第20話 あれから10年…冒険者になっちゃう!?
この世界に来てから10年が経った。
――え、27歳?アラサー?あれ?
同世代の人だと多分結婚してたりする子もいるよね?
なーんて、思ったりもしたけど私自身の見た目が17歳の時から変わらないからなんとか平静を保っているよ?
――見た目が変わらないのはなんでだ?レイちゃんもだけど。
そんなこといったら
魔科学とやらのおかげだろうか?
気になって
それのおかげで半不老になっていて、完全な不老である結社の人間とは違うらしい。
完全な不老は私達ではまだ無理みたい。
後々教えてくれるみたいだけど、そんなん出来んの?
為すがままに私は今ここで学べるだけ学ぶつもりなので、どんときやがれっ!?
とまあ、10年結社で色々教えてもらったりお仕事手伝ったりと元気に暮らしてる。
たまにこの世界のノルくんの寝顔を覗こうとノルくんの部屋のタンスに忍びこんだらアーニアと鉢合わせしてバトルになって瞬殺されたり、
――私、瞬殺されまくってない?
まあ私の自業自得なんだけどさ…
だって、ノルくん補充しないと無理だもん。
私と
最近は3発くらい
今日は、そんな勝てる気がしねえアーニアさんからのお使いで冒険者ギルド本部へ来た。
世界中に支部を持ち魔モノを討伐したりと世界に貢献している冒険者ギルドも運営は結社でやっている。
本部のギルドマスター以外はその辺の冒険者上がりの者を採用しているみたい。
その冒険者ギルド本部へ来た。
ぶっちゃけ「行ってきて」しか言われていないからなんで来たのかわかってない。
結社ってブラック企業なのでは?
会社勤めしたことないからよくわからんけど。
惑星の裏側にある帝国リューナリスまで来たよ――これって、もしかして左遷?
この世界のノルくんにちょっかい出し過ぎて左遷されちゃった!?
――いや、ただの出張のはず
ちなみにツムギちゃんとアヤも同行している。
飛空艇で送ってもらったのだ!
いつかの旅のメンバーだね!
完全に観光気分である。
その帝国なんだけど、ファンタジー世界の都会って感じ。人口は1億人くらい。名産は特にないが世界中の物が流通している大国だ。
そんな大国の冒険者ギルドへ私達は足を運んだ。
「ねえアヤ、これが冒険者ギルド本部?」
「そうみたいね。」
なんかお城みたい。
結社本部ってなに?結社本部からみたらここ結社の傘下組織でしょ?結社本部の50倍はデカイぞ
「帝国が出資もしていますし、帝国のメンツもありますのでこの規模なのでしょう。冒険者も5000人程いるみたいですし。」
ツムギちゃんが補足してくれた。
そんな多所帯ならそうなのかも?
入口から入ろうとしたら門番?みたいな守衛のおじさんに止められた。
「お嬢ちゃん達見ない顔だな。冒険者ライセンスカードを見せてくれ。ここは冒険者しか入れないんだ。それとも登録試験か?試験はここじゃ受けられないぞ?」
げ、冒険者ライセンスカードなんて持ってないぞ。
アヤを見ると
「私も持ってないわよ」
ツムギちゃん!
「結社の者です。アーニア・フォン・シュテュルプナーゲルの命にて特務20-3658を発動。ギルドマスターにお取り次ぎを。」
さすがツムギちゃん!
あれ?私やアヤは
「はあ?なんだそれ。ギルドマスターは忙しいんだ!おフザケなら帰ってくれ!」
ツムギちゃんの顔が引きつった!笑っているけど笑ってない!
この後もツムギちゃんががんばって説明したのだけど、おじさんは信じてくれなくて温和なツムギちゃんがキレかけたので、宥めてひとまず撤退することになった。
「ツムギちゃん、元気出して…」
「綾子様、ありがとうございます。危うく、この世界の枝を切り飛ばすところでした……」
おじさんのせいで世界が滅ぶとこだったよ!
「仕方ないし冒険者登録してからまたいく?」
「うーん、そうしよかしらね」
「そうしましょうか」
おじさんが一応、試験に関する書類やらなにやらは渡してはくれたのでそれに従って冒険者登録することにした。
あれ?おじさん実は優しい?
それにしても試験か……――
読み物だと誰でも登録出来ちゃう感じっぽいのが多かったけどね。
簡単には冒険者になれないのかな?
私、ステータス上だとレベル1で諸々雑魚ステータスなんだけど大丈夫かな…
ファンタジー溢れる世界に来て冒険者になるのに10年か、でも冒険みたいなことは結社の研修で色々したなあ。
古龍(魔モノ)倒したりなんだりと――
私でも倒せるんだし冒険者はもっと強い魔モノと戦ってるんだろうなあ。
研修のこと思い出したら今日はなんか面倒だな……――明日にするか!今日は観光して宿に泊まろう!
試験は明日か明後日、いやそのうち受けよう!
--------------
10日が経った。
私達?帝国を観光したり宿でご飯作ったりしてるよ。
なにかやらなければいけないことがあった様な?
私達が泊まった宿は結社の運営する宿なんだけど、ここも結社本部がボロ屋敷に見えるくらいの高級宿だ。
ご飯も普通においしい!泊まってる人も金持ちっぽい人が多くで、ここの食堂にご飯を食べに来るだけの人もいるみたい。
そしてなんと私のレシピを継承しているらしい!
ここの料理長も見たことがあるなって思ったら数年前に結社食堂開業時に私に料理を教わっていた結社の子だった。
名前は確かミントちゃん。
私の弟子である。えへへ
「綾子様〜、どうでしたか?私のハッシュドビーフハヤシ」
ミントちゃんが近づいてきた。
結社の人間は私と
様付けはいらないんだけどね。
「ミントちゃん!お久しぶり!とっても美味しかったよ!このコクは私では出せない!」
「そう言って貰えると嬉しいです〜。あ、3年前くらいからレシピのアップデートがversion3.52から止まってるみたいなんですがもうしないのですか?一応私も新しい料理は開発してはいるんですが〜」
え、いまレシピversion7.53だけど?私は
「ミントちゃん、ごめん、うちのアーニアがご迷惑をおかけしました。はい、これ……」
ミントちゃんにversion7.53を渡した。ガーデンという特殊な結社のステータスウインドウみたいなのでね、ヒュっと共有した。
ガーデン凄いでしょ?
「凄いです!なんですか?このラーメンというものは!スープに縮れたパスタ!?味噌や塩味?わわわ!なんですか!?このチューカ料理って!?あとこの和菓子ってなんですか!?はわわわ……!どれも美味しそう!300年生きてきて始めてです!」
ミントちゃん300歳なんだ……
「ラーメンは全メニューは手間暇かかるからね……ラーメン専門のお店とかじゃないと厳しいかも。あと中華はお手軽に誰でも作れるしラーメンとも合うし一緒に専門店みたいな感じで出来るんじゃん?結社食堂だといまそんな感じだよ。」
ちなみに中華料理は私、日本であまり食べたことなかったからノルくんが評価しながら洗練させていった。
ノルくんが関わる案件はアーニアも率先して頑張っていた……――
表の仕事を投げ出してね
「凄いです!これでまた忙しくも楽しくなりますね!」
「一緒になんか料理しちゃう!?」
「しましょう!!」
というワケでなんか料理してた。
ここは結社食堂支部なんだそうだ。
どうりでなあ、料理がうまいわけだ!私の教え子だぞ!えへへ
「綾子さ〜、私達なにか忘れてないかしら?」
アヤが私特製のミルクレープを食べながらそんなことを言う。
「ん?なに?どこか行き忘れてたスポットあったっけ?ん〜?」
帝国の観光マップを見ながら唸る。
「ここのところ美味しいものばかり食べているから充実しているのだけどね〜。なにか引っかかるのよ。」
「あのアヤ様?綾子様?帝国へ来た目的をお忘れですか?」
ツムギちゃんに問われる。
目的?あれ?観光して?支部食堂の拡大?
いや、あれなんだっけ?
あ!!!
「忘れてた!!」
「あ〜、そうだったわね。」
「ギルドマスターには直接通信を入れてみたのですが繋がりませんので、それとなく時間がかかる旨はアーニア様にはお伝えしておきました。」
「「良かった〜!」」
アヤも私も
はぁ〜、明日冒険者になる為の試験とやらにいってみるか〜。
---------
やっべー冒険者になる為の試験忘れてたわー。
そんなノリで試験に行かなきゃなー、なんて言ってから――
10日が経った。
試験には行ったよ?
でもさ、試験するとこにいってさ、「受験要項」ってとこに書いてたのがさ
Lv5以上であること――
試験受けられないんだもん。
そもそも沢山魔モノなら倒して来たからさ、レベル沢山上がってなきゃおかしくない?
そう思って
『レベルはステータスの力を使って魔モノを倒してその魔モノのエーテル係数から換算した魂の浄化量――いや、まあ簡単にいうと経験値が入るんだよ。だからステータスに依存してない貴女達ではレベルは上がらないよ。ギルドマスターってリナなんだけどさ…あの子連絡とれないの。探してくれない?本当はリナから貴女達へ説明して研修が始まる予定だったんだけどね――まあ冒険者ギルドへのパスはサブマスになんとか言っとくよ』
そりゃレベルあがらんわ。
それよりリナちゃん?って10年前くらいに会ったノアのお姉ちゃん?あの後すぐ帰っちゃったからそれから接点なかったけど冒険者ギルドのマスターだったんだね。
主な仕事はレイラインを維持管理するモデレーターであるがその傍らで冒険者ギルドだったり帝国へのダメ出しとか色々な事をしているらしい。
結構、凄くね?リナちゃん
ちなみに私やレイちゃんもモデレーターの管理の仕事を見習いという形でやらされている。
させて頂いているのではなく、やらされている。
大事なことなので2回言った。
もう難しすぎて頭がパンパンなんだよ働きたくないよ〜。
それなのに料理レシピ開発とか食堂の仕事とかはいいけどその他も怖いこと色々やらされてもう限界だよ〜。
だから今回の旅は完全に羽伸ばしも兼ねてある。
おっと、話がそれちゃった。
門へ着いたらまたあの守衛のおじさんがいた。
こちらを見た途端、慌ててなにやら自分のステータスウインドウを広げて情報を確認していた。
顔を青くし冷や汗だろうか?大量の汗をかき、いそいそとこちらへ近づいてくる。
「あ、おはようございます。」
なにかテンパりすぎて緊張しすぎて喉なら声が出ない感じがしていたのでひとまずこちらから挨拶をした。
「くハァ!ハァハァ……あ、おはようございます。あ、あの、アーニア・フォン・シュテュルプナーゲル様と、アヤ・フォン・シュテュルプナーゲル様とツムギ・ハインリッヒ様とお見受けします。先日はその……、大変失礼致しました。」
私、アーニアじゃないんだけど、まあややこしくなるしいっか。
アーニア扱いも久しぶりだね……
あとおじさんの「くハァ……!」と醸し出すやべー感にやられなんて返答していいかわからない!
「いーえー。サブマスの方にご案内いただけるかしら?」
アヤが答えてくれた。
「はい、ただ……緊急の案件でサブマスが早朝から魔モノ討伐に向かわれているので応接室にて少しお待ちいただきたく……――」
「大丈夫ですよ!応接室でって事はそれほど時間もかからないのでしょう?」
「はい、先ほど討伐が終わった旨、連絡ありましたのであと1時間ほどかと」
「では、待ちます!あと改めてまして!私はアーニア、こちらがアヤ、ツムギです!ご案内宜しくお願いします!」
「そんな、恐れ多い、私、冒険者ギルド本部警備隊長及び第8事業部長のアダムブレヒトと申します。でも私はクビかもですな……」
あ、大丈夫だよ、おじさん。仕事としてやってたんだし、上層部の連携の問題だし私がフォローするから!
なんとも言えない哀愁を漂わせつつもおじさんは冒険者ギルドに案内してくれた。仕事熱心な人なんだね。
職員用の通用口もあるみたいなんだけど、冒険者ギルドの所謂、冒険者が集まるロビーを見てみたかったので冒険者通用口から案内してもらった。
冒険者通用口から入ると、立派な石造りの内装に秩序溢れるカウンター。
多種多様な装備に身を包む冒険者。
鎧だったり革あてのサポーターだったり、剣だったり杖だったり、THE異世界冒険者!って感じの人でごった返していた。
「うわ〜、すげー」
レイちゃんに見せたかったなこの光景。
ただひとつだけ、紙が一切無い!
みんなステータスウインドウを開いてそこの付加価値機能を使って依頼の受託を受けている。
依頼標についてもレイラインシステムを介したインターネットみたいになってるのでどこでも確認出来るし、依頼を受ける人だけがここにいるみたい。
まあレイラインシステムというのは私達結社の人間しか知らないし、一般的にはエーテルネットと呼ばれている。
「ここは冒険者が依頼を受ける為のカウンターロビーです。最近は魔モノが活発化している為に依頼も多く普段よりも賑わっております。まあ冒険者が不足しているのが悩みの種ですな……!」
これだけいても冒険者不足してるのか……
――っとカウンターロビーで空間を眺めていたら視線を感じた、それも、沢山の……
「おい、アダムさんと一緒にいる娘達誰だ?」
「あの2人は双子かな?可愛い」
「1人だけメイド?貴族?」
「鑑定使ったら全員レベル1みてーだよ」
「勝手に鑑定するのはマナー違反よ!」
「え?普通に生活しても多少はレベルあがるだろ?」
「新しい受付の子じゃない?」
「職業は?え!?大聖女!?」
「だから!マナー違反よ!」
「ステータスを偽装して隠してるのかもよ?レベルってのは生活してても上がっていくからな」
なんかめっちゃ見られてる!
え!?こわ!なんかこわ!
大聖女って聴こえたけどアヤでしょ?
職業欄ってあったっけ?
なんて、あたふたしてたら
「アダムさん、そちらの麗しいご令嬢方は?」
いかにも勇者です!みたいな金髪の多分イケメンがおじさんに話しかけてきた。
歳は同じくらいか?
……って、あー!私!27歳だったわ…、10個くらい年下の子かな?
「特務なので言うことは出来んが高貴な方々だ。ケビン!お前には関係ないからさっさと依頼の案件こなしてこい!」
「そんなつれないこと言わないでくださいよ。冒険者も人員不足、しかも大聖女らしいじゃないですか?そちらのお嬢さんは。」
っとケビンくん、指を差して私を示した。
人に指を指してはいけません!
私が大聖女って、ぷふー!どこに書いてんだって感じだ。
アヤと顔似てるし指差し間違えたんだろ。
「私とアヤ、間違えられてるよ」
コソッと耳打ちした
「多分、綾子の事よ……私の職業欄、「大聖母」だもの。」
ブフっ!ヤバい!大聖母って何!?何をする職業?聖なるお母さん?それの大聖母?お腹が捩れそう……必死に笑い堪えてるけど。
「ちょっと!笑ったわねー!バレバレよ!」
「クフフっ……いや笑ってない、プフっ!ダメだ…大聖母ってなんだ!?イヒヒヒヒヒ」
「ちょっと、笑い方が下品よ!」
おっと、それはいけない
「ごめんね、聖母ってなんの職業なのか考えたらツボっちゃってさ、聖なるお母さんって事でしょ?」
「プフっ」
ん?ツムギちゃん笑ったな?
「真顔キメこんでるけど?ツムギちゃん?」
「なんのことでしょう?」
アヤがジト目でツムギちゃんを凝視する。ツムギちゃんは何知らぬ顔。
「ま、まあアヤごめんって、私が悪かったよ。でもさ、この職業ってどうやって決まるの?私ステータスみても見たことないよ?」
「ステータスウインドウ出して、ここ押すとね?いっぱい詳細が出てくるでしょ?そこに書いてるわよ」
うわ!本当だ!しっかり大聖女って書いてる!
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篠村綾子/アーニア・フォン・シュテュルプナーゲル(仮)
種族:人族
HP:160
MP:200
〜略
職業:大聖女
称号:表示できません
加護:表示できません
※仮や篠村綾子の表記及び以下は通常の鑑定魔法ではみえません。
スキル:聖属性魔法、闇属性魔法、物理制御魔法、月詠式剣術(免許皆伝)
特殊スキル:アーニアパンチレプリカ/赤い糸/絶対防御結界(50テラトンまで)〜略
--------------
うわあなんか色々書いてる。ついに(仮)だけどアーニアになっちゃったし。
「まあ、十中八九、ルナ、じゃなかったレイちゃんの仕業、いや遊び心ね。この世界に元からいる方のね。」
っとアヤが推察。
まあこちレイちゃんの趣味なら仕方ないか。
言われたら確かにレイちゃんっぽいかも。
アドミニストレーターってこんなことも出来るんだね。
ステータスいじり放題じゃん。
ちなみに
まあ大聖女って思われてるのはアーニアって名前での話だし、まあいっか。
「ところでお嬢様方、僕のパーティーに入りませんか?レベルはまだまだの様ですが僕達はSS級パーティーです!パワーレベリングは可能です!僕のパーティーには貴女方の様な麗しき方々が必要なのです!」
ケビンくんまだいたの?
しかし、歯が浮く様なことを言うなあ…レベル低いってわかってんのにだよ?
要約すると女の子だからパーティーに入れたい。
ハーレムパーティーにしたいって事でしょ?
君の後ろにいる女の子達めっちゃ睨んでるよ?
私を
「ちょっと!ケビン!なんなのよ!もう充分でしょ?何人パワーレベリングするのよ!もうパーティー10人よ!?ご遠慮しなさいよ!それにミドルネームはフォンよ?恐らくどこかの超大貴族よ!?」
「サーシャ、今は人員不足なんだ!それに俺は一人一人を大事にしてるんだ…だからこの子達がこれから入っても変わらないよ…。そうだ、歓迎会の準備しないとな!?」
「もうこれ以上はローテーション組めないし、ねえケビン、遠慮してもらおう?」
私もご遠慮したいな。しかも大事にするとか言い始めてるし。もうパーティー入ること前提な思考がちょっとね――遠慮したい
「君たちも心配しなくていいよ!この子達ともすぐ馴染めるから!」
お、ウインクして肩に手を置いてきた……――鳥肌がやべえ!もう我慢出来なくて嫌そうな顔して態度で示してみた。多分、言ってもわからんでしょ!この手の人は。
って思ってたらケビンくん真顔になった。
「おかしいなあ、なんでかからないんだ?」
ケビンくんなんか言ってたけどまあ無視。
「おじさん!もう行きましょう!」
「はい!アーニア様!しかし、ケビン!このバカタレが!俺の首がつながるかつながらないかの瀬戸際なんだよ!ギルド除名にするぞこの野郎!」
おじさんがケビンくんにげんこつしてた。
「なんで効かないんだよ」
けどさっきから効かない効かないってブツブツいってて、おじさんのげんこつも反応なし。
本当にダメで、応接室に逃げ込んだ。
色んな人はいてもいいけど、合わない人ってのはいる。
「しかし、凄かったわね〜、あのケビンって子。」
「うん…まじで無理、そうだ触られて汚染されたしノルくん水で消毒しなきゃ…!」
シュッ!シュッ!
「ふ〜、落ち着いた〜!包まれる〜!」
「綾子?なにそれ」
あ、やべ!ノルくん水って口に出してた!
「これ?ただの消毒液だよ!」
「いまノルくん水って…」
「え?そんなこと言った?成分は結社で作って流通させてるリフレッシュ24と同じで消臭や完全消毒殺菌、メンタル回復とかのアレだよ?原液薄めてスプレーするやつ」
「くんくん。む?少しあの人の匂いがするわね!」
なんでわかるの!?それになんか術式みたいの使ってない?解析術式!?
「え?気のせいじゃない?」
「美容や日用に関わる製品ってウチの里が開発元よ?そこから差分だけみるとねえ、これは原液を薄める時に軟水じゃなく、あの人が入ったお風呂の残り湯とかそんなのでしょ」
だから!なんでわかるの!?
「いや、気のせいじゃないかな?」
「気のせいか〜、私にも貸して〜。私もさっきので鳥肌がすごくてね〜落ち着かないのよ」
さっと普通の「リフレッシュ24」を渡す。
「これじゃなくて〜、綾子の使ってるソレがいいのよ〜。黙っててあげるから。まああっちの綾子、アーニアにはすぐバレちゃうけどね〜多分。」
「く、ころせ」
バレてる上に恥の上塗りはしたくないので貸した。
「シュッシュッと、ん〜?これは……いいもの作ったわね!包まれる〜!」
「わかる?わかる?さすがアヤ!わかってる〜。」
もういいやツムギちゃんにもわかってもらおう。ここは皆で仲良く!シュッシュッ!
「ツムギちゃん!わかる!?」
「……いえ、私にはわかりません、ただ、市販品にも含まれる有効成分の香りは好きです」
「「なんで!!」」
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