彼女たちの高校生活~生徒会編~

1 高2の秋、朝比奈杏は生徒会会長になる

 朝比奈杏が明日ヶ丘高校生徒会に加わったのは、高2になってからだった。中学時の経験を買われ推薦された事と、秋の選挙に立候補し会長となる事が目的だった。そんな杏にとって、画期的な出会いがあったのは予想外だった。現会長の柴嵜陽介を好きになり、櫻子のアドバイスを受けて付き合うようになったのだ。9月の選挙では、いつもの4人が応援してくれて当選を果たした。その時に文化部の花純と櫻子を誘って、一緒に生徒会で活動をした。


 3年生の新学期早々、会長になった杏の所に南真莉愛が訪ねて来た。サッカー部のマネージャーである真莉愛とバスケット部の芹菜は、運動部で忙しいとの理由で生徒会には誘わなかった。その真莉愛が、生徒会に入りたいという話だった。様子がおかしいと思った杏は、花純と櫻子と共に事情を聴いた。

「実は、サッカー部で嫌な事があったの。同じ学年の榎翔之介と仲良くしていたんだけど、1年の女子マネの高梨華と二股を掛けられていたみたいなのね。」

 真莉愛の話を、3人は親身になって聞いていた。話の概要はこうだった。

 春合宿で真莉愛と翔之介が二人で会っているのを、高梨が見つけて顧問の先生に告げ口をした。二人は顧問から部の風紀を乱したとお説教を受け、活動禁止になり気まずくなったという。さらにその夜、高梨が部屋に来て、翔之介と関係があるという事を告げ、逆恨みされた。そして、他の女子が誰もいない時に、3人ぐらいの男子に布団を頭から被せられ、悪戯されそうになった。大声を上げると逃げて行ったという。どうやら高梨の取巻きの1年の男子らしい。

「二股を掛けていた翔之介も許せないけど、告げ口したり、襲わせたり、姑息な事をしてくる高梨はもっと許せないよ。」と真莉愛は泣きながら訴えた。

 

「それって、レイプに近いよね!いじめでもあるし。」と杏が言った。

「その高梨華という子、私と芹菜が同じ中学の後輩だわ。中学の時も、不良の男子と一緒になって悪い事していて有名だった。この高校によく入れたよ。」

「真莉愛が可哀そうだよ。また付けねらわれるかもしれないよ。」と櫻子に続いて、花純が言うと、4人は芹菜も呼んで相談する事になった。

 芹菜が話に加わると、滞っていた話に兆しが見えて来た。

「私と櫻子で、同じ中学出身の子にあいつの弱みを訊いて廻るよ。今だって猫を被っているだけで、絶対まずい事してるに決まってる。」と言って動き出した。

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