第24話 改造人間サマーン~死霊の里帰り変~
珍しく、バイトの休みの日曜日のことだった。
俺は、洗濯や、家の掃除をしてから、リビングでくつろいで漫画を読んでいた。
すると。
呼び鈴が鳴った。
誰だ?
そう思いながら、俺が、玄関へ向かうと、そこには。
骨が、いた。
いや、正確には、ボロボロの衣類の切れ端を身に纏った骨が2体いた。
「直ゆ」
「間に合っています」
俺は、ドアを閉めて、リビングに戻って、漫画を読んだ。
呼び鈴が激しく連打されていた。
「うるさいな」
俺は、玄関に出た。
骨が、いた。
「どうせ、また、兄貴の関係なんだろうけど、もう、そういうの、付き合えないから、帰ってくれるかな」
「直之、私たちを忘れたのか?」
「そんな、冷たい子に産んだ覚えはないわよ」
「えっ?」
俺は、きいた。
「産んだって?」
「私は、あなたの母親です」
「同じく、父、だ」
「はい?」
俺は、2体の骸骨を家の中へと通した。
骸骨は、リビングのソファに座って、部屋の中を見回して言った。
「男ばかりの家にしたら、ちゃんときれいにしてるみたいで安心したよ。直之」
「本当」
性別女と思われる骨が、言った。
「立派になって」
「本当に、父さんと、母さんなの?」
俺は、きいた。
2体の骨は、頷いた。
「そうよ、直之」
「なんで?もう死んで10年以上たつのに」
「そんなになるのね」
女の骨が言った。
「時が過ぎるのは、早いわね」
「まったく」
何か、まったりしている2体の骨に、俺は、言った。
「いや、何で、二人とも甦っているわけ?」
「私たちにも、よくわからないんだよ」
父らしい骨が言った。
「ただ、気がついたら、こんな姿になってたんだ」
「マジで?」
俺は、言った。
「たぶん、兄貴が何か、知っている筈」
「学?」
母らしい骨が言った。
「あの子、大丈夫なの?元気に、生きてる?犯罪者になってない?」
「ええっ?」
俺は、母らしい骨に言った。
「兄貴って、昔からそんな人だったの?」
「あの子は」
両親が口を揃えて言った。
「とにかく、変わってた」
「そうなんだ」
晩飯の支度は、なんと、母さんがしてくれた。
「うふふ、久しぶりだから、うまくできてるかどうか、わからないんだけど」
食卓には、ほかほかのハンバーグと、味噌汁、サラダが並んでいた。
「さあ、召し上がれ、直之君」
「いただきます」
俺は、少し、感動していた。
骨とはいえ、両親と食卓を囲めるなんて。
まあ、食べてるのは、俺だけだけど。
「おいしい、おいしいよ、母さん」
「本当に?」
母が、ふふっ、と、笑った。
「ところで、学は、まだ帰ってこないの?」
「うん」
俺は、飯を食いながら、母さんに、言った。
「たぶん、あ、いや、その、研究に熱中してるんだと」
「研究?」
父が言った。
「まさか、地下の研究施設への鍵が開いたんじゃないだろうな?」
「それは、ないわ、あなた」
母が言った。
「だって、あそこは、11年前に、私たちが、命がけで封印したんですもの。いくら、学でも、あの封印は、解けないわ」
「封印?」
俺は、きいた。
母は、言った。
「直之、実は、私たち一族には、秘密があるの」
「ええっ?」
「私たちは、エイリアンなんだ」
父が言った。
「正確には、惑星ムゥの生き残りだ」
「惑星ムゥ?」
俺が聞くと、母が言った。
「直之は、学から、何も、きかされていないのね?」
「我々は、この地球に人類が誕生する前に移住してきた異星人で、この星の守護者だ」
父が言った。
「そして、その知恵と力の全てが、地下の研究施設に隠されている」
「はい?」
俺は、鳩豆みたいな顔をして、二人を見た。
二人は、言った。
「我々は、悪の組織『ユーベル教団』と、何千年も戦い続けてきたのだ。ムゥの秘密を守るために」
「マジで?」
俺が聞くと、二人は頷いた。
次回に続く。
待て、しかして、希望せよ!
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