第12話
「俺は、篠崎が怪しいと思うぜ」
そう言い放ったのは、龍ケ崎であった。
「考えても見ろよ。この殺人が不可能たらしめているのは、死亡推定時刻の所為だ」
そう言って龍ケ崎は、説明を始めた。
8時を過ぎた辺りで、何人かが部屋から出てきた。しかしこの時点で飯田は死んでいなかった。12時のドアをノックした篠崎はドアを開けると、生きている飯田に向けて銃を発砲。その後、死亡推定時刻を計り、推定時刻は深夜2時であると嘘を付いた。
「どうだ? 違うか?」
龍ケ崎は煽る様に篠崎を見た。
「違うと思いますね」
そう言ったのは大海原であった。
「12時のドアを開く時、僕も部屋の中を見ています。篠崎さんがドアを開けた時に彼女に不自然な動きはなかったし、ドアを開けた時には飯田さんは既に死んでいたように見えました」
「ふん。それはどうかな。お前は篠崎の後ろにいた。つまり死角はあった。さらに言えば、犯人は一人とも限らない。篠崎とお前がグルだったって可能性もある」
龍ケ崎の言葉に、大海原は押し黙った。
「大丈夫です。少なくとも、私の疑いは簡単に晴らせます」
篠崎はそう言うと、監視カメラの映像を巻き戻す。
「映像を見ての通り、死体発見後から私はカメラに映り続けています。つまり現時点で、私は自分の部屋に戻っていません」
篠崎は龍ケ崎を見る。
「あなたの推理が正しければ、私は今現在、銃を持っていなければおかしいし、さらに言えば、私の部屋に銃があってもおかしい。そうですよね?」
「そ、そうだな」
龍ケ崎は狼狽えたように肯定した。
「では三村さん。私の所持品チェックをお願いします。あと龍ケ崎さんと大海原さんは、その間に私の部屋をチェックして銃があるかどうかの確認をしてください。因みに銃はテーブルの上に置いてあるので、すぐに見つかるでしょう」
篠崎に指示された各々が、指示通りに動いた。結果、篠崎は何も所持をしていないことが判明し、さらに部屋からはきちんと銃が見つかった。
龍ケ崎の推理は間違っていたことになる。
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