第3話 もやしとキュウリの和え物

 家計が苦しいとき、もやしは救世主となる。

 そうでなくても、もやしは好きなんだよね。対して妻は、もやしをあまり好かない。安くておいしいのに。もやしが隙じゃない妻にも、もやしを美味しく食べてもらうために、一手間を加えるのは当然なのだ。その一手間とは、もやしの上下をちぎり取ること。これでかなり口当たりが違ってくる。豆もやしなら、根だけ切ればいいけどね。


 でも、一袋分のもやしを処理するのには、とても時間がかかる。時間のあるときしかできないよね。あぁ、根切りもやしを買えるくらい余裕が欲しい。


 …………。


 無心に作業したら、処理が終わった。ざるに入れて水で洗う。それを、レンジ用蒸し器に入れて四~五分。この蒸し器も、結構使うなぁ。ポテサラ作るときなんかも、これでジャガイモを蒸すのだ。

 もやしをレンチンしている間に、キュウリを切る。キュウリは栄養がない野菜なんて言われるけれど、カリウムを含んでいて利尿作用がある。むくみをとるにはいいよね。

 キュウリはてっぺんの苦い部分を切って、その周りの皮もそぎ落とす。ついでに、長手方向に皮を削ぐ。こうすると、切るときにまな板との接地面が増えて安定するのだ。まぁ、瓜系が苦手な妻には、皮が少ない方がいいということもあるのだけれど。そういえば、昔は苦みの強いキュウリが多くて、へたを切ってグリグリと身に押しつけてたなぁ。あの時にでる泡が苦み成分なんだとか。

 キュウリは斜めに薄く切ったら、それを更に細長く切る。ボウルに入れて軽く塩を振っておく。塩を振ることで、苦みを抑えることができる。私としては、キュウリは味噌か塩を付けて、パリッと囓る方が好きだけどねー。


 もやしを蒸したら、氷水で〆る。塩を振って少し新なりしたキュウリは、軽く水洗いしてボウルに戻す。水を切ったもやしもボウルに。味付けは簡単に、ポン酢とごま油。隠し味にスプーン一杯ほどの刻みニンニク。昔はチューブのニンニクを使っていたけれど、桃屋の刻みニンニクが出てからは、もっぱらこっちを使っている。ニンニクの粒が残るのがいいのよ。


 後は混ぜ合わせ、少しの間冷蔵庫で冷やせば、もやしとキュウリの和え物が完成。食卓に、追加の一皿として載せる。


「どうよ?」

「ん。つるっと入った」

「よかった。おかわりあるけど」

「そこまでじゃない」


 さいですか。残りは、明日の昼にでも食べよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る