第3話
「じゃあ、君はあれが異星人の宇宙船だというのか?」
「そうよ。これを聞いて」
彼女は通信機を操作した。
『にゃあああん』
突然、スピーカーから聞こえてきた猫の鳴き声に俺は一瞬呆気に取られる。
「な……なんだ、これは?」
「あの隕石から微弱な電波が出てるのよ」
「電波? 俺が観測した時はそんなもの無かったぞ」
「私がここへ来る途中、宇宙船から簡単な信号電波をあの小惑星に向けて送ったのよ。そしたら、小惑星も電波を出し始めたのよ」
「それと、この猫の鳴き声となんの関係が?」
「小惑星から出ている電波を、直接音に変換するとこうなったの」
「これが宇宙人の言葉なのか?」
「それは分からないけど、自然発生的な電波ではないわね」
「しかし、あれはどう見ても小惑星だぞ」
「恐らく、船の表面に岩石を付着させて偽装しているのでしょう」
「しかし、なんでこんな変な行動をするんだ? レーザー攻撃されるのがいやなら戻ってこなきゃいいのに」
「それを調べるために私が来たの」
「どうするんだ?」
「これから、あらゆる周波数で呼びかけてみるわ」
「だけど地球衝突コースから逸れなかったらどうする?」
「どんな事があっても、絶対に撃たないで」
彼女はマイクを取って呼びかけた。
「宇宙人さん。聞こえますか? ごめんなさい。攻撃するつもりはなかったんです」
「宇宙人相手に日本語で……」
「意味は通じなくても、敵意がないという事は伝わるかもしれません」
そんなバカな……という言葉は、俺の喉元まで出かかって停止した。レーダーディスプレイの中で小惑星が突然軌道を変えたのだ。
誠意が伝わったのか? その前にあれは本当に小惑星に偽装した宇宙船なのか?
いや、それはもう疑いようがない。ただの小惑星が軌道を変えられるはずがないんだ。
ただ、問題は……
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