第6話 まぐろの竜田
妻が実家から、まぐろを三冊もらってきた。妻の実家は港が近いので、海産物は安くて美味い。まぐろの身が赤いのは、鉄分を多く含むから。いわゆる赤身魚って奴だ。同じように身の赤い鮭は、白身魚で餌に含まれる色素で身が赤くなっている。
さっそく、ひとつを刺身にしよう。
「やったー、お刺身だー」
「半分ずつな」
「えー。いいけど、残りは?」
「ヅケにした」
半分は薄く切って出汁醤油に、残りはぶつ切りにして、醤油とみりん、酒で作ったタレに漬けてある。
▽
次の日は、まぐろの漬け丼。
どんぶりにもった酢飯に、刻み海苔、刻み大葉を載せる。その上に、出汁醤油に付けていた切り身。仕上げに少しの出汁醤油とごまをふりかけ、わさびを載せてできあがり。つけあわせは、キュウリと白菜の漬け物でいいか。自家製じゃないけどね。あとは、ネギとワカメの味噌汁。
「うまい」
そうだね。でも、外ではもう少し口調に気をつけてね。
▽
さて、残りはどうするか。このまま焼いてもいいけど、今日は揚げてみよう。
つけ汁からまぐろをすくい取り、キッチンペーパーの上で水気をきっておく。その間に 大きめのタッパーに片栗粉を入れ、そこにまぐろを入れる。軽く混ぜたら蓋をして、やさしく振っておく。
フライパンに油を多めに。そこにタッパーから取り出したまぐろを入れていく。おっとっと、ちゃんと余分な粉を落としておかないと。油がもったいないので、うちは揚げ焼きが多い。フライパンの中で転がしながら、まぐろにしっかり火を通す。ほどよく揚げたら、キッチンペーパーの上に置いて油を切る。これで、なんちゃってまぐろ竜田のできあがり。
竜田揚げは、紅葉の竜田川に由来するらしいけれど、個人的には旧帝国海軍「龍田」で、小麦粉の代わりに片栗粉を使ったのが始まりという説が好きだな。竜田川由来は、少し雅びすぎるw
さて、できたての竜田をソースと一緒に食卓へ。
「おまた」
「ははへり」
「今日はこれだ」
「おー、まぐろだー。これで終わりかー。またもらってくるね」
ソースは、マヨネーズにケチャップを混ぜたもの。隠し味にちょっとだけマスタード。一切れ摘まんでソースを付けて。
サクッ。
後からまぐろのうまみが広がって。やっぱり、まぐろは美味いなぁ。
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