第9話 グルフリハンバーグ

 妻の食欲は、いつも突然だ。


「ハンバーグが食べたい」


 ハンバーグか……妻のグルテンアレルギーが判明するまでは、時々作っていたけれど。


がなぁ……」

「これこれ」


 そういって妻が見せたタブレットの画面には、「グルテンフリー ハンバーグ」の文字が。あぁ、なるほど、小麦粉の代わりに米粉を使うのね。よし分かった。


「じゃぁ、明日の夕飯はこれで」

「やったー」


 次の日。スーパーで必要な物を買って、早速調理開始だ。


 まず、タマネギをみじん切りに。ハンディチョッパー大活躍。刻んだタマネギを耐熱ボウルに入れる。バターを入れたらラップをして、レンジで五分。ネットのレシピには、タマネギを炒めると書いてあったけれど、以前からハンバーグのタマネギはこうしている。

 レンジでタマネギを加熱している間に、米を研いでご飯を炊く。味噌汁はどうするかな? 冷凍した油揚げがあったな。あれとワカメでいいか。

 五分経って、タマネギをレンジから取りだし、ラップを外して軽くかき混ぜる。その後放置して粗熱を取っておく。

 さて、つなぎは米粉と卵と牛乳ね。ここはレシピ通りに。へたにアレンジ加えると失敗するところだね。みっつの素材を混ぜておいておく。

 粗熱が取れた頃を見計らって、挽肉をボウルに取りだし軽く捏ねる。ビニール袋でやれば手は汚れないけれど、結局手で成形するから最初からボウルでやったほうが楽だよ。ビニール袋使うのは、肉団子とかつみれとかすり流しとか、手で成形しなくても良いときだね。

 ただ、手でやる時には手を冷やしておかないといけないのが辛いっちゃぁ辛い。とりあえず、冷水で手をゴシゴシと洗ってから、捏ねる。適当なところで、冷ましたタマネギとつなぎを入れ、再び良く捏ねる。コネコネコネ……。『食べものを遊びに使うな』って言うけどさ、ハタから見ていたら挽肉捏ねるのって、粘土遊びしているようなものだよなぁ。少し罪悪感。

 十分に捏ねたら、四等分くらいにして、それぞれを小判型に。ちゃんとパンパンとやって空気を抜くのも忘れずに。これやらないと、焼いてる途中で割れちゃうんだよね。四つの小判型ができた。うーん、すこし緩い感じだな。次に作る時は、牛乳を少なめにしよう。


 こうやって作った種を、ご飯が炊けるまで冷蔵庫で寝かしておく。単なる時間調整だ。


 ご飯が炊けたら、蒸らしの二十分間にハンバーグを焼いていこう。


 フライパンを温めたら油を引き、表面に軽く米粉を付けたハンバーグのタネを置いていく。それぞれの真ん中を、少し凹ませておく。火は中火で、蓋をして蒸し焼きに。焼き加減を見計らって、ひっくり返して裏面もしっかり焼く。よしよし。なかなかうまく焼けたな。


 ハンバーグを取り出して皿に移したら、次はソースだな。

 ハンバーグを焼いたフライパンを再度火に掛け、たまたま冷蔵庫に残っていたマッシュルームの水煮を入れて軽く焼く。そこにソースとケチャップ、バターを入れて弱火でかき混ぜながら温める。ちなみに、ソースは小麦粉や小麦由来の加工デンプンを使っていない奴ね。縁がプツプツと泡立ってきたら、これでソースは十分だ。ハンバーグに掛けて出来上がり。


「ハンバーグだー」

「召し上がれ」

「召し上がるー……うん、うまい!」


 よかった。手順としては小麦を米粉に代えただけだから、また作ってもいいな。


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