第4話 チュートリアル的な話だと思うし楽勝でしょ!!

 あれから2000年の月日が経った。


 こちらの世界であの人とも再開し子を成し幸せに生きている。

 私は料理研究家兼聖女として各地を巡っている。

 そう長女の名前はあ「綾子〜、朝だよ〜!おはよ!おきろーー!」


 は……!?夢……?さ、寒い……。レイちゃん毛布返して……。



 やばい夢を見てしまった。

 所詮夢なんだけどね…。

 は〜、この場合は【理想】と書いて【ユメ】と読むパターンだろうか…。


 リーシャちゃんの村へ来て2週間ほど時間が経った。

 リガルドさんがほぼ空気で実質リーシャちゃんがまとめ役をしているので「リーシャちゃんの村」である。


 村の名前はエイバナ、主に農業と研究の下請けらしい。

 研究している様には見えない…。

 人口は600人ちょっとでご年配の方が多く若者が3割と行ったところ。


 こちらの世界も少子化や都会に憧れて過疎化しているんだろうか?そもそも都会?の様な所は存在しているんだろうか?都会や王都?があれば旅をするならそこへ行くのもありかな?


 レイちゃんと話してみようかな。


 毎日起きて顔を洗い、お料理教室をして、レイちゃんとジョギング(私は約200mだけ)をして死にそうになり夜ご飯を作りお風呂に入って眠る毎日。

 もうここに永住もあり?


 ちなみにレイちゃんはジョギングを2時間くらいかけ、月詠式剣術の稽古を続けている。

 例のスキルの発動と自身の剣術に併せた動作を繰り返しているとのこと。

 私はジョギングを1時間出来る様になったら素振りをやらされる予定だ。

 何事も体力らしいし。


 もう嫌……――運動嫌い


 なーんて思ってたけど

 ジョギング生活をして10日も経つと、実際は気力の問題だったのかな?

 ぶっちゃけると1時間くらいは簡単に走れそうな気もする。

 実はわたし運動神経そんなに悪くないんだ〜。

 だから10分くらいでヘトヘトになった振りをしてる、へへへ。


 一度素振りしてみたけどレイちゃんみたいに昔から剣振るってたわけじゃないし腕が太くなりそうで怖いんだよね


 まあもう少し体力が戻ったらね


 そしてレイちゃんは何故か村のみんなに剣術指南みたいな事をしている。

 素振りをしてたらみんな参加しだしていつのまにかそうなったらしい。

 まあレイちゃんだしね


 私が料理を担当、レイちゃんが護衛を担当、この先旅をするなら私も体力をつける以外になにか出来ないだろうか?


 リーシャちゃんのご厚意とはいえこの村にずっといるわけにもいかないしね。

 いや、仕事探してやっぱ永住?ん〜でもレイちゃん旅したいよね〜。


 ベッドで腰を起こし、ぼーっとあれこれと取り留めの無い思考を巡らせ、覚醒していくのを待った……――私は朝に弱いのだ。


 エレナが当たり前の様に私と同じベッドで寝ていたのだけど既に起きていたみたい。

 近寄ってきて私の膝に座ってきた。

 かわいいなズルい。


「そういえばおねーちゃん達、いつまでこの村にいるの?」


「あ〜、どうしようかね〜、正直魔物の話しは聞いたけどどのぐらい強いのかわからないしね。そもそも地理とかね――」


 レイちゃんが答える。


 そもそもどちらへ行けば良いのかわからないのだ。

 目的すら私達にはない。

 どう生きなきゃいけないのかをまず考えなければ行けない。


「旅するならわたしが守るからそこは大丈夫なんだけどおねーちゃん達も自衛できる様に訓練する?レイちゃんは大丈夫だと思うけどおねーちゃん、なんかめちゃくちゃ弱くなってるし」


 ん〜、訓練か〜平和に暮らせたらいいんだけどなあ

 レイちゃんをちら見する。うわぁ、目輝ってる


「この世界には魔王とか悪い人いたりする?討伐しなきゃいけない対象だったり」

「魔王なら私のおねーちゃん達やおねーちゃんとおにーちゃんとセレナちゃんがたまに言われたりするけど討伐対象ではないかなあ?魔科学の王ってことだし、ただ穢れた魂をもつ魔モノなら殲滅しないとだよ。あと数百年に1回くらい宇宙とか不可視領域から変なのがくるからそれかなあ?最近よくくるの。あとね〜セレナちゃんはわたしと双子の妹なんだけど喋り方がここ数百年おかしいの」


 お、おう、情報量が多い。

 どうやら魔モノという明確な害獣?はいるらしい。

 ただしそれは魂が穢れた生物という意味で文字通りの魔物もいれば魔者もいるらしい。

 魂が穢れた人も討伐対象なのだ。

 怖いね……


 また、穢れた魂のものは話が全く通じなく一度、生を終えて魂を浄化する為のシステムに送られるらしい。

 繁殖されるとその次の世代まで穢れたままで厄介らしい。

 魔族?やエルフはいるらしくまた定義が違うらしい。

 そしておねーちゃんズの中に魔族もいるらしい。

 ちなみにエレナとセレナはハイエルフらしくエルフとは似てても一緒にされたくないらしく、エルフはパチモンらしい。


 あと宇宙か別の空間から現れる「変なの」が1番厄介らしく惑星のみんな一丸となって戦うレベルらしい。

 また魔モノもその「変なの」が原因らしい。



 レイちゃんそんなの聞くと目輝いちゃうよね〜。


 また、エレナは科学者でありモデレータという1人の王であるらしく、双子の妹がいて喋り方が少し変わってるらしい。

 会ってみたい。絶対かわいい!


「セレナちゃんいつもお留守番なんだけどまたやらかしちゃったから大変みたい」

 そっかやらかしたのか、セレナに会ってみたいな〜。


 少し脱線したけどレイちゃんが「チュートリアル!」とかあーだこーだ言ううちに明日魔モノ討伐にいくことになった。


 冒険者ギルド的なものないのか?聞くと町にいけば浄化ギルドがあるらしく、話を聞くとどうやら私達が読み物で知る冒険者ギルドと同じ役割の様だった。


 ステータスみたいのはないのか?って聞いてみたけどあるにはあるらしい。


「ステータス?……――あ〜あれはズル、というかこの惑星を守る一環の一般向けの補助システムだし、わたしは使ってないけどレイちゃんは使った方がいいと思う〜、あとおねーちゃんは機能オフにしてて使えないの。まあ管理者だし使う必要ないし、私が当分護るから大丈夫だよ〜」


 わたしは聖女で管理者で魔科学の王、エレナも魔科学の王。

 もう驚かないからな〜私。

 もう異世界ってだけでお腹いっぱいだよ。

 現実から目を逸らすのは得意なのだ。


「エレナ、わたしステータスあるみたいなんだけどウインドウ?ってどうひらくの?」

「え?念じたら開く様になってるはずだよ〜」

「ステータスウインドウ!オープン!」


 レイちゃん念じるだけでいいんだよ、と言うのは野暮なので言わなかった。


「で、でないよ」

「ん〜、なんだろ〜?うーん……――セレナちゃんとリリスちゃんがその辺り詳しいんだけどな〜。わたしはビナス開拓とか薬学とか畑ばっかりだから」

 お?美茄子?植物?畑とか私もやりたいかも。

 妹と始める畑生活もありかも。

 ステータスウインドウが出ず落胆するレイちゃんだが超常的な力は使えるので、しかない、とすぐ切り替えていた。


「一応、セレナちゃんには一報いれておくね」

 魔科学の王だからそのくらいステータスのサポセンくらい出来るんだろな


「エレナよろしくね」

 と私達に頭を撫でられ頬を赤らめて笑うエレナ。


「うん、連絡するー」

 とパーっと笑顔で答えるエレナ。

 なんなの?なんなの?天使?可愛すぎない?妹がかわいすぎる件について


 あ、明日魔モノ討伐(体験コース)っといってもレイちゃんも私も武器とか防具ないけど大丈夫?


「レイちゃんは刀がいいんだよね?おねーちゃんが昔つくったニホントー?って刀があるからそれで良くて、おねーちゃんはひとまず私の予備のローブ着ててー。レイちゃんにもローブあげるよー。」

 至れりつくせりである。


 刀を受け取ったレイちゃん。

 めっちゃいい顔してる!

 わたしゃその顔が見れて満足だよ。

 あとこのローブかわいいね。

 なんというか正に聖女(笑)って感じで豪華に金色の刺繍やらなにかの紋章があしらわれている。


 装備も簡単に整ってしまった。

 ヌルゲーもいいとこである。

 ローブは出かける時に装備しよう、料理して汚しちゃいけないからね。


 今日はロールキャベツ作んなきゃ行けないしね。


 ということで夜はロールキャベツです!

 リーシャちゃんがそれはとてもとても熱心にメモをとっていた。

 ブイヨンをとるところから始まりコンソメを作りひき肉や玉ねぎ香辛料、小麦粉を混ぜたほぼハンバーグの様なものをつくる。

 それをキャベツ巻き、食べられる紐になる植物で縛りトマトをすり潰したものと一緒に煮込んだオリジナル。


 大きいからハンバーグみたいにナイフとフォークで切り分け感じだし食べごたえはバッチリ。

 ちなみに、この世界の食べ物大体は日本にいたころと変わらないんだけど、どれも知っている以上に毒性が強い!!毒がないように品種改良されたものもあるらしいけど高価らしく一般家庭では毒抜きをして使う。

 サラダはもっぱら品種改良品らしいしキャベツのサラダは高級料理らしい。

 魔科学の発明品で毒を特殊な光に浴びさせるとキャベツ以外の野菜であれば毒は抜けて、キャベツは加熱して色々と家庭の知恵で毒抜きするらしい。


 毒抜きが必須とのことでそこはリーシャちゃんに教えてもらって毒抜きをした。


 一応普通のロールキャベツも作ったがリーシャちゃん的には普通サイズの方がミニ、大きい方がスタンダードとなった。


 この世界の料理はやっぱり薄味なのでカレーやこういったコンソメの様に濃い味は珍しく、舌もとい脳を刺激するらしく、もの凄く美味しいみたい。

 カレーは聖女様に教わった当時はもう食革命だったらしくこの国ではソウルフードらしい。

 わかる、カレーは脳を刺激する。

 カレーのおかげで私は料理を始めた。


 一応、香辛料やら何やらはあるけどいわゆる肉などは塩と胡椒で焼くだけ、スープは出汁と塩だけで等、味の進歩はあまりないみたい。

 私はそれでも美味しいなら薄味でもいいんだけどね。


 でもこの世界の人にとっては飽きた味らしい。

 色々料理も開発されてはいるけれどカレー(聖女レシピ)には及ばず……――私がリーシャちゃん達に教えた料理は食事産業の第2次革命となることが予想されるとのこと。

 私はネットで調べて作って覚えただけなんだけどね。


 リーシャちゃんとリガルドさんの奥様のメリーちゃんで村に試験的にお店を出そうか、と言ってるんだよね。


 いいね!私もやってみたい!

 忙しくなっちゃう!?

 でも、そうなるとレイちゃんと旅出来ないかな?かといって職があるんなら旅に出るのもね……――レイちゃんとしっかりお話しないとね。


 ちなみにリガルドさんががっつく様にロールキャベツを食べて泣いていた。

 そんなおいしかったの?食べて喜んで貰えたなら嬉しいよ私は。


 エレナも「おねーちゃんこんなのつくれたのー!?」って目をキラキラしながらがっついていた。

 そんなに喜ぶならデミ系のハッシュドビーフいわゆるハヤシライスを作ってみようかな?


 胃袋から攻略する異世界生活だ、ふふふ。


 こう私も笑える様になったけれど、この先どうするのか?生きていけるのか?など正直漠然とした不安で押しつぶされそうだったりもする。

 異世界食堂もいいかもしれないけれどね?


 私は何がしたいのだろう?

 元いた場所でもそうだった

 それにママどうしてるだろう?


 私がいなくなった後の母の気持ちを想像しようとしたけれどもそれ以上は考えたくなかった。

 私は現実から目を逸らすことをやめられないでいる。

 細かいことを考えるのをやめて私はロールキャベツを口へ運び頬張った。

 食事を終え、レイちゃんとエレナと3人で村の中央にあるベンチでお月見をしていた。


 そこで明日の魔モノ討伐(体験)についてお話をした。

 ノアはこの時間になるといつもどこかいくのでいない。

 お話といっても場所についてとどんな魔モノがいるかについて。

 エレナ曰く、明日いくのはここから10km離れた場所。

 魔モノについてはこの辺だと竜系統、いわゆる爬虫類が多いらしく獣系は少なく大半が討伐対象ではないらしい。

 強さはレイちゃんなら難なく倒せるとのこと。

 的が大きいのでレイちゃんのスキルで大体はワンパンらしい。

 レイちゃんの強さは実戦だと経験が不足しているけど剣術もスキルもレベルが高いので問題ないらしい。

 また聞いた話なのであくまで「らしい」なのだ。


 レベルが高いってスキル付与しただけじゃなかったっけ……――うーん、管理者ウインドウで確かレイちゃんに付与したの剣と魔法っぽいんだけどドラッグ&ドロップした時に元の場所にあった剣と魔法マーク消えちゃったんだよね。


 あれが普通のステータスっていうならまだしも管理者ウインドウってところでなにか引っ掛かかる。まあ、いっか!特段困ってないし。

 で、明日はエレナが最初会った時にいたちびっ子のお友達もくるらしい。

 戦闘については世界を5日かけて更地にするくらいの実力はあるらしく……――って、やっぱりエレナの周りとか家族とかみんな立場的に上位の存在なんだろうなとは思ってたけどなんか麻痺してきたよ

 ちなみにエレナは30分で世界を更地に出来るらしい。

 まあ2000年以上も生きてるこの子なら出来ちゃうんだろうな。


 そう思いながらエレナを見ていた。「どうしたのおねーちゃん」と首を傾げる。可愛い!!過呼吸!!


 あと、この村は魔モノが入ってこられない結界?魔モノ除けがあって比較的安全らしく、治安についても悪い人がまずいないらしい。何度も言うけど全て聞いた話なのであくまで「らしい」レベルの話である。


 話も終わり月を見上げていた。


 あれ?この世界の月って少し青み掛かってるのね。よく見ると地球で日本で見ていた月とよく似ている。あれそっくりじゃない?うさぎさんもいるよ?うさぎさんもわかるけど、実際は最初蟹のモンスターに見えていた。わかる?私だけ?


 あれ?ここ地球???エレナに聞く。

「エレナ、この世界って1年って365日だっけ?1日24時間?」

「うんそうだよー、あれ?おねーちゃん力だけじゃなく記憶も落ちちゃったの?レイラインシステムの疑似神格化でも必要以上の記憶は封印しないんじゃなかったっけ?あれれ?なんかおかしいと思ってたけど、いまおねーちゃん記憶ほとんどからっぽ?」

 おう、情報量が多い


「からっぽというかこの世界に15日ほど前からいるという記憶しかないよ。」

 この答えならエレナを妹ではないと否定せず泣かれず済むだろう。そもそも本当の事だ。


「そっかー、おにーちゃんなにしてるんだろ。おねーちゃんこんな状態ならすぐ来そうなんだけどねー。うーん、レイちゃんいるからいいのかな?レイちゃんもなんかおにーちゃんに少し似てるけど。まあわたしがおねーちゃんを護ってればいいよね!えへへ」

 よくわからないけどエレナは可愛いな!!!


 話がそれちゃったけど時間感覚は地球と同じみたい。

 レイちゃんがやっぱりか〜って呟いてたから多分私と考えていることは一緒だろう。


 日本語によく似た文字。

 超古代と言うよりは超未来、または本当に異世界だけど地球、地球と偶然にもよく似すぎた惑星あたりなのかもしれない。

 何れにしろ憶測の域でしかない。

 どちらにしろこの世界を知らなすぎる私達はこれからを生きる為に情報を集めなければいけない。


 エレナが全部教えてくれそうだけど情報量が多くてよくわからない部分がある。

 思いつきではなく何かしら時間を設けて聞きたいことをまとめてから聞いてみようかな。


 明日は魔モノ討伐か〜、私は見学だしまあチュートリアルみたいなものだしそこまで危険じゃないだろうし大丈夫でしょ。


 なんて思っていた時期が私にもありました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る