第25話 改造人間サマーン~謎の人造人間変~

前回のお話。

突然、やってきた2体の骸骨は、サマーンの死んだ筈の両親だった。

二人は、サマーンに、その出生の秘密を告げるのであった。

どうなる、サマーン!

では、本編へ、どうぞ!


兄貴が帰ってきたのは、翌日の朝だった。

俺が学校へいくのを、2体の骸骨が、見送っているところへ、兄貴が帰ってきた。

「あ、おかえり」

「おかえりなさい、学」

「お前、何日、帰ってこないんだ、学、夜遊びもほどほどにしなさい」

「うん?」

兄貴は、俺をそっと、外へ連れ出して言った。

「あれ、何?遅れてきたハロウィンかなんか?」

「兄さん、ハロウィンじゃないよ」

俺は、言った。

「あれは、父さんと、母さんだよ」

「何?」

兄貴が、考え込んだ。

無理もない、一応、科学者の端くれ、こんな非科学的なこと、認められないのだろう。

「とにかく」

俺は、言った。

「父さんと、母さんの骨に、変なことしないでよ、兄さん」

「ああ」

兄貴は、頷いた。

「任せておけ、サマーン」


俺は、嫌な予感がして、授業が終わるとすぐに、学校から家へと帰った。

バイトは、所長に連絡して、休みをもらった。

「父さん、母さん」

家のドアを開けて、俺は、すぐに、リビングへと飛び込んだ。

「あ、おかえり」

兄貴が、にっこり笑って、振り向いた。

俺は、部屋の中を見回したが、2体の骸骨は、いなかった。

「あの、父さんと、母さんは?」

「帰ってもらったよ」

兄貴が言った。

「土の中へ」

「ええっ!」

俺は、兄貴を問い詰めた。

「何で?せっかく、生き返ったのに」

「いや、だって、骸骨、だぞ?しっかりしろ、サマーン」

兄貴が、言った。

「お前は、奴等に騙されてるんだ」

「ええっ?」

俺は、きいた。

「じゃあ、俺たちが、本当は、エイリアンの子孫だっていうのは?」

「嘘だよ」

兄貴が言った。

「エイリアンな訳がないだろう」

「じゃあ、『ユーベル教団』と戦ってるっていうのは?」

俺が問うと、兄貴は、鼻で笑った。

「そんなもの、存在しないよ」

「マジで?」

俺は、兄貴に背を向け自分の部屋へと向かったが、ふっと思い出してきいた。

「そうだ。雅が兄貴を探してたぞ。『サド子の部屋』の予約の件とかなんとか」

「『サド子の部屋』?」

兄貴が、一瞬、振り向いてきいた。

「何だ、それ?」

「え?」

そのとき、文子の声が聞こえた。

「臥せて、サマーン!」

俺が臥せると同時に、兄貴の体がレーザーに射ぬかれた。

ぷすぷす、煙を出しながら、兄貴は、言った。

「いきなり、酷いな、文子」

「サマーン!そいつは、人間じゃないわ!」

文子が叫んだ。

俺が、兄貴を見ると、兄貴は、言った。

「俺は、人間だよ」

「わぁっ!こいつ、人間じゃない!」

俺は、叫んで、文子の方へ後ろずさった。

「本物の兄貴は、どこだ?」

「本物は」

文子が言った。

「雅と一緒に、地下の研究施設へ行ってるわ」

「父さんと、母さんは?」

俺がきくと、文子は、にっこり笑った。

「大丈夫、保護して、学と一緒に、地下の研究施設へ行ってるわ」

「こいつは、何?」

俺は、体に空いた穴から煙を出している、兄貴そっくりのものを指してきいた。

文子が、言った。

「それは、たぶん、『ユーベル教団』が送り込んできた人造人間よ!」

「違う」

兄貴にそっくりな何かが言った。

「俺は、人間だ」

「だから」

文子が言って、レーザー銃らしきものを、そいつに向けた。

「もう、いいって」

文子に頭を打たれて、そいつは、倒れ、動かなくなった。


俺は、文子と一緒に地下の研究施設へと向かった。

入り口は、スタッフルームの隣の変人のお兄さんのすんでいる部屋だった。

お兄さん、こと、田村 雄次郎は、言った。

「いままで、黙ってて、すみません。直之さん。私は、実は、ご両親に作られたアンドロイドで、お二人を見守りつつ、『ユーベル教団』から、研究施設を守る役割を与えられていたんです」

「へぇー」

俺たちは、お兄さんの部屋を通り抜けて、地下へと続く階段を降りた。

そして。

30分ぐらい地下へと降りていくと、やっと、扉があった。

「これは、エレベーターですが、動かすには、パスワードが必要です」

「そうなんだ」

俺が入っていくと、コンピューターの音声が言った。

「いらっしゃいませ。ムゥの研究施設へようこそ。これから、3つの質問をします。それに正解できたら、研究施設へ行けますが、もし不正解の場合は、レーザーで焼き殺しますのでよろしくお願いします。では、第一もんです」

「ちょっと、大丈夫なの?これ」

俺がきくと、文子が答えた。

「大丈夫、リラックス、リラックス」

「サマーンが、変装時に、右手に持っているのは、冷凍サンマですが、左手に持っているのは、何?」

「何?これ」

俺は、言った。

田村さんが叫んだ。

「早く、答えて!サマーン!」

「おにぎり、だ」

一瞬、静まり返った。

「ピポピポン!正解です」

「危なかった」

文子が言った。

「30秒以内に答えないと、レーザーを滅多撃ちされるのよ」

「マジで?」

「第2問です」

コンピューターが言った。

「サマーンが、歯牙にもかけられなかった、初恋の相手の名前は?」

「何か、問題がおかしくない?」

「早く、答えて!」

文子が叫んだ。


次回に続く。

待て、しかして、希望せよ!


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