第4話 サツマイモのサラダ


 芋は、偉大だ。


 お腹は膨れるし、(糖質的な意味で)ご飯の代わりにもなる。保存に気をつけていれば、日持ちもする。ジャガイモは、比較的値段も安定しているし。

 ジャガイモと比べると、少し高く感じてしまうのがサツマイモだが、あの自然な甘みには抵抗しがたいものがある。というわけで、サツマイモを買ってきた。特に品種へのこだわりはないが、細身だったらそのまま焼き芋にしてもいい。今日の奴は、どう料理してやろうか……よし、サラダにしよう。

 ポテトサラダは、茹でて潰して調味料を混ぜるだけという簡単なものから、いろいろな具材を入れたり味付けを変えたりと意外に奥が深い。スーパーのお惣菜コーナーで売っているポテサラを買って、味の研究をしてみることも。ポテサラと、侮るなかれ。芋は偉大なのである。


 サツマイモの場合、元々芋に甘みがあるので余り手を掛けないでも美味しくなる。

 芋を洗ったら、ピーラーで軽く皮を削ぐ。半分くらいは皮を残しておくことで、食感を楽しめる。好き嫌いはあるけどね。最初は、皮をまったく剥かずに作ったら、妻には不評だったからね。

 両端を切り落としたら、適当な大きさにカットしていく。潰しちゃうんだけど、大きさは揃えておかないと均一に火が通らない。レンジを使うので、火は使わないけれど。そして、いつものレンジ用蒸し器に入れて、五分くらいレンジにかける。

 レンジで“チン”って言うけどさ、あれ、シャープの開発者ができあがりを知らせるためにどの音がいいか考えて、自転車のベルを流用したらしいね。今じゃ電子音だけど、“チン”って音感は染みついちゃったね。数十年後、「なんで“レンチン”なんですか?」って言う若者も出てきそうだなぁ。


 ちゃんと蒸せたか、竹串を刺して確かめる。ふむ。もうちょっとかな? 再加熱、一分。この位ならいいだろ。


 蒸したサツマイモを、金属のボウルに入れる。ぶわっと蒸気が立ち上る。ちょっと粗めに潰したいので、フォークを使って潰していく。全体が軽く潰れたら、常温に戻しておいたクリームチーズを入れる。サツマイモ一本につき、百グラムくらいかな。この辺はお好みで。


 スプーンで、芋とクリームチーズを混ぜ合わせていく。芋の熱でクリームチーズが緩くなって、徐々に滑らかになっていく。

 これで完成。ちょー簡単。ハーブとか加えてもいいけど、まずはこのまま。熱々の奴を食卓へ。


「芋だー」

「だよー」

「サツマイモ、すきー♡」


 うん、知ってる。出すと際限なく食べるから、今日は半分ね。


「えー」

「残りは明日」


 冷やしても、うまいのだった。


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