第8話(挿絵有り)

 やがて自己紹介と部屋割りが決まった。以下の通りである。


 12時の部屋は飯田いいだ みさお。34歳。女性。

 1時の部屋は龍ケ崎りゅうがざき 遠矢とうや。36歳。男性。

 2時の部屋は大海原わたのはら 雅人まさと。38歳。男性。

 3時の部屋は日下部くさかべ 奈蔵なくら。39歳。男性。

 4時の部屋は神楽坂智子。36歳。女性。死亡。

 5時の部屋はキッチン。

 6時の方は出入り口と廊下。その廊下から5時と7時の部屋に入ることが可能。

 7時の部屋は風呂場、トイレ、洗面所。

 8時の部屋は篠崎瀬奈。

 9時の部屋は火道院かどういん 葉虎はとら。29歳。男性。

 10時の部屋は大道おおみち 宗吾そうご。42歳。男性。

 11時の部屋は三村みむら 花音かのん。32歳。女性。


 ひとまずは割り振られた部屋に荷物を置いた。そして神楽坂の死体は犯人の指示通りに4時の部屋へ保管した。


「おい皆、こいつを見てくれ」


 中央の部屋にて皆に言ったのは、龍ケ崎であった。36歳である彼は、年齢よりも若々しく見える。


――ガタン。


 そんな彼は、深刻な表情でテーブルにある物を置いた。重々しい音を響かせたそれは、銃であった。


「消音器付きの銃ですね。弾は……しっかりと入っている。多分、本物でしょう。私の部屋にもありました」


 篠崎が言った。どうやら、銃は各部屋に一丁ずつ置かれているようであった。


「とりあえず、全員の銃を回収した方が良いんじゃないですか?」


 そう提案したのは、大海原であった。少し腹回りが出ている、小太りの男性であった。


「馬鹿を言うな。周りを見て見ろよ」


 即座に否定したのは、龍ケ崎であった。ホール内には、外壁と同様に黒い槍のようなものが、文字盤の目盛りの様に配置されている。


「外の物と合わせて120本の凶器があるんだぜ。そんでもって、この中にいる誰かが俺たちの命を狙っているんだ。銃は自衛の為に、必要ってことだよ」


 龍ケ崎の言うことは仕方のないことであった。何せ第一の被害者である神楽坂は、その槍に貫かれているのだ。


「その前に皆さん。やるべきことがあります」


 篠崎は皆に言った。



「飯田操さんを、監禁しましょう」



 飯田を見ながら、篠崎はそう言い放ったのであった。



挿絵『クロックホール見取り図(1)』

https://kakuyomu.jp/users/violet_kk/news/1177354055393317668

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