3 夏休み、母親と喧嘩した芹菜は、颯翔の家で初体験をする
先輩の家には誰もおらず、先輩の部屋で、部活の話やゲームをして過ごしていた。1時間ぐらいはそうしていたが、先輩がキスをしてきた。既に何回もキスをしていて、いつも通りの展開だった。しかし、それがいつも通りでなくなったのは、先輩がベッドに私を導いた時だった。私はこれから何が起こるのか想像できたが、着ている物を脱がされ、先輩の手が伸びてきた時には抵抗していた。先輩の力は強く、私を組み敷くと強引な行為に及んだ。私は、知識では解っていたが、今されている行為が現実のものとは思えなかった。あこがれて好きになった人にこんな目に合わされて、身体の痛みも伴って、私はずっと泣いていた。
家に遅くなって帰ると、母親は問い詰めてきたが、私は無視し続けた。
それからは、先輩は会う度に私の身体を求めるようになった。それは先輩の家で、私の家で、親の留守をねらって夏休み中続いたが、私にとっては苦痛になっていた。先輩はいつも強引で、愛情とか優しさは感じられなかった。ただ自分の欲求を満たしていただけだった。
夏休みが終わり、櫻子に相談したのはそんな時だった。
「お母さんは、芹菜のことを心配していると思うよ。男の子と遊んでいる芹菜を見て、自分のせいだと思っているんじゃないかな。」
櫻子の意見は、大人びていて的確だった。
「先輩が本当に好きなのは芹菜の身体で、恋愛とは違うと思うな。これ以上付き合っても、芹菜にとって何の得にもならないよ。芹菜がそれでいいと言うなら別だけど。」
櫻子の忠告を受けて、私は先輩との恋に終止符を打った。その後、先輩から何回か連絡があったが、私の決心は固かった。
母親は、高野とかいう怪しい男とは別れたようだ。私は自分の勝手な行動を、母に謝った。
「ママ、ごめんなさい。あの人のことが直感的に嫌だった。だから、家を飛び出して心配させて、悪かったと思ってる。私、これからはママを助けるから、許して!」
「芹菜に心配掛けたんだね。ママも悪かったよ!芹菜が立派に成長してくれるまで、芹菜の事を見守っているからね。」
私の事を最優先に考えてくれた母のためにも、中2の女の子らしくしないといけないと思った。私にとって、早過ぎた春だった。
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