202012ジャパロボ 4

渋谷かな

第1話 ジャパロボ4

「ローラ隊長。ご武運を。」

「おまえたちもな。」

 トラウデンのジャパロボが戦場から離脱する。

「待て! 私のバイト代を返せ!」

 菜々子はテロリストを1機も逃がす気はない。

「おまえの相手は私だ!」

 ローラ隊長が菜々子の前に立ち塞がる。

「私の邪魔ができると思うなよ!」

 ドカーン! ドカーン! ありったけのバズーカ砲を打ち込む菜々子。

「当たるかよ! そんなもの!」

 ローラのジャパロボは左に右に砲撃を交わす。

「新型だからって調子に乗るなよ!」

「そんなもの女子高生の私が分かるか!」

 鉄の棒と鉄の棒で殴り合う菜々子とローラ。

「女子高生!?」

「そうだ! 私は女子高生だ! 文句あるか!?」

「バカな女子高生がテロリスト施設で長年ジャパロボの操縦訓練をしてきた私と互角以上にジャパロボを操縦できるというのか!?」

 ローラは菜々子のパイロット適性に恐怖を感じる。

「私は東京オリンピックのパレードのジャパロボの操縦のアルバイトをしていただけだ! よくも私のバイトをダメにしてくれたな! バイト代を払ってもらうまで世界の果てまで追いかけてやる!」

 菜々子の執念は悍ましいものがあった。

「わ、分かった! なら、そのバイト代は私が払おう! それで手をうとうじゃないか?」

「え? いいんですか? アハッ!」

 喜んで動きを止める菜々子。


「ほれ、1万円だ。お釣りはいらない。」

「ありがとうございます。」

 ローラと菜々子はコクピットを出て対面している。

「まさか、普通の女子高生に我々テロリストが破れるとはな。」

「たまたまですよ。私はバイト代さえもらえれば、それでいいんです。アハッ!」

 満足そうにお金を数える菜々子。

「どうだ。テロリストにならないか?」

 ローラは菜々子をテロリストにスカウトする。

「テロリスト?」

 菜々子はテロリストを悪い人のイメージで捉える。

「お金持ちになれるぞ。」

「はい! やります! テロリスト!」

 あっさりと菜々子は買収される。

「よし。良い返事だ。私は隊長のローラだ。」

「私は藤菜々子です。ちょうど就職先を探していたんですけど、就職先が決まって良かったです。」

 菜々子はテロリストに内定した。

「そうだな。今の日本は、いや、世界全体が既得権益で守られている。お金持ちは更にお金持ちになり、貧乏人は就職先もなく死ぬために生きているみたいなものだ。私はこの世界を壊したいと思っている。この世界を変えなければいけないんだ!」

「カッコイイ!」

 ローラの主張に菜々子は感化される。

「はい! 私も世界をぶっ潰します!」

 なぜかテロリストのローラと女子高生の菜々子の波長は一致した。

「一緒に世界を変えよう!」

「おお!」

 テロリスト菜々子の誕生である。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

202012ジャパロボ 4 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る