第6話
「は、はぃいっ!」
すると何処からともなく可愛らしい声が響いた。そしてトテトテと、大きな荷物を持った少女がやってきた。
その子はエイミーと同じような背丈であった。違うのは、黒髪のツインテールで目も黒く、そして何故か執事服を着ていた。
「ワトソン君。はよ」
「は、はいっ! シャロ様」
ワトソンと呼ばれた女の子は、荷物から衣類を取り出して、それをエイミーに着せた。
「ガッハッハ! 改めまして。私の名は、シャーロ・クロック。セブンアイズ7位である! シャロと呼んでくれたまえ」
篠崎はシャロをまじまじと見つめた。彼女は赤いチェックの鹿撃ち帽子を被り、同じく赤いチェックのインバネスコートを羽織っていた。そして右手にパイプを持ちそれを咥え、左手は腰に添えられていた。
「ああ、このパイプはシナモンを入れているだけだ。故に喫煙ではない。安心したまえ。ガッハッハ!」
そしてシャロはパイプを吸った。確かに煙は出ていない。
「あっれぇ? もういいんすか、シャロっち」
織田が言った。
「ああ、もう意味がないからな。ガッハッハ……って、シャロっちと呼ぶなっ!」
シャロはノリツッコミように織田に言った。
「説明をお願い出来ますか、織田警部。私には何がなんだか」
篠崎は困ったように、織田に言った。
「ああ、篠崎さん。実は我々警察は……」
そして織田は、その詳細を語った。
警察は元々、セブンアイズのシャロに協力の依頼をしていた。その際にシャロが、相手を惑わすために客に扮するという提案をしたのだそうだ。
篠崎に言わなかったのは、シャロの指示で無関係の者に口外することを固く禁じられていたから、らしい。
「な、なるほど。そういうことでしたか……」
篠崎は複雑そうな表情をした。しかしすぐに気持ちを切り替えて、シャロに向いた。
「ではシャロ。説明してください。怪盗パンドラの手口を」
「ガッハッハ! 良いだろう」
シャロはパイプを吸った。
「彼は私を愛してくれた。ならば私も、彼を愛さなければならない」
そしてニヤリと口角を歪ませた。
「さあ、愛を営むとしよう」
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