3 高1の時、芹菜に対する企てを、4人で結託して阻止する

 高1の夏休み、私は芹菜のせいでN工高の広岡琢海と付き合う羽目になった。二人で会ったのは2度しかないが、変な男だった。任侠映画にかぶれていて、健さんだか文ちゃんだかの話に夢中になっていた。架空の世界にのめり込んでいて、自分があたかもその主人公になりきっていた。

「櫻ちゃんは男とはどうなの?俺は去年に年上のねえさんとなんだよ。」

 初めてのデートで、しかも純真無垢な少女を前にして言う事ではない。馬鹿さ加減にあきれたが、こういう男の心理行動にも興味が湧いていた。

「ふーん。年上っていくつなの?その人と何なの?」

「それを訊くか、櫻ちゃん。二つ上でな、向こうが俺にほれてよー、それで何なんだよ。ところが、そいつには間夫がいてよ、大変だったよ。」

 この男もそうだが、相手の女も相当いかれてる。私の思い描く恋愛とはかけ離れ、その事だけに執着している連中なんだと思った。私は適当に話を合わせていたが、二人で会うのは、これ切りにしようとその時思った。


 ところが、芹菜のせいでもう一度会う事になった。あの事件の時、芹菜が陥れられたと気が付いた私は、琢海を呼び出していた。

「どうした、俺の女になる決心が付いたのか?」

 琢海の冗談とも取れない言葉に付き合っていられず、私は切り出した。

「冗談じゃないよ!あんた達、何を企んでいるの?あんた、任侠にあこがれているなら、義理と人情を通しなよ。芹菜に何が起こってるの?」

 私は内心はびくびくしながら、琢海の弱点を利用して迫っていった。

「俺は何も知らねえよ。蓮司は手が早いから、気を付けた方が良いけどな。」

「嘘を言わないで!明日、何か企んでいるでしょ。教えてくれたら、私をあんたの好きにすればいいよ。」

 私が口から出任せで迫ると、蓮司は私のタンカにびっくりしていた。

「いい覚悟だな。惚れ直したぜ。」

琢海は私の威勢に負けて、計画のすべてを話した。そして私は、犯罪まがいの行為を阻止しようと、杏、花純、真莉愛に相談して事なきを得た。


 琢海はあれから何も言って来なかったが、下手をすれば、私が危険な目に合わされている所だった。この事件で、私は男の子の本性を読み取り、操る能力に長けていると自負した。

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