第7話

 篠崎はその紙に書かれている文章を音読した。以下はその原文である。


”皆様。ゲームの舞台となるこの、”クロックホール” にようこそおいでくださいました。殺人ゲームは既に始まっております。この場にお呼びした参加者の中に、私は潜んでおります。12日間で私を特定し生き残ることが出来れば、皆さんの勝ち。皆さんの罪は許されます。さて、以下にクロックホールの詳細を記載します”


 篠崎は2枚目の紙を読む。


 クロックホールには時計の文字盤型に作られたホールである。中央の部屋を中心として、1から12までの部屋が用意されている。中央の部屋から北側に12番の部屋があり、南側に6番の部屋。東側に3番の部屋。西側に9番の部屋がある。ホールを真上から見たときに、時計の文字盤のような配置となっている。


 7時の部屋にはお風呂場やトイレなどがある。5時の部屋はキッチンとなっている。6時の方はこのホールの唯一の出入り口となっており、中央の部屋に続く廊下と、その廊下から7時と5時の部屋に行くことが出来る。つまり5から7時はホールの設備のためのスペースとなっている。


 部屋の中央の大きな柱には、時計の時針、分針、秒針に加えて、日針にっしんが伸びている。時針、分針、秒針は正常な時刻を示しており、日針はゲーム開始日からの経過日数が示されている。


 各部屋の窓は壁で閉ざされているが、日針が指す部屋の逆側の部屋だけ、窓が解放される。


 11時と12時の間の中間の壁と、6時と5時の中間の壁にはそれぞれ監視カメラが設置されている。カメラの映像は中央のモニターや、各部屋に設置されているLanポートから確認することができる。


”次にゲームの禁止事項を記載致します。この禁止事項に抵触した場合、ゲームオーバーとなります”


 1,参加者以外の外部の援助を受けないこと

 2,極力、このクロックホール内に留まること

 3,建物を壊さないこと

 4,22時以降は、各自の部屋に留まること

 5,この死体は、4時の部屋に置いておくこと

 6,崖に掛かっている橋は、落としておくこと


 篠崎はそして、3枚目の紙を見た。


”追記。またこちらで、皆さんの助けとなる探偵役を用意させて頂きました。セブンアイズ6位の篠崎瀬奈さんです。彼女は皆さんの味方であり、決して危害を加えることはありません。彼女を排除することは、皆さんがフリを被ることになりますのでご注意下さい”


 篠崎は読み終えて、紙を置いた。すると沈黙が、ホール内を包む。


「とりあえず、部屋割りと自己紹介をしよう。あとこの死体も、4時の部屋に移さないと」


 沈黙を破ったのは、大道であった。

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