第4話

「間もなく、パレードが開始されます」


 警察官の一人が言った。シャロと織田はディスプレイを見つめる。そのディスプレイには、様々な視点からの城が映し出されていた。


「織田警部。認証要請は任意のタイミングで、全体に出すことは出来るのか?」

「出来るっす。たった今要請したところっす」


 シャロのヘキサにも認証要請の通知が来た。先程の手順通りに認証を行う。


「う、うん? そんな馬鹿な。認証が出来ないぞ!?」


 シャロは戸惑った感じで、ヘキサの角度を変えながら何度も認証を試みていた。


「え、シャロっち……まさか」


 織田は怪訝な表情でシャロを見た。


「い、いや…………。そもそも君と私はずっと一緒にいたではないか!」

「すいません、私も出来ないのですが」


 秘書の仙波がそう言った直後。


――ビィーー、ビィーー!


 けたたましい警告音が鳴り響く。


「何の音だね、織田君!」

「複数回、認証に失敗したヘキサがあった時に起こるアラームっす! 場所は……あっれぇーっ!?」


 シャロはディスプレイを見て、織田が驚いている理由を把握した。ディスプレイに映し出されているマップには、赤点が無数に散りばめられている。この赤点こそが、未認証のヘキサに違いなかった。


「大多数のヘキサが、未認証の状態になっているっす! 多分、ハッキングされたっす!」

「はあ!? セキュリティはどうなっているんだ!」


 シャロは怒鳴った。


「多分、ヘキサを運んでいる道中でプログラムを書き換えられたのかと!」

「馬鹿か貴様は! 作戦の根幹となるインフラが、容易くハッキングされてどうする!」

「ひぃっ! すいませんっ!」


 慌てて謝る織田に、シャロは頭を押さえた。


(この状態はマズイぞ……)





 ファンタジーアイランドの電気設備所にて。


「お、おい。ヘキサの認証が失敗しちまうぞ!」

「こっちもだ。一体どうなってやがる」


 織田の指示により警備していた警察官数人が、ヘキサの異常動作に混乱していた。


「まずいな。これじゃ俺たちがパンドラの一味だと思われちまう」

「おいおい、冗談じゃないぞ!」


 その時、遠くから一人の警察官が走ってきた。


「おい、織田警部から連絡だ。ヘキサが不具合によって動作しなくなっている。なので以後しばらくは、今まで通りの連絡手段で行うとのことだ」

「そ、そうか。確かに認証出来なくて困っていたんだ。良かった」


 警備していた警察たちは安堵した。


「ああ、そうだな」


 一方で、連絡しに来た警察は、不適な笑みを浮かべた。

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