第9話 天国へのメッセージ
ある日の夜 ――――
「……I'll never forget you. I LOVE YOU……か…」
私はボトルに入ったメッセージを取り出し目を通していた。
「……一体…誰が…どんな想いで……これを…書いたのかな……?」
バッ
メッセージが背後から取り上げられた。
「うわっ!ひ、尋斗っ!?びっくりするじゃん!」
「一応、ノックしたけど?」
「………………」
「…ねえ…尋斗…」
「何?」
「その…メッセージって…凄いよね…I LOVE YOU の後にもメッセージ…続いてる感じだけど…」
「………………」
「消えかけてるし…分かりにくいっていうか…読み辛いっていうか…」
「……ああ……」
「…どんな想いで書いたのかな…?…きっと…愛し合っていたんだろうなぁ~」
「……愛し合ってた……心から……」
「えっ…?…尋斗…?」
「……I'll never forget you. I LOVE YOU……」
「Eternal memory and forever in my mind」
ドキン
尋斗は英文を詰まらせる事なく、まるで自分が書いたかのような素振りで滑らかにスラスラと読んだ。
「……君の事は…忘れない。愛してる…。永遠の思い出……そして……永遠に心の中に残る……。天国へ送った届くはずのないメッセージの入ったボトル……」
ズキン…
私の胸が切なくノックした。
「……えっ…?」
「……俺が……他界した愛していた彼女に送った…最後のメッセージ…」
微かに切なく微笑む尋斗。
トクン…
尋斗の表情に私の胸が小さくも切なく、悲しさが入り交じるようにノックした。
「…尋斗…」
「…返事が来るかもしれない…届くかもしれない…そんな事あるわけないのにと思っても…何処か心の奥で期待したりして…」
「………………」
「…きっと…届いてるよ……」
「…えっ…?」
「想いはきっと届いてるよ。ここにメッセージがあるとしても返事が例え空白でも…それは……尋斗に…返事を天国から返してくれた証拠だよ」
「………………」
「きっと…ここに来るって分かっていたから…」
私は泣きそうになった自分を抑え我慢して笑顔を見せた。
「…そう…かもな……」
私の頭を引き寄せ、おでこにキスされた。
ドキン
「サンキュー……志須霞……」
~ 尋斗 side ~
志須霞が泣きそうになっているのが分かった。
我慢して笑顔を見せた彼女は
真実を聞かされた時
凄く胸が強く締め付けられたに近間いない。
この話を聞いて
更に強く辛さが増した事だろう…?
もちろん俺も
話すのは辛かった……
だけど ――――
このチャンスを逃したら
先に進めない気がした
この先
俺達の間に
“恋愛”
という文字があっても
おかしくない環境だから
お互いが
良い意味で
先に進めるように ――――
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