろしくなのよ」


 あ!こいつオフりやがった!

 まあ私が自由になれるからいいんだけどさ……


 さてさて今のうちに精神体に強固なプロテクトをして……よし完了。

 魂核は?クソ!アヤネの精神体に紐付けられてるわ。

 まじかあ……身体もかあ……。

 引き剥がすことは出来るけどそうなった時に私も多分死ぬ。


 はあ、まあ、でも、また生身で大地を歩けるんだ…――機会を伺おう。

 その点は、アヤネに会えたのはラッキーだったのかな?


「さて次は……」


 エルフの数を少しでも減らそう!アレはおかしすぎる……アヤネが主導権を握っていた時は見ているだけだったけど殺された人が運ばれてくる度に嫌気がさした。

 たまにニヤニヤした男がきて喜んでたと思えばいつのまにか死んでたり……。


「600人くらいか……人と呼んでいいのかわからないから600体というべき?」


 集落が複数に分かれているみたいだね、ここから西側の集落をまずは潰すか~。

 西側へゴー!ゴー!ゴー!刀をもってカチコミだー!覚悟しろ!


「姫!?なんですか?刃物なんて持ってどうしたのですか?」

 私は……というかアヤネは姫と呼ばれている。

 何故かそういうことになっている。

 存在を割り込ませた?らしい。


「そろそろ姫も繁殖しますか?それとも食べますか?」

 

「うるせー!さかりすぎなんだよ!」


「ぎゃあ!!!!!」


「姫が乱心だー!」

「取り押さえろ!」


 はあ?出来るわけないだろ!?誰に鍛えられたと思ってんだ!



「ハァハァ……この身体……――」


 体力がなさ過ぎる!剣術じゃなく飛び技にすれば良かった。

 西側の集落を潰しただけでこのザマである。

 無傷ではあるけど一応ポーションのんどくか……ゴクゴク……うわあ微妙な味!


 まあ、でも駆除には成功かな?あと東側かなあ?ちょっと休んでからにしようかな?


『綾子さ……』

「あれ?起きてた?」

『うん』

「怒ってる?」

『なんで?』

「だって、アヤネの創ったエルフ皆殺しにしちゃったよ?」

『いや……流石にあいつらはどうでもよいのよ。護衛に使えるかな?って思ってたくらいだし、まあ綾子強いね……アーニアくらい?』

「いやそれは無理がある……」

『そっかあ、まあエルフは殲滅しちゃってよ。姫姫ってうるさいのよね。』

 

 よし、善は急げ!エルフにとっての悪となろう。

 東の集落へいそげ!


「この魂真っ黒くろすけどもが〜!」

「姫!?」

「いま人間共が来ています!斥候を放ちました!族長も一緒に」 


「うるせー!死ねー!」

「姫がご乱心だー!」


 と、西の集落と同様に殺戮の限りをつくしていたその時、エルフの里が光に包まれた――

「熱!防御結界!ああ、なにこれ!?無理みゅ…!」


 痛い熱い…喉が乾く…一体何が…それにこの威力…まさか…アーニアか結社の上位の人達?

 エルフを駆除とかそんな感じかな?そうとしか考えられない。

 でも、これだと私……死んじゃうな。

 痛い、もう、殺して?ノルくんに会いたかったな…ノルくん…ノルくん…ノルくん…ノルくん……――!


「う……」


 薄く開いていた目で見上げるとそこには人がいた。

 あ、この世界のワタシかな?っていっぱいいない!?ひとりはアーニアでしょ?一人は結社見習い中のワタシ?あとは?え?アヤはなんとなくわかるとして……え?多すぎない!?なにこの世界こんなにいるなら……私がいても良くない?

 あ、このワタシ、刀構えた……終わりか〜。


『あ!あ!あ!待って!?来た!これ!私が憑依出来るタイプですよ!?別綾子さん?私には制限かけていいからこの子に憑依していい!?ダメ?魂は浄化してスペクトラムをこの世界に合わせればいいんでしょ?』


 ん?なにこの声……エーテル通信?

 え?魂を浄化できる?生きたまま?え!やってくれ!憑依していいから!結社の人たちならアヤネよりはマシだよ。


「ちょっとまって!?生きた状態で魂の浄化や色を変えられるの!?」

 え?知らないの?私も知らない……


『出来るよ〜!あれ?もしかしてご存知ではない?ぷぷぷ〜、どうしよっかな〜ふふ〜ん、あ!いだだだだだだだ!いだだだだだ!や、やめて!うそ!教えてあげるから!原理は説明しますから!』

 ふふ、なんだこの子は……お調子者だなあ……


「私は許可するけど別綾子は無茶苦茶しないようにその子の精神体の制限は出来る?」

 別綾子?だれ?ワタシ?


「大丈夫だよ。私もそろそろ中で話かけられて鬱陶しかったしね。」

 ああ、別綾子、お調子者に憑依されてるのか……ぷぷぷ…私は詐欺られましたが?なにか?


『え?じゃあこの身体に憑依していい?ならこの身体を回復してください!』


 え、この身体回復出来るの?

 え?ポーション?ポーションじゃ無理じゃない?

 え、ポーション?美味しいんだけど?ってあれ?身体がもぞもぞするし治ってきてない?

 あれ?しかも髪が伸びてる?え?ポーション?エリクサーじゃなくて?

 うわあ、裸だ……死んだふりしよ……恥ずかしい……

 あ!なんか洗われてる〜!?まあ汚いしね、ありがと。

 服も着せられてる〜?ありがと。ちょっと寒かった。

 うわ、耳触られた!目を開かされた!?


「これ……エルフの私じゃん?」

 そうです!わかっちゃった!?正解〜!

 この子、多分結社見習いのワタシなのかな?なんでだろ?なんでこんな間の抜けた喋り方なの?私も間の抜けた喋り方とは言われるけどさ、それ以上なんだが?

 本当にワタシ??


「それに魂核も黒ではなくバイオレットに黄色かな?エルフなのか微妙だね。魔モノじゃなく侵略者?定義が曖昧でよくわからんけど。でもエルフを創った侵略者は倒したはずなんだけどなあ、私達にこんなにも似た顔してなかったし。」


 このワタシはアーニアかな?なんか私みたいだね。

 そりゃあ私だもんね、さすがに詳しいね。


「そっか〜。なんなんだろね。この子。」


 このワタシは別綾子か……ワタシ多すぎ!

 別綾子さんがおもむろに私を往復ビンタしだした。

 え、ちょっと……起きてるのバレてない?

 主導権を無理やりアヤネに返してしまおう。

 主導権を無理やり奪うことも可能なんだけど。

 表層にアヤネを出しといた方がいい。

 多分、始まるでしょ?


「別綾子さん……」


「い、痛い!なに!?え!?げ!アーニア!?それに……アーニアがいっぱい!?」

 アヤネ、ごめんね。


「いいよ、憑依して」

 始まった!私の精神体はガッチリガード!何者も干渉できないよ!


『ガッテンです!』

 ガッテンって……張り切ってんなあ


「やめろ!入ってくるな!静寂の女神の写し身ね!精神体だけって卑怯なのよ!」

 また女神か、こじらせてるねえアヤネ…。

 でも、へえ精神体だけ中に入ってきてるねやるじゃん。

 私は隠れちゃってるけどねえ!


『おやおや、そんな呼ばれ方してたのか〜、私はコミュ障なんで1人で「混沌の女神」の木をこっそり観察して楽しんでたからね〜。貴女方みたいに徒党をくんで嫌がらせとか嫌いなので。指図め「強慾の女神」か「秩序の女神」辺りですか〜?同じ自分なのに哀しいですね〜。では、さようなら。』

 この子もこじらせてるねえ…この子は自称、暴虐の女神だよ『静寂の女神』さん?


「ちょ!なんでそんなことが出来るのよ!?これじゃ本体にも反映できない!や、やめ…!あ、」

 うわあアヤネ分解されちゃった、精神体視点ではグロい……ともあれ、アヤネの追い出し完了!

 本当に魂まで浄化しちゃった……すごい!なんか途中、凄い痛かったけど!なにアレ?

 まあこの子と頃合いみて話あおうか……


 名前はどうやらシズルというらしい。


『おや?まだ中に何かが?誰かいる?』

 え?バレたの?シズルちゃん凄くね?

『し〜!し〜!シズルちゃん!!』

『え、綾子?』

『そうだよ!アヤネを追い出してくれてありがとね!私の記憶をみていいから察して?』

『……』

 読み取り中かな?


『え?木の外側にいったの人類初じゃね?しかもデミゴッド化してない?それに……ツラい思いしたんだね……』

 一瞬で読み取ったのかな?早くね?

『ん〜、まあ色々あってね』

『あれ?もしかして木に穴をぐりぐり開けてた時にみていたの綾子?じゃないよね……他の女神とも違ったし……』

 まだ女神設定?


『あ〜、木にぐりぐりしてた子いたね〜。あとそのあとルナちゃんにもあった。』

『あ、あ〜、本体ルナに叱られてるかも……』

『まあ、イタズラはいけないよ〜』

『そだね……』

『まあまだ内緒にして?私のことは……』

『うん、でもこの身体、綾子のなんだよね……エルフみたいな身体だけど、いやハイエルフかな?』

『いや、いいよ。気分がいい。』

 身体のことは話あおうって事になった。


 それにしてもお腹空いたなあ……

『お腹空いたねシズルちゃん』

『そうだね〜私もついに食料を食べられる!別綾子は鬼だから味覚オフだったからね…あと痛いのがヤバい、別綾子は鬼!』

 ともあれ、食事〜!ひさびさのまともな食事〜!サンドイッチか〜!

 って、うま!なにこれ!うま!

 結社見習いのワタシが作ったの?え、うま過ぎない?


『あの綾子は、結社食堂のグランドマスターで偉いんですよ〜!それに別綾子と違って優しい!甘々の甘ちゃんなんですよ!』


 へえ、初々しいもんね。

 しかしこのワタシ、ドヤ顔が多いな……でも料理うまいなあ、いいなあ。

 私も料理うまくなりたいなあ……ノルくん。


『さっきもエルフを殲滅する時に、躊躇してて中々始まらなかったし。でも無慈悲にも加減ミスって一瞬で殲滅してしまったんだけどね〜。終わったあとのやっちまった〜!みたいな顔が面白かった。』

 なかなか可愛がられてそうだね、このワタシ。

 しかもあの攻撃ってこのワタシか……てっきりアーニアクラスかと思ったよ。


『まあ、アーニアはまだよくわからないけど別綾子さんは鬼なので気をつけましょう……あとこの中じゃ1番やべえ……』


『へえ……』


『聴こえてるよ、シズル』

 へ?誰?

 あ、別綾子と目があった…


『うわあ!なんで?なんてこの私達の会話を傍受できるの?プライバシーの侵害です!』

 シズルちゃんが別綾子に抗議をいれる。


『こうチョチョイとね……』

 うわあ別綾子…いや別綾子さんと呼ぼう。私が前にいた世界のアーニアよりヤバそうだ。


『シズルの中にいるのは……誰?』

 アレ?バレてない?会話の途中から傍受した?


『今はまだ内緒……でも変なことは企んでいない、それは女神の名に誓って』

 女神設定好きだねえ

『まあいいわ。変なことしないでね。それよりあの若いワタシが猫耳治んないみたいだけど…あのワタシの精神体と魂のつなぎ目にちょっとモヤっとした影がみえない?錯覚かもしれないけど。なにか関係あるかな?と思って。』


 なんだろう?コンバートを元に戻せないならどこかで魔力詰まりしてそうだけど……


『たしかにモヤっとした影に見えなくもない?かな?それにあの綾子……眠そうだね…大丈夫かな。』

 うん、眠そうだね…疲れてるのかな?


『まあ、その中にいる子も含めて話しよっか?今度……』

『ひっ!うん、ちょっと中の子と話あってみるから待っててね……』


 というわけで1週間の話合い猶予を貰った。

 それはそうと別綾子ってなに?


 そのあとはケビンとかいう変な冒険者がきたりと色々あったけどつつがなく終わり帰った。

 あと結社見習いのワタシは猫耳のままホテルの前で丸まって寝ちゃったけど……猫みたい。

 大丈夫かな?


 さっきみんなで話してたの聞き逃してたんだけど、この世界のノルくんが来るみたい……みて泣いちゃわないか不安だ。

 まあシズルちゃんに任せて私は視覚でいい。

 私は亡霊なのだから。

 無理にでしゃばるのもね。


 心で溜息をつきながら結社のみんなにシズルちゃんが自己紹介しそれもつつがなく終了した。

 そしてアーニアと別綾子でカツ丼をつくりはじめていた。

 ノルくんカツ丼好きだったもんね〜。

 でも、あのお店じゃないとあんまりカツ丼作らないよね


「シズル、味見してみる?」


 アーニアが味見をしてみろと、え?この世界のアーニア優しい!?


「え?いいの?食べる〜!」

 シズルちゃんがカツ丼をかきこむ。

 味わって食え!ゲホっゲホっ!ほらむせた〜

 でもこの味、極・特上じゃん!?


「おいし〜!」


「いや〜、あのワタシのおかけでこの世界のグルメも進歩したわ〜!ほんとあのワタシのおかげ」

「おや?ワタシがデレたな?」

「デレてないもん!」


 いいなあ、この光景、私にもあったはずの……ワタシばっかりだけど、レイちゃんはいないのかなあ?


「シズル?泣いてるの?大丈夫?」


「え?あれ?いや……美味しすぎて!」


 あ、ヤバい……私の感情が身体に影響出ちゃった……

『ちょっと綾子、大丈夫?』

『シズルちゃんごめん……でも別綾子に傍受されない?名前出しちゃったけど』

『大丈夫!対策はしました!』

『そう……』


 そんなこんなでノルくんが来た…

 ああ…ノルくん…ノルくん……――!

「君がシズルか?本当に綾子そっくりだな…ハイエルフ?魂があるハイエルフ?」

「シ、シシシシ…シズルです!よよよ、宜しく!!」

 ノルくんが私を、シズルちゃんを撫でてきた。シズルちゃんも顔赤くしてるな…。


「よろしくシズル」


 ああ…ノルくん…この世界のノルくんでも…ノルくんはノルくん……――!

『ノルくんノルくんノルくんノルくん』

『あ、綾子大丈夫?』

『ノルくん……』

『仕方ないですね〜、私が人肌脱ぎましょう!えへへ、役得〜えへへ』

 へ?何するの?


 え?シズルちゃん?え?ちょっとちょっと!?え?あ〜!

 シズルちゃん……ノルくんに抱きついちゃった……

 

 いいぞ!もっとやって!?


『主導権譲りましたんでそのままギューっと抱きしめちゃって!?』

 え〜?いいの?ギューっとしちゃえ!私はシズル!あ〜、後が怖い!後ろが怖い!

 主にアーニアと別綾子が怖い!アヤは?笑ってる!?

 もう知らん!顔ぐりぐりしちゃえ!ぐりぐりぐりぐり!


「シ、シズル?」

「なに?ノルくん」

「ん?え?まさか……綾子なのか?」

「やっぱりわかっちゃう?さすがノルくん!」


「「シズル〜」」

 あ〜、怖……でもノルくんがいるから下手に手を出してこないね。でもさっきから痛い攻撃がなんでか来る……痛覚オフったれ!ふう落ち着いた。


「さあて、ごはんにしましょう?みんな」

 アヤ!ナイス!これで私の死刑執行が伸びる!はず?


『シズル?というか綾子?』

 アヤからだ。

『こちらはシズル……流石にアヤにはわかっちゃう?』

『あははは、ノルくんとアヤにはバレちゃった』

『やっぱり綾子なの?シズルと身体を共有?別世界の綾子なのかしら?』

『うん……それはまた近いうちに話すよ…アーニアに殺されていなければ……』

『大丈夫です!私の知識で司法取引しましょう!』


 さっきからものすごい圧を感じる……これは私とシズルちゃん、やっちゃったなあ。

 重い空気と言えばそうなのだろう、でもこれはみんなが生きているからこそ感じられる贅沢なものだ。

 悪くない。


 いいな〜。私も1からやり直したい。

 そんなことを考えながらカツ丼を食べたのだった。あ〜、おいし

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