第4話 恋の始まり ~ I then near be ~そばにいる~
それから数か月が過ぎ、その間、私は好きな人が出来アピって告白も決意。
でも――――
「悪いっ!お前悪くないんだけど俺、好きな子いて……」
「……そうか……」
「本当悪い!気持ちは嬉しいけど応える事が出来なくて」
「ううん」
彼は去って行った。
「はあぁ~……フラれちゃった……」
「What a pity !」
ビクッ
突然声がし驚く私。
「うわっ!」
「何?何?どうしたの?志須霞ちゃんブルーだね」
視線を向けると、そこにはイタズラっぽく笑う尋斗の姿。
「尋斗ぉっ!つーか、いきなり声かけんなっつーの!それよりさっき何つった?」
「何が?」
「英語で何か言ったでしょう!?」
「別に気にするな!」
ポンと両肩に手をおき離すと走り去る。
「いやっ!気になるっ!私が語学力ない事を良い事に英語で何か言ったよねっ!?」
私も後を追う。
「尋斗っ!待ちなさいよっ!」
私達は騒ぐ中、帰るのだった。
家に帰り無理矢理、尋斗に聞き出し言われた事を調べてみた。
『可哀想に!』
と言う事が分かりまた一騒動が起きたの言う迄もない。
ある日、ふうがの散歩中の事だった。
いつもの散歩コースで海に向かうと――――
ドキン
私の胸が高鳴る。
「尋斗……?」
次の瞬間 ―――――
スルリとリードが私の手から離れた。
「あっ!ちょ、ちょっと!ふうがっ!待って…」
「ワウワウ」
犬の声に振り向く尋斗。
「おっ!ふうがじゃん!お前相変わらず元気だなぁ~」
満面の笑みで無邪気に犬と接する尋斗の姿。
ドキン
私の胸が大きく跳ねた。
そして私の方に振り向く尋斗。
「やっぱ犬にはかなわねーな」
「勢いが半端ないからね。大丈夫?」
「ああ」
「ごめんね!」
私達は色々と話をしていた。
ある日の事だった。
「志須霞ちゃん、人が呼んでる」
私の席にクラスの女子が来ては伝えられ廊下に出る私。
そこには一人の男子生徒。
ドキッ
胸が大きく跳ねた。
≪うわっ!ヤバイ程のイケメン…こんな人同じ学校にいたんだ……≫
「あっ!ごめん…今日の放課後屋上に来て」
「あ、はい…分かりました」
私は教室に戻る。
「ねえ、さっきの人と付き合うの?」
「えっ?」
私に尋ねる女子生徒。
「いや…まだ告白って決まった訳じゃないし…」
「いや、間違いなく告白だよ。だけど彼には気を付けた方が良いよ」
「えっ?」
「良い噂、聞かないから」
まさかあの男子生徒が? と思った瞬間だった。
噂は聞いていたけど、どういう人物かは私も知らなかったからだ。
すると私の目の前に現れたのはイケメンだった。
女の子を取っ替え引っかえしてるとか? 色々と女の子の噂が絶えない事は知っていた。
まさか彼が超本人だったとは……
~ 尋斗 side ~
「今の男、女にモテモテなんだって」
「えっ?モテモテ?へぇー、そうなんだ」
転入してきて仲良くなった友達の
幸野 亜希彦(ゆきの あきひこ)が言ってきた。
「だけど、それを良い事に色々な女と遊んでいるって話」
「そうなんだ」
「他人事のようだけど石本が奴に呼び出されたっていう事は危険なんじゃ?」
「大丈夫だろう?」
「いやいや、確かに石本はサバサバしてるしハッキリと言う奴だけど、あの男は、よーく女心を分かり過ぎだから傷つくぞー!」
その日の夜 ――――
「なあ、ちょっと良いか?」
「何?」
私の部屋に訪れる尋斗。
私は尋斗を部屋に入れる。
「お前、あの男と付き合うの?」
「えっ?」
「ちょっと小耳に挟んで」
「あー、心配してくれたんだ」
「いや」
「いやって……ハッキリと言うね?」
クスクス笑う尋斗。
「嘘でも心配してるって言ってくれても良いじゃん!」
「俺、正直者だから嘘つけなくて」
「…あー、そうですか!?」
「で?どうすんの?」
「噂は聞いていたけど、まさかあの超本人から告白されるなんて思わないから」
「まあ、そうだろうな」
「まあ知った上で騙されて付き合ってみようかな?って。自分を犠牲にして、あの男を懲らしめてやりたい」
「お前ならやり兼ねないだろうな」
「だけど…傷付くの…怖いんだよね……」
「えっ?」
「相手の事マジになって大泣きして大失恋するのもなぁ~って……こう見えても肝っ玉大きくないし、強気な事言ったりして意地張って後悔するのも嫌だし」
「…志須霞…」
「なーんて…ごめん。何とかなるから心配しなくて良いよ。ありがとう。他に何か用事ある?」
「いや…」
「そう?」
「じゃあ部屋に戻るから」
「うん」
尋斗は私の部屋を出て行った。
~ 尋斗 side ~
「I then near be」
俺はドアに寄り掛かり、そう言った。
アイツは本気になって行くだろうと俺は思った。
自分を犠牲にして迄の彼女のやり方。
うまい言葉を並べて相手に翻弄されていく。
アイツに特別な想いはないものの
居候であり同居して御世話になっている以上、アイツの為に何か出来ればと思う。
だからアイツに言う言葉は
「その時、傍にいる」
その言葉が一番だと思った。
~ 志須霞 side ~
傷ついてもいい
自分を犠牲にすること
だけど本気に恋して
本気で傷ちいて
大泣きする時
私の隣には
誰がいる?
誰が慰めてくれる?
誰が傍にいてくれる?
だけど私は
彼・奈河松 佑二(ながまつ ゆうじ)17歳と付き合う事にした。
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